「speed it up」と「hit the road」はどう違う?仕事ぶりを注意するときの英語|『モダンファミリー』S08E20で学ぶ英会話

『Modern Family』コラム: 「speed it up」と「hit the road」はどう違う?仕事ぶりを注意するときの英語|『モダンファミリー』S08E20で学ぶ英会話

海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。

『モダンファミリー』シーズン8第20話では、駐車場を共同で経営するジェイとフィルが、係員として雇ったジョーンの仕事ぶりをめぐって意見を割ります。人と話すことを自分の仕事だと考えるジョーンに、ジェイは手厳しい注文をつけます。

仕事ぶりを注意するとき、「もっと手早く」と「もう辞めてもらう」では重みがまったく違います。ジェイの台詞から、注意の強さを言い分ける英語を見ていきます。

目次

「speed it up」と「hit the road」の重みの違い

話は、ジェイがフィルに不満をぶつけるところから動き出します。ジェイはジョーンを chatterbox(おしゃべりな人)と呼び、そのせいで駐車場が clogging up(詰まっている)と訴えます。フィルが会議の形式を整えようとすると、ジェイはそれを遮ってこう言います。

Jay: Put down your stupid notebook. You’re the one who wanted to hire her. You’ve got to tell her to speed it up or hit the road.
(そのくだらんノートを置け。あいつを雇いたがったのはお前だろう。手早くやるか、辞めるか、どっちかにしろと言ってこい。)

Phil: I want you to know that I hear you and will address this post-haste.
(ちゃんと聞いてるってことは分かってほしい。この件は早急に対処するよ。)

Modern Family Season8 Episode20 (All Things Being Equal)

speed it up の it は仕事の進み具合を指し、「ペースを上げろ」と改善を求める表現です。一方の hit the road は本来「出発する」という意味で、ここでは「ここから出ていけ」、つまり辞めてもらうことを表します。同じ注意でも、前者は続けてもらう前提、後者は去ってもらう前提という大きな差があります。

この二つを A or B でつなぐと、「改善するか、辞めるか」の二択を迫る言い方になります。相手に逃げ道を残さない分、職場で使えばかなり強い通告に聞こえる点に注意が要ります。実際の職場で改善だけを穏やかに求めるなら、Could you try to pick up the pace a little?(もう少しペースを上げてもらえますか)のように依頼の形にすると角が立ちにくくなります。

フィルの I hear you は「言いたいことは分かった」と受け止める決まり文句で、必ずしも同意まで含むとは限らないと言われます。post-haste は「至急」を意味する古風で大げさな語で、かしこまった返事にフィルらしさが表れています。

「You’re not here to socialize」と言われたら

その後、ジェイは自分でジョーンに注意しに行きます。ジョーンはジェイを迎えると、家族の名前を次々に挙げてあいさつします。

Joan: Hey, Jay. How’s Gloria, Manny, Joe, and Stella?
(あら、ジェイ。グロリアとマニー、ジョー、ステラは元気?)

Jay: What, do you got index cards? Listen, your chattiness is gumming up the works here. You’re not here to socialize, so just get ‘em in, get ‘em out.
(なんだ、暗記カードでも持ってるのか? いいか、お前のおしゃべりのせいでここが滞ってるんだ。世間話をしに来てるんじゃない。さっさと入れて、さっさと出せ。)

Joan: Are you asking me not to talk to people? ‘Cause that is what I do. And Phil don’t seem to have a problem with it.
(人と話すなってこと? それが私の仕事なんだけど。フィルは気にしてないみたいだけど。)

Jay: No, but I do.
(ああ、だが俺は気にする。)

Modern Family Season8 Episode20 (All Things Being Equal)

You’re not here to ~ は「〜するためにここにいるわけじゃない」と、相手に役割を思い出させるときの決まった形です。socialize は「人づきあいをする、世間話をする」という意味で、仕事中のおしゃべりをとがめる場面によく合います。続く get ‘em in, get ‘em out の ‘em は them の短縮で、車を「入れて、出す」という手順だけを短く命じています。gumming up the works(物事の流れを滞らせる)は同じ回のフレーズ記事でも取り上げています。

ジョーンの Are you asking me not to ~? は、確認の形を借りて「本気でそう言っているの?」と押し返す働きをしています。that is what I do は「それこそが私の仕事」と、自分のやり方を譲らない姿勢を示します。ジェイの No, but I do. は、直前の have a problem with it を受けて「フィルは気にしなくても、俺は気にする」と短く言い切る形です。

「straighten her out」と注意の行方

後の場面で、駐車場にやって来たフィルに、ジェイはジョーンがもういないことを伝えます。

Jay: You were supposed to handle it, but you didn’t, so I had to take time out of my extremely busy day and try to straighten her out. But she didn’t go along with the program, so she’s gone.
(お前が片付けるはずだったのに、やらなかった。だから俺がこの超多忙な一日から時間を割いて、あいつを正そうとしたんだ。だが、あいつは方針に従わなかった。だからもういない。)

Modern Family Season8 Episode20 (All Things Being Equal)

straighten someone out は「(態度ややり方を)正す、矯正する」という意味で、注意して改めさせようとしたことを表します。go along with the program の program は「決められた方針、やり方」のことで、「方針に従う」というくだけた言い回しです。she’s gone は「もういない」と結果だけを告げる言い方で、細かな経緯を語らない響きがあります。

ここまでの表現を、求めている内容の強さで並べると次のようになります。

表現 求めていること
speed it up 仕事のペースを上げてほしい
get ‘em in, get ‘em out 手順どおり手早く進めてほしい
straighten someone out 態度ややり方を改めさせたい
go along with the program 方針に従ってほしい
hit the road ここから去ってほしい

同じ「注意」でも、改善を促す段階と、関係を終える段階では使う言葉がはっきり分かれることが見て取れます。ジェイの場合、最初は speed it up か hit the road かの二択をフィルに託し、自分で注意したあとは she’s gone と結果だけを告げています。誰がどの段階で注意するかによって、選ばれる言葉が変わっていく流れも、この回の見どころです。

まとめ|注意の強さを言い分ける

改善を求める speed it up と、去ってもらう hit the road。役割を思い出させる You’re not here to ~、方針を示す go along with the program まで並べると、注意の段階ごとに言葉の重みが変わることが分かります。

駐車場をめぐる二人のやりとりを観ながら、言葉の強さの違いを確かめてみるのも一つの楽しみ方です。

二人がパートナーとしての関係を見直す場面や、別の家族の会話は、同じ回のほかのコラムで、個々の表現の使い方はフレーズ記事で扱っています。

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