「back out of」の意味と使い方|『Friends』S06E12で学ぶ英会話

「back out of」の意味と使い方を解説

海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。

一度は引き受けた約束を、あとから取り消したくなって、気まずい思いをしたことはありませんか。

そんな場面で出てくる「back out of」を、『フレンズ』シーズン6第12話の前半、フィービーの答えが頭から離れないモニカと、ジョークを取られたと不満を並べるチャンドラーの会話から、一緒に見ていきましょう。

目次

「back out of」の意味とニュアンス

back out of
意味:(約束・計画・取り決めなどから)手を引く、取りやめる