海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
金の力で厄介事をなかったことにしようとする相手に、静かな迫力で「そう簡単にはいかない」と告げるような瞬間が、ドラマには時々あります。
そんな場面にぴったりの「make something go away」を、『ホワイトカラー』シーズン5第5話の終盤、フォン・ケスラー家のフィクサーを名乗るピーターが、ウォルコットを名乗る人物を問い詰める場面から、一緒に見ていきましょう。
「make something go away」の意味とニュアンス
make something go away
意味:問題を消し去る、なかったことにする
make something go away は、make(〜させる)+ something(何か)+ go away(消え去る)という組み合わせで、厄介な問題やトラブルを、何らかの手段によって解決・隠蔽し、なかったことにしてしまうことを表す口語表現です。
金銭や権力を使って不都合な事実を揉み消そうとする場面でよく使われ、しばしば正当な解決ではなく、都合の悪い事実を表沙汰にしないための対処というニュアンスを含みます。Can you make this go away? のように問いかければ「これをなかったことにできないか」という頼み事になり、No amount of money can make this go away. のように否定文にすれば、金では解決できない深刻さを強調する言い方になります。
something の部分には、scandal(スキャンダル)や problem(問題)、lawsuit(訴訟)など、具体的に消し去りたい対象を入れて使うこともできる表現です。何を消し去りたいのかを具体的に入れ替えられる分だけ、幅広い場面に応用が利く言い回しでもあります。
【ここがポイント!】
- 「make something go away」の核は、厄介な問題を強引に消し去るイメージ
- 金銭や権力による揉み消しを示唆する、やや否定的な響きを持つ表現
- 否定文にすると「金では解決できない」という深刻さを強調できるのがコツ
『ホワイトカラー』S05E05のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
ウォルコット邸を訪れたのは、フォン・ケスラー家のフィクサー「レオ・コヴァック」を名乗るピーターでした。困惑するウォルコットを名乗る人物に、コヴァック役のピーターが一切の同情を見せず迫る場面に注目です。
Wolcott: Sir, I don’t understand.
(すみません、おっしゃる意味が分かりません。)Peter: Don’t play stupid. Don’t start crying. The Von Kesslers pay me to handle their problems.
(とぼけるな。泣き言も無しだ。フォン・ケスラー家は、厄介事の後始末をさせるために俺を雇っている。)Wolcott: Is there any way I can pay them for this inconvenience?
(この迷惑料として、何か払える方法はありませんか?)Peter: You think you can put a price on what you did? That money can make this go away? No. They want answers.
(自分のしたことに値段をつけられるとでも思っているのか? その金で、これをなかったことにできると? いいや。連中が欲しいのは、答えだ。)White Collar Season5 Episode5 (Master Plan)
シーン解説と心理考察
「すみません、おっしゃる意味が分かりません」ととぼけようとするウォルコットを名乗る人物に、コヴァック役のピーターは「とぼけるな。泣き言も無しだ」と一切の同情を見せず切り込みます。「フォン・ケスラー家は、厄介事の後始末をさせるために俺を雇っている」という一言には、フィクサーという役を演じきるピーターの徹底ぶりが表れています。相手が「この迷惑料として、何か払える方法はありませんか」と買収を持ちかけると、ピーターは「自分のしたことに値段をつけられるとでも思っているのか」「その金で、これをなかったことにできると」と二重の反語で切り返し、「いいや。連中が欲しいのは、答えだ」と拒絶します。普段は法の側に立つピーターが、裏社会の代理人になりきって相手を追い詰める様子には、潜入捜査官としての演技力の高さと、追い詰められていく相手の緊迫感の両方がにじみます。金銭で解決しようとする相手の態度を見透かしたうえで、あえてその発想ごと切り捨てる言葉選びにも、役になりきったピーターの周到さが表れています。
『ホワイトカラー』流・覚え方のコツ
make something go away を覚えるコツは、厄介な問題を魔法のように「フッ」と消し去ってしまう様子を思い浮かべることです。make(〜させる)+ something(何か)+ go away(消え去る)という直訳の通り、問題そのものを強引に消し去るイメージが、そのまま記憶の助けになります。
ピーターが放った「その金で、これをなかったことにできると?」という反語も、金の力で問題を消そうとする相手への強い拒絶でした。魔法のようには問題が消えないという、この場面の緊張感ごと思い出しておくと、否定文で使われる場面のニュアンスもつかみやすくなります。
例文で覚える「make something go away」
不祥事の隠蔽から日常のトラブルまで、make something go away を、3つの例文で確認していきましょう。
He tried to make the scandal go away by paying off the reporters.
