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任されていたことをうっかり抜かしてしまい、あとから「しまった」と気づく場面があります。
そんなときに使える「drop the ball」を、『モダンファミリー』シーズン6第1話の後半、キャメロンが夫のミッチェルに、二人の時間をめぐる反省を打ち明ける場面から、一緒に見ていきましょう。
「drop the ball」の意味とニュアンス
drop the ball
意味:(やるべきことを)しくじる、ミスをする、やり損ねる
drop the ballは、ボールを受け取り損ねて落とすように、任されていたことや責任のあることをやり損ねる意味の比喩表現です。dropは「落とす」、ballは「ボール」という意味で、文字どおりには「ボールを落とす」になります。
ボールは、チームで受け渡していくものです。自分の番で落としてしまえば、そのあとの流れが止まります。個人の失敗というより、渡していくはずの流れを止めてしまった、という感覚が含まれます。この絵が、「自分が担当していたことを、やり損ねた」という意味につながっています。
形は、I dropped the ball.のような過去形や、I’ve dropped the ball.という現在完了で使えます。何の件でしくじったのかを言い添えたいときは、I dropped the ball on that report.のように、onのあとに件名を続けます。仕事の約束や家庭の役割など、担当がはっきりしていることを、やり損ねたと認める場面でよく合う言い方です。
【ここがポイント!】
- 「drop the ball」の核は、受け取るはずのボールを落とす、というやり損ねの絵
- I dropped the ballやI’ve dropped the ballの形で、自分の落ち度を認める使い方が中心
- 何の件かを添えるときは、onのあとに件名を置くのがコツ
『モダンファミリー』S06E01のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
ミッチェルが「そういうのは全部いきなり終わるわけじゃない」となだめると、キャメロンは付き合い始めの2年、子育てと仕事が中心になった時期、そしてこの1年を順に振り返ります。その末に、自分がしくじっていたと気づいたと打ち明ける場面です。ミッチェルがこの言葉にどう返すかにも注目です。
Mitchell: Well, that doesn’t all just end.
(でも、そういうのが全部いきなり終わるわけじゃないだろう。)Cameron: It did once. You know, the first two years we were together, we were insanely romantic. Then it became about parenting a-and working. And this last year, we got that back, and I just realized I’ve dropped the ball.
(一度は終わったんだよ。ほら、付き合い始めの最初の2年は、僕たち、めちゃくちゃロマンチックだったよね。それが子育てと仕事ばかりになっちゃって。この1年でそれを取り戻して、僕、しくじってたんだって今気づいたんだ。)Mitchell: Oh, no. Well, m-maybe you you shouldn’t be the only one carrying the ball. What if you did a give-off to me?
(ああ、そんな。でも、ボールを持つのが君ひとりじゃなくてもいいんじゃないかな。僕に受け渡す(give-off)っていうのはどう?)Cameron: A hand-off.
(ハンドオフだよ。)Modern Family Season6 Episode1 (The Long Honeymoon)
シーン解説と心理考察
「一度は終わった」というキャメロンの一言は、なだめる相手への率直な反論になっています。そこから、付き合い始めの2年、子育てと仕事が中心になった時期、この1年でロマンスを取り戻したことと、時間を順にたどって、話の重みを積み上げていきます。
そのうえで、I just realizedと、たった今気づいたという形で、I’ve dropped the ballを切り出します。ロマンスを取り戻した今になって、二人のロマンスを保つ役目を自分が落としていたと気づいた、という反省です。
ミッチェルの返しは、その言葉の選び方を拾っています。「ボールを持つのが君ひとりじゃなくてもいい」と、キャメロンが使ったballという語をそのまま受け取って、役目を一人で背負わなくていいという気持ちを伝えます。キャメロンが「ハンドオフだよ」と言い直す一言も、二人のやり取りの見どころです。
ballという語が、キャメロンの反省から、ミッチェルの気遣いへとそのまま渡されている点も、この場面の面白いところです。深刻な話し合いの中でも、たとえ話を続けながら言葉を拾い合う様子から、二人の間のやり取りの近さが伝わってきます。
『モダンファミリー』流・覚え方のコツ
チームで一つのボールを渡し合っている場面を思い浮かべてみましょう。誰かの手から手へ、ボールが順に渡っていくところで、自分の番だけ手を滑らせて落としてしまう、という絵です。
その瞬間、ボールは足元に転がり、チーム全体の流れが止まります。drop the ballは、この「自分の番で落としてしまった」という感覚を、そのまま言葉にしたものです。
キャメロンの「しくじっていた」も、大切にしていた時間を保つ役目を、自分が落としてしまった、という意味で使われています。ボールを落とす絵と、担当していた役目をやり損ねる意味を重ねて覚えておくと、この言い方が浮かびやすくなります。
例文で覚える「drop the ball」
任されていたことをやり損ねる場面で使うdrop the ballを、3つの例文で確認していきましょう。
I’m sorry, I dropped the ball on that report.
