海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。『ビッグバン★セオリー』シーズン3第12話「The Psychic Vortex」では、ペニーが占い師を信じていると知ったレナードが戸惑う一方、シェルドンとラージは大学のパーティーに繰り出します。この回の英語の面白さは、霊能者をめぐる事実の言い合いと、恋人の信じるものをどこまで受け止めるかという譲歩が、二組のデートの会話に別々の形で現れる点にあります。フレーズの意味を確認するだけでなく、誰が誰に向けて、どの場面でその言葉を選んだのかを追うと、人物同士の距離と会話の目的が見えやすくなります。
あらすじ(ネタバレなし)
『ビッグバン★セオリー』S03E12では、恋人の信仰をめぐってレナードが心をかき乱される一方で、シェルドンとラージは大学主催の集まりに顔を出します。占い師の話をめぐるレナードとペニーのやり取りと、パーティーで初対面の相手に話しかけるシェルドンたちのやり取りが、別々の場所で並行して進みます。ここでは結末や核心の展開には触れず、信仰・迷信の語彙、パーティーの雑談に関わる会話の場面を中心に整理します。この回の英語は、恋人同士の踏み込んだ議論と、初対面の相手への軽い自己紹介という、性格の異なる二つの会話が交互に現れる点が特徴です。
このエピソードで学べる英語フレーズ
1. strut one’s stuff
自分の魅力や持ち味を堂々と披露する。
Raj: Please, Sheldon, I’m a young, virile visitor from a foreign land and I need to strut my stuff.
(頼むよシェルドン、僕は外国から来た若くて元気な訪問者で、自分の魅力を見せつける必要があるんだ。)
映画を観るより外に出て人と会うべきだとシェルドンを説得しようとした直後に、ラージはこの一言を口にします。strut one’s stuffは「自分を見せつける」という直訳以上に、パーティーに行きたい理由を素直に打ち明ける懇願として機能しており、この後に続くシェルドンの屁理屈と対照的な、ストレートな言い方になっています。
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2. chat someone up
異性に親しげに話しかけて口説く。
Sheldon: Oh, look, there’s a sexually attractive line segment, you should chat her up.
(見て、性的に魅力的な線分がいる、話しかけてみたら。)
実在のミキサーへ行く代わりに、シェルドンは自作の二次元世界フラットランドの話を続け、その中の「線分」を指してchat her upと勧めます。実在の女性を口説く助言のはずが、想像上の線分に置き換えられており、シェルドンが現実の社交を遠回しに避けていることが、この一言のずれからそのまま伝わります。
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3. lie through one’s teeth
ぬけぬけと、平然と真っ赤な嘘をつく。
Sheldon: When I lie through my teeth to a woman, you nod and agree.
(僕が女性に真っ赤な嘘をついているときは、君はうなずいて同意するんだ。)
ウィングマンとしての役割をラージに確認されたシェルドンが、自分の「作戦」を淡々と説明する場面です。lie through one’s teethという踏み込んだ言い方を、動揺も気負いもなく事務的に説明していること自体が、シェルドンの恋愛観の独特さを表しています。
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4. kiss and tell
恋愛や性的な秘め事を他人に言いふらす。
Howard: I don’t like to kiss and tell, but somebody made it to eighth base.
(あまり詳しくは言いたくないけど、誰かさんは八塁まで進んだんだ。)
レナードの研究室を訪ねたハワードが、前夜の首尾を報告する場面です。kiss and tellを「したくない」と言いながらすぐに野球の比喩で詳細をほのめかしており、隠すふりをしつつ実は話したがっている態度が、この一言に表れています。
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5. keep an open mind
先入観を持たず、心を開いて新しい考えを受け入れる。
Leonard: Well, yeah, one of us has to keep an open mind.
(まあ、どちらかが心を開いて受け入れないとね。)
ペニーの霊能者通いを笑ったことを謝った直後、レナードは自分から一緒に占い師のところへ行こうと申し出ます。keep an open mindは相手に求める言葉ではなく、自分自身に言い聞かせる言葉として使われており、直後にペニーが「私には心が開いていないってこと?」と聞き返すことで、この譲歩の危うさが浮かび上がります。
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6. freak someone out
人を怖がらせる・動揺させる。
Howard: No, it would just freak him out.
(いや、それは彼を動揺させるだけだよ。)
ダブルデートを前に、レナードがハワードへ「人工の女性」の話をシェルドンにするよう振ると、ハワードはこの一言でその役目を断ります。freak someone outは深刻な忠告ではなく、面倒な説明を避けるための軽い言い訳として使われています。
7. make out
いちゃつく・キスする。
Howard: There might be some making out in the car or the restaurant.
(車の中かレストランで、いちゃつくことになるかもしれない。)
デート前の車中で、ハワードはバーナデットが気まずくならないよう、レナードたちにも同じように振る舞ってほしいと頼みます。make outという直接的な単語を使いながらも、頼み方自体はバーナデットへの気遣いという形を取っている点が、この場面のハワードらしさです。
8. make fun of
からかう・笑いものにする。
Leonard: Of course, I would never make fun of you.