(彼は記者たちに金を払って、そのスキャンダルをなかったことにしようとした。)
不祥事の隠蔽を語るニュースやビジネスの場面です。by paying off the reporters のように手段を添えると、揉み消しの具体的な方法が伝わります。
The company offered a settlement to make the lawsuit go away.
(その会社は訴訟をなかったことにするため、和解金を提示した。)
訴訟の和解交渉を語るビジネス・法律の場面です。settlement という語と組み合わせると、正式な手続きとしての揉み消しの印象が強まります。
A: Can we just make this whole mess go away? B: I wish it were that simple.
(A:この一連の騒動、なかったことにできないかな? B:そう簡単だったらいいんだけどね。)
トラブルへの対処を相談するカジュアルな会話です。I wish it were that simple という返しが、簡単には解決しない現実を静かに示します。
あわせて覚えたい関連表現
sweep something under the rug
(問題を隠す、見て見ぬふりをする)
make something go away が金銭や権力で問題を消し去ることに重点を置くのに対し、sweep something under the rug は表沙汰にせず隠すことに重点を置く表現です。
brush something under the carpet
(sweep something under the rug のイギリス英語版)
意味はほぼ同義で、イギリス英語でより一般的に使われる言い回しです。
bury the hatchet
(争いをやめて仲直りする)
make something go away が問題自体を消し去ることを指すのに対し、bury the hatchet は対立関係を解消して和解することに焦点を置く表現です。
Note|スキャンダルや不祥事の「揉み消し」を表す英語表現
make something go away のように、金銭や権力で問題を揉み消そうとする表現は、ニュースやビジネスの世界でもたびたび登場します。
英語圏の報道では、企業や著名人の不祥事が発覚した際、和解金や示談によって訴訟や告発を取り下げさせる動きがしばしば取り上げられます。こうした場面では make something go away に加えて、hush money(口止め料)や settlement(和解金)といった語が一緒に使われることが多く、金銭による解決が必ずしも正義の実現を意味しないという、やや批判的な視点を伴って報じられる傾向があります。企業の広報対応や政治のスキャンダル報道で make the problem go away という言い回しが使われるときは、根本的な解決ではなく、表面的な火消しに過ぎないという皮肉を込めているケースも少なくありません。
ピーターがウォルコットを名乗る人物に突きつけた「その金で、これをなかったことにできると?」という問いも、金銭による揉み消しを許さないという強い姿勢の表れでした。ニュースで見かけるこの表現の批判的な響きが、そのままセリフに重なります。
金で消せるものと、消せないものがあることを、この一言が静かに示しています。報道で見かけるこの表現の使われ方を知っておくと、ドラマのセリフの奥にある皮肉にも気づきやすくなります。
まとめ|金では消せない、答えを求める姿勢
make something go away は、金銭や権力を使って厄介な問題を消し去ろうとすることを表す表現です。魔法のように問題を消してしまう情景を覚えておけば、否定文で使われたときの「金では解決できない」という深刻さも自然と読み取れるようになります。
不祥事の揉み消しを語るときも、日常の小さなトラブルへの対処を語るときも、この一言があれば問題の本質を端的に言い表せます。
買収を持ちかけるウォルコットを名乗る人物に、フィクサー役のピーターが突きつけた二重の反語には、金銭では答えを引き出せないという、フォン・ケスラー家の代理人としての揺るぎない立場が表れていました。潜入捜査官としてのピーターの演技力が光る場面でした。


コメント