海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
『モダンファミリー』シーズン7第7話では、フィルが怒っているのではないかという話をするクレアに、父ジェイが around を2回重ねた一言を返します。同じ単語が、前半と後半でまったく違う意味を持っている短い一文です。
同じ場所にいても、気持ちは別のところにある。そんな状態を英語でどう言い表すのか、言われた側がどう返したのかまで、この回の会話をたどりながら見ていきます。
二つの「around」が並ぶジェイの一言
ジェイとクレアの会話は、ジェイの見立てから動き出します。
Jay: But maybe he’s mad at you because you’re not around.
(でも、あいつが怒ってるのは、お前がそばにいないからかもしれないぞ。)Claire: But I only took like two trips.
(でも、出かけたのなんて2回くらいよ。)Jay: Just ‘cause you’re around doesn’t mean you’re around.
(そばにいるからって、本当にそばにいるとは限らないんだ。)Claire: That’s one of those loopy things mom would say.
(それ、ママがよく言ってた、ややこしい言い回しみたい。)Jay: I used to pretend that I didn’t understand it, too, but I did.
(俺も分からないふりをしてたけど、本当は分かってたんだ。)Modern Family Season7 Episode7 (Phil’s Sexy, Sexy House)
be around は「その場にいる、近くにいる」という意味の基本表現です。クレアは2回くらいしか出かけていないと、いる・いないの回数で答えています。ジェイの見立てと、クレアの受け止め方がまだかみ合っていない段階です。
ジェイの一言は、前半の you’re around が「体がその場にいる」、後半の you’re around が「気持ちが相手に向いている」と読むと意味が通ります。同じ形を繰り返し、二つ目に別の重みを持たせることで、短い一文に「いるだけでは足りない」という含みが生まれています。日本語の「心ここにあらず」に近い状態を、英語では around ひとつで言い分けていると言えます。
Just ‘cause ~ doesn’t mean ~ は「〜だからといって〜とは限らない」という構文で、’cause は because のくだけた形です。Just because you said sorry doesn’t mean it’s okay.(謝ったからといって、それで済むわけじゃない)のように、相手の言い分に条件をつけて返すときに使えます。
クレアが loopy と呼んだのは、こうした言葉遊びのような言い回しのことです。ジェイが「分からないふりをしていたが、本当は分かっていた」と続けるところで、この言葉が親から子へ引き継がれている様子が分かります。
「make some time for each other」と、それぞれの事情
ジェイはクレアに、具体的な提案をします。
Jay: Why not just make some time for each other?
(お互いのために、ちょっと時間をつくったらどうだ?)Claire: Maybe you’re right.
(そうかもね。)Claire: Oh Maybe I’ll take him for a weekend up North, huh?
(ああ、週末に北のほうへ連れて行こうかな。)Claire: What do you think?
(どう思う?)Jay: Sure.
(いいんじゃないか。)Jay: Yeah.
(ああ。)Modern Family Season7 Episode7 (Phil’s Sexy, Sexy House)
make time for ~ は「〜のために時間をつくる」という意味で、忙しい中から意識して時間を割くニュアンスがあります。for each other をつけると、どちらか一方ではなく二人で過ごす時間の話になります。Why not just ~? は「〜すればいいじゃないか」と気軽に勧める形で、命令するより柔らかく提案できます。クレアが Maybe you’re right. と受けてすぐ週末の計画を口にするので、提案がそのまま届いたことが分かります。
一方、フィルの側から見た事情は少し違います。フィル自身はこう話しています。
Phil: Claire’s been working a lot lately, and it’s been great.
(クレアは最近ずっと仕事続きでさ、それが最高なんだ。)Phil: It’s given me a lot more time for “Battle Beasts of Gar,” this massive online role-playing game.
(おかげで「Battle Beasts of Gar」の時間がぐっと増えたんだよ。大人数で遊ぶオンラインのロールプレイングゲームさ。)Modern Family Season7 Episode7 (Phil’s Sexy, Sexy House)
have been working a lot lately は、最近ずっと続いている状態を現在完了進行形で表しています。It’s given me more time for ~ は「おかげで〜の時間が増えた」という意味になり、主語の It が前の文の内容全体を指しています。同じ「クレアが忙しい」という状況でも、ジェイの見立てとフィル自身の言葉とでは、受け止め方が大きく異なっています。
自分の言葉で言い直す「I’m not around」
その後、クレアはフィルに向かって、ジェイの言葉とよく似た形でこう言います。
Claire: It’s just sometimes I get so caught up in work that even when I am around, I’m not around.
(ただ、仕事に夢中になりすぎて、そばにいるときでも心ここにあらずになっちゃうことがあるの。)Phil: Mm.
(うん。)Phil: So well put.
(うまいこと言うね。)Phil: I don’t want to beat you up about that.
(そのことで君を責めたくはないんだ。)Phil: It’s healing time now.
(今は癒しの時間だよ。)Modern Family Season7 Episode7 (Phil’s Sexy, Sexy House)
get caught up in ~ は「〜に夢中になる、のめり込む」で、so ~ that … と組み合わせると「〜しすぎて…になる」と結果まで言えます。even when I am around, I’m not around は、ジェイの一言と同じ二つの around を自分の側から言った形です。
フィルの So well put. は「うまい言い方だ」と相手の表現をほめる短い相づちで、beat ~ up about … は「…のことで〜を責め立てる」というくだけた表現です。I don’t want to ~ と組み合わせると、「責めるつもりはない」と相手の緊張をほどく一言になります。
家族が鉢合わせた騒ぎのあと、フィルはクレアにこう伝えます。
Phil: Honey, I know you’ve been working really hard lately, and I-I appreciate any time I can get with you.
(ハニー、最近すごく頑張って働いてるのは分かってるし、君と過ごせる時間なら、どんな時間でもありがたいんだよ。)Claire: So you’re not mad at me?
(じゃあ、怒ってないの?)Modern Family Season7 Episode7 (Phil’s Sexy, Sexy House)
appreciate any time I can get with you は、相手が割いてくれる時間そのものに感謝を示す一言で、any time の any が「どんなに短くても」という気持ちを添えています。So you’re not mad at me? は、ほっとした気持ちを込めて相手の気持ちを確かめる問いかけと読み取れます。
まとめ|そばにいることと、気持ちを向けること
be around の二つの意味、Just ‘cause ~ doesn’t mean ~ の構文、make time for each other、get caught up in work、appreciate any time I can get with you。いる・いないだけでは語れない夫婦の距離が見えてきます。
次回も『モダンファミリー』の家族の会話を手がかりに、英語の言い回しを集めていきましょう。
来てはいけない場所で見つかったときの言い訳や、用事が片付いたときの達成感の言い方は同じ回のほかのコラムで、仕事に追われる状態を表す表現はフレーズ記事でも取り上げています。


コメント