海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
シットコム『ヤングシェルドン』シーズン1第9話では、父ジョージに頼まれたシェルドンが、兄ジョージーの数学のテスト勉強を見ることになります。教える側と教わる側の会話は、最初から最後までかみ合わないまま進んでいきます。
「分かる?」と聞かれて「もちろん」と答える相手に、英語でどう確かめるのか。教える側と教わる側の言葉を、場面の順に見ていきます。
「get a sense of」と「Explain it to me.」
兄の部屋に入ったシェルドンは、勉強を始める前に、兄がどこまで分かっているのかを確かめようとします。
Sheldon: Before we start, I’d like to get a sense of how much algebra you know.
(始める前に、代数をどのくらい分かってるのか、ざっとつかんでおきたいんだ。)Georgie: ‘Kay.
(おう。)Sheldon: Do you understand solving and graphing linear inequalities?
(一次不等式を解いて、グラフにするのは分かる?)Georgie: Sure.
(もちろん。)Sheldon: Great. Explain it to me.
(よかった。じゃあ、僕に説明して。)Young Sheldon Season1 Episode9(Spock, Kirk, and Testicular Hernia)
get a sense of ~ は「〜の感じをつかむ、だいたいを把握する」という意味です。Before we start と前置きしてから使うことで、本題に入る前に相手の今の力を確かめたいという段取りがはっきりします。
続く Do you understand ~? は、そのまま「〜は分かる?」と尋ねる形です。ただ、Sure. と短く返されただけでは、本当に分かっているのかは判断できません。
そこでシェルドンは Explain it to me. と、本人に説明させる形で確かめにかかります。「分かる?」と聞くより、「説明して」と頼むほうが、相手の理解の程度がそのまま表に出ます。兄の返事はこのあと具体的な説明にはならず、勉強は手探りで始まりました。
相手が答えに詰まったときに責めるのではなく、どこから説明すればよいかを探る材料にできるのが、この聞き方の利点です。教える立場に立ったとき、そのまま使える組み立てと言えます。
- A: Do you understand how this works?
(これがどう動くか分かる?) - B: Sure.
(もちろん。) - A: Great. Explain it to me.
(よかった。じゃあ説明してみて。)
「See? Simple.」と「I don’t get it.」
説明を進めながら、シェルドンは簡単だと念を押しますが、兄の受け止め方は違います。
Sheldon: So you collect all the terms linear in X. See? Simple.
(だから、Xの一次の項を全部まとめる。ほら、簡単でしょ。)Georgie: Maybe for you.
(お前にとってはな。)Sheldon: No, it’s simple for everybody. Now you collect all the terms linear in Y.
(いや、誰にとっても簡単だよ。次に、Yの一次の項を全部まとめる。)Georgie: I don’t get it.
(わかんねえ。)Young Sheldon Season1 Episode9(Spock, Kirk, and Testicular Hernia)
See? は「ほらね」と、相手に同意を求める一言です。Simple. と続けて、説明はこれで十分だと言い切りました。このあとの兄の返事は、その言い切りへの反応になっています。
ジョージーの Maybe for you. は「お前にとってはそうかもな」という返しです。for you を付けることで、「簡単なのはお前だけ」という不満が短く伝わります。シェルドンは it’s simple for everybody と言い返し、そのまま次の手順へ進みました。相手の言葉の含みを受け取らず、字義どおりに否定するところにシェルドンらしさが出ていると言えます。
最後の I don’t get it. は「分からない」と伝える一言です。get はここで「理解する」という意味になり、I don’t understand. と比べて短く、くだけた会話向きの響きがあります。分からないときに、どこが分からないのかまで言えなくても、まずこの一言で手を止めてもらえます。
- A: The answer is twelve. See? Simple.
(答えは12。ほら、簡単でしょ。) - B: Sorry, I don’t get it. Can you go over it again?
(ごめん、分からない。もう一回説明してくれる?)
テストのあと、「It was tough.」と「I’m sorry」
テストの日、家族がそろった場で、ジョージが兄に結果を尋ねます。
George Sr.: Georgie, how’d you do on that math test today?
(ジョージー、今日の数学のテストはどうだった?)Georgie: It was tough. I don’t know.
(難しかった。どうだろうな。)Sheldon: I’m sorry I wasn’t more help.
(もっと力になれなくてごめん。)Georgie: Me, too.
(俺もだよ。)Mary: That’s all right, baby, you tried.
(いいのよ、頑張ったじゃない。)Missy: Yeah. It’s okay, baby.
(そうそう。いいのよ、ベイビー。)Young Sheldon Season1 Episode9(Spock, Kirk, and Testicular Hernia)
How’d you do on ~? は How did you do の短縮形で、試験や試合の結果を尋ねる聞き方です。ジョージーの It was tough. は「難しかった」、続く I don’t know. は「出来はどうか分からない」という手ごたえのなさを表しています。
シェルドンの I’m sorry I wasn’t more help. は、「もっと助けになれなくてごめん」と、自分の手伝いが足りなかったことを詫びる言い方です。兄の Me, too. は、その謝罪にそのまま乗っかった短い返事です。I’m sorry に Me, too. と返すと「僕もそう思う」という同調になり、慰めの言葉にはなっていないところが、この兄弟のやり取りらしさを出しています。
メアリーの you tried は「頑張ったんだから」と結果より努力を認める言葉です。ミッシーも同じ baby を使って言葉をなぞり、兄弟の勉強会の結末が、家族の会話の中で語られる場面です。
- A: How’d you do on your driving test?
(運転免許の試験、どうだった?) - B: It was tough. I don’t know yet.
(難しかった。まだ分からないよ。)
まとめ|理解を確かめる、分からないと伝える
get a sense of ~ で相手の力をつかみ、Explain it to me. で生返事を確かめる。教わる側の Maybe for you. や I don’t get it.、結果を聞く How’d you do on ~? まで、教える場面の英語が一続きにそろっています。
この兄弟のかみ合わない勉強会を思い出しながら、次の場面の英語も拾っていきましょう。
この回のほかのコラムやフレーズ記事では、同じ家族の別のやり取りを扱っています。


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