海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
『BONES』シーズン1第17話は、ニューメキシコの砂漠で発見された身元不明の頭蓋骨をめぐる捜査回です。今回は、ブレナンが状況を数字で捉える場面と、物語終盤でエンジェラを励ます場面から、論理を通して気持ちを伝える英語の言い回しに注目します。
同じ「数える・組み立てる」という思考のクセが、危機の場面でも慰めの場面でも顔を出す様子を見ていきましょう。
“I don’t like that math.”― 数字で状況を語るブレナン流の言い方
保安官のトラックが故障し、水も携帯の電波もない砂漠を三人で歩く場面。ブースが生存可能な日数を見積もると、ブレナンはこう返します。
BRENNAN: I don’t like that math.
(その計算、気に入らないわ。)BONES Season1 Episode17 (The Skull in the Desert)
I don’t like that math は直訳すると「その数式が気に入らない」ですが、実際には目の前の状況や見通しに対する反応として使われています。math は算数の計算だけでなく、確率や見込みを指す言葉としても使われ、不利な数字を突きつけられたときに感情を交えず一言で返す言い方になっています。この場面のように、生存日数や到達距離といった具体的な数字が並んだ直後に使われることで、状況の厳しさをやわらかく、それでいて的確に言い切る効果が出ています。
math の部分を入れ替えれば、状況が好転したときに I like that math(その計算はいいわね)と肯定的にも使える表現です。感情の言葉を使わずに、数字への評価というかたちで気持ちを表す。理屈で物事を捉える人物らしい言い回しと言えます。日常会話でも、確率や数字が絡む話題であれば同じ型がそのまま使えます。
「頭から」と「心から」― 論理と感情、両方の言葉で慰める
物語の終盤、恋人カークを失ったエンジェラの家で、ブレナンは彼女の隣に座ります。もう一度誰かを愛せる自信が持てないというエンジェラに対し、ブレナンは宇宙の中でものごとが一度きりで終わることはないという考え方を語り、no singular moment(唯一無二の瞬間などない)という言葉でまとめています。
BRENNAN: Better. From my head. And yes, Ange. I promise-
(もっといいものよ。頭からね。ええ、アンジー、約束するわ――)BONES Season1 Episode17 (The Skull in the Desert)
二人が抱き合ったあと、ブレナンは続けます。
BRENNAN: From my heart. You will get another chance.
(心からよ。あなたにはまたチャンスが来る。)BONES Season1 Episode17 (The Skull in the Desert)
from my heart(心から)という定番表現に対して、from my head(頭から)という対句を重ねているのがこの場面の特徴です。感情ではなく理屈で人を励ますブレナンらしいやり方が、決まり文句を一語変えるだけで表現されています。その後ブースが、ダーニを救えたのはアンジェラがヘリコプターを正しい方向へ導いたおかげだと伝えると、ブレナンはアンジェラの直感的な行動を subconsciously sifted through(無意識のうちに事実をふるいにかけていた)という言い方で論理側から言い直します。他人の勘に見える行動さえも論理で語り直す様子が見どころです。
ここまでに登場した言葉を整理すると、次のようになります。
| 表現 | 使われている場面 |
|---|---|
| I don’t like that math | 不利な見通しを数字で表現する |
| no singular moment | 「唯一無二の瞬間などない」と論理で慰める |
| from my head / from my heart | 理屈と気持ち、両方を伝える定番表現の対句 |
| subconsciously sifted through | 相手の直感的な行動を後から論理で説明し直す |
まとめ|論理で気持ちを伝えるという選択肢
I don’t like that math、no singular moment、from my head、subconsciously sifted through と、ブレナンは危機の場面でも慰めの場面でも、感情ではなく論理の言葉を選び続けます。相手を思う気持ちを、あえて理屈っぽい言葉で伝えるという選択肢があることが伝わってきます。
同じエピソードの他のコラムやフレーズ記事もあわせて読むと、場面全体の英語がより立体的に見えてきます。
次回も『BONES』の世界を英語と一緒に見ていきましょう。
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