海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
今回扱うのは、『CHUCK』シーズン3 第6話に登場する、バイ・モアの店員チャックが新規客に接客する場面の言い方です。無償のサービスを申し出たあと、行き過ぎない程度で自然に引き下がる、店員としての気配りの言葉が描かれています。
押しつけがましさのない誘い方から、判断を相手に委ねる締めくくりまで、順番に見ていきます。バイ・モアという職場ならではの、接客の距離感が伝わってくる会話です。
困っている客に気さくに切り出す接客の声かけ
バイ・モアの売り場で、新規客のマヌーシュは新人のハンナに対応してほしいと伝えますが、チャックは経験を理由にハンナに代わって接客を続けます。ハンナが下がったあと、チャックは残ったマヌーシュに軽い調子で話しかけます。
Chuck: Ah, sorry about that. Alone at last. What can I do you for?
(ああ、ごめんごめん。これでようやく二人きりだね。何かご用件かな?)Manoosh: Nothing. Now that you ruined my flow with that hottie.
(別に。さっき、あの子とのいい流れを台無しにしてくれたところだったのに。)CHUCK Season3 Episode6 (Chuck Versus the Nacho Sampler)
What can I do you for? は、定番の言い方 What can I do for you?(ご用件は何でしょう)の for と you の語順を入れ替えた、砕けた言い回しです。文法的には崩れていますが意味は変わらず、気取らない接客のノリを出す一言として使われています。
一方マヌーシュの ruined my flow は、うまく進んでいた流れを台無しにされた、という不満の表し方です。that hottie という一語で誰の話をしているかを短く示していて、遠回しな説明を挟まずにテンポよく会話が進んでいきます。
迷惑をかけたお詫びとして、無償のサービスを申し出る言い方
マヌーシュが他の店で買うと言いかけたところで、チャックは慌てて呼び止め、サービス品として渡そうとします。
Manoosh: What do you mean?
(どういうこと?)Chuck: It’s on the house, for the inconvenience earlier with the hottie.
(さっきのあの子の件で迷惑をかけたお詫びに、これはサービスするよ。)Manoosh: You sure? I mean… isn’t that illegal?
(本当に?というか……それって違法じゃないの?)Chuck: It’s on me. My pleasure.
(僕のおごりだよ。喜んで。)CHUCK Season3 Episode6 (Chuck Versus the Nacho Sampler)
It’s on the house は、店側が費用を負担して無料で提供することを伝える、接客の定番表現です。理由を添えて申し出るところに、気の回し方が表れています。
続く It’s on me. My pleasure. も同じくおごりを表す言い方で、自分個人が支払いを引き受けるニュアンスが強くなります。My pleasure. は「喜んで」に近い短い決まり文句です。マヌーシュの isn’t that illegal? という戸惑いにも、申し出の唐突さが表れています。
相手に判断を委ねて、しつこくならずに引き下がる言い方
名刺を渡したあと、チャックは畳みかけるでもなく、あっさりとその場を締めくくります。
Chuck: I’m not trying to pressure you, you know. No biggie. You have my card. If you call, you call.
(別に無理強いしてるわけじゃないんだ。大したことじゃないよ。名刺は渡したし、電話したくなったらすればいい。)CHUCK Season3 Episode6 (Chuck Versus the Nacho Sampler)
I’m not trying to pressure you は、相手に強要していないことを先に断っておく言い方です。押し付けがましく見えないよう、自分の意図をあえて言葉にしているのが分かります。
No biggie. は「大したことじゃない」と、話題そのものの重みを軽くする一言です。続く If you call, you call. は、電話するかどうかの判断をそのまま相手に委ねる言い方で、結果を決めつけない姿勢がにじみます。名刺を渡すという行動だけを残し、あとは相手に任せる引き下がり方が見どころです。
まとめ|気配りを言葉にしてから、判断は相手に委ねる
気さくな声かけ、迷惑への詫びとしての無償の申し出、そして押し付けない引き下がり方まで見てきました。What can I do you for?、It’s on the house、No biggie. といった一言一言に、行き過ぎない距離感を保つ工夫が詰まっているのが分かります。
次回も『CHUCK』の会話とともに、英語表現の型を見ていきましょう。
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