(すみません、あの報告書の件で私がしくじりました。)
仕事のミスを謝る場面です。onのあとにthat reportと件名を添えると、何をやり損ねたのかがはっきり伝わります。
We can’t afford to drop the ball this time.
(今回は失敗するわけにはいきません。)
重要な案件に臨む場面です。can’t afford toという形と組み合わせると、失敗が許されない状況だという緊張感が加わります。
A: Did you book the tickets?
B: Oh no, I totally dropped the ball.
(A:チケットは取った?)
(B:しまった、完全にやり損ねてた。)
手配を忘れていた場面を認める会話です。totallyを添えると、すっかり抜けていたという気持ちが強まります。
あわせて覚えたい関連表現
mess up
(しくじる、台無しにする)
mess upは、失敗する、台無しにするという広い意味を持つ言い方です。drop the ballは、任されていた役目や責任をやり損ねたという意味合いが前に出ます。
let someone down
((人を)がっかりさせる)
let someone downは、期待を裏切って相手を失望させることに焦点があります。drop the ballは、やるべきことをやり損ねた行為そのものを指します。
take one’s eye off the ball
(気を抜いて注意をそらす)
take one’s eye off the ballは、注意を怠ることを表します。drop the ballは、その結果としてやり損ねてしまうことを表す点が違います。
Note|会話の中で続いていく「ボール」のたとえ
drop the ballは、一度使われると、会話の中で同じたとえが続いていくことがあります。ここでは、シーンの中で「ボール」のたとえがどう続いていくのかを、台詞の流れから整理します。
まず、キャメロンがI’ve dropped the ball.と言います。ここでのballは、二人のロマンスを保つ役目を指すたとえです。落としたのは、その役目でした。
次に、ミッチェルがyou shouldn’t be the only one carrying the ballと返します。carryは「運ぶ・持つ」という意味で、ボールを持つ役目を一人で背負わなくていい、という気持ちになります。dropという「落とす」動きに対して、carryという「持ち続ける」動きを選んでいるところが、たとえを受け取った返し方です。
さらに、ミッチェルはgive-offと言い、キャメロンがhand-offと言い直します。hand-offは、手から手へ渡すことを表す語で、ボールを持つ役目をミッチェルへ渡す、という意味になります。dropからcarry、そしてhand-offへと、同じボールのたとえを使って、責任をどう分け合うかへ話が進んでいます。
drop the ballを覚えるときは、この続き方も含めて、ボールを落とす、持つ、渡すという一連の動きで捉えておくと、会話の中でたとえが続いていったときにも、流れをつかみやすくなります。
まとめ|ボールを落とした、その先の会話
drop the ballは、任されていたことや責任のあることをやり損ねる意味の比喩表現です。I’ve dropped the ball.のように、自分の落ち度を認める形で使われる場面が中心です。
仕事の約束や家庭の役割など、担当がはっきりしていることをやり損ねたときに使える言い方です。mess upやlet someone downとの違いを押さえておくと、伝えたい中身に合わせて選べます。
キャメロンが自分の落ち度を認め、ミッチェルがボールのたとえを受け取って役目を分け合う方向へ返していく流れには、drop the ballという一言が会話を動かす力が表れていました。失敗を認める場面で、この言い方が使えます。


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