(もちろん、君をからかったりしないよ。)
占い師の話をする前に、ペニーはからかわないでほしいと念を押し、レナードはこの一言で約束します。ところが直後にレナードは笑ってしまい、ハワードに皮肉を言われる展開になるため、make fun ofという約束の言葉が、そのまま守られなかったことまで含めて印象に残る一言になっています。
9. work up an appetite
食欲を増進させる。
Bernadette: It really works up an appetite.
(本当に食欲が増進するのよね。)
初対面に近いペニーとの食事の場で、バーナデットは生物学研究室での一日を、グロテスクな比喩を交えて紹介します。work up an appetiteという食に関する表現を、あえて過激な話題の直後に置くことで、飾らないバーナデットの性格が最初のセリフから伝わる作りになっています。
10. move on
次へ進む・気持ちを切り替える。
Sheldon: That’s done, I’ve moved on to other things.
(それはもう終わったこと、僕は次のことに気持ちを切り替えたんだ。)
ラージが二回目のデートに誘うと、シェルドンは前夜が楽しかったことを認めながらも、この一言で話を打ち切ります。move onは通常前向きな決意を示す言葉ですが、直後に「フィンランド語を覚えたら、もう一度覚えたりしない」という比喩が続くことで、シェルドンにとって人間関係も語学学習と同じ一度きりの作業に過ぎないことが皮肉として伝わります。
このエピソードの英語学習ポイント
ペニーが霊能者を信じることを知ったレナードは、事実を説明することで相手を納得させようとします。しかし、説明が正しいほど、恋人の価値観を否定する言葉にも聞こえます。
ラージとシェルドンのパーティーでは、相手に話しかけるための準備と、見栄を張るための表現が会話を動かします。立場を大きく見せる言い回しと、相手の反応に合わせて話を切り替える言い回しを分けて聞くと、社交の英語が整理できます。
最後の仲直りの場面では、完全に意見を一致させるのではなく、相手の考えを聞く余地を残す表現が選ばれます。事実の正しさを主張する英語と、関係を続けるための英語が何を優先しているかが、この回の中心になります。
10個のフレーズを復習するときは、冒頭のstrut one’s stuffから後半のmove onまでを単語の一覧として扱わず、場面の目的がどう移ったかに沿って並べ直します。占いの真偽をめぐる言い切りと、恋人の考えを尊重しようとする譲歩の言葉が、二組の会話でどう混じり合うかを意識すると、フレーズの選び方の理由が見えてきます。シェルドンの屁理屈、ハワードの茶化し、レナードの譲歩——「相手の信じるものにどう向き合うか」という同じ問いに三人がまったく違う答え方をしている点を意識すると、10個のフレーズがそれぞれ誰の解決策だったのかが見えてきます。
キャラクター別|英語の特徴
シェルドン|論理を積み上げて相手の行動を変える
シェルドンはこの回でも、単純な指示ではなく理屈を組み立てて相手を動かします。
引用の「Sheldon: Oh, look, there’s a sexually attractive line segment, you should chat her up.」は、異性に親しげに話しかけて口説くという表面の意味を持ちます。実在のミキサーに行きたがるラージに対し、シェルドンは自作の二次元世界フラットランドの話を延々と広げ、その中の登場人物を口説くよう勧めることで、現実の外出という要求そのものをはぐらかしています。相手の要求を拒むのではなく、代わりの理屈を積み上げて話をずらしていく点に、シェルドンらしい説得の形が表れています。
ハワード|冗談を足して距離を測る
ハワードは、深刻になりそうな話題を冗談に変えて相手との距離を測ります。
引用の「Howard: I don’t like to kiss and tell, but somebody made it to eighth base.」は、恋愛や性的な秘め事を他人に言いふらすという表面の意味を持ちます。隠すつもりだと言いながら野球の比喩ですぐに詳細をほのめかしており、隠す姿勢と話したい気持ちが同居しているのがこの一言の面白さです。レナードの実験室という気まずくなりがちな場面でも、冗談を挟むことでハワードは話題を軽く保っています。
レナード|相手の気持ちを守りながら言い直す
レナードは、自分の言葉を撤回するのではなく、言い方を変えることで相手の気持ちを守ろうとします。
引用の「Leonard: Well, yeah, one of us has to keep an open mind.」は、先入観を持たず、心を開いて新しい考えを受け入れるという表面の意味を持ちます。占い師通いを笑ってしまったことを謝った直後、レナードは自分から占い師についていこうと申し出ており、keep an open mindは相手に求める言葉ではなく、自分自身への言い聞かせとして使われています。ただし直後にペニーが「私には心が開いていないってこと?」と聞き返すように、この譲歩は完全な和解にはまだ届いていません。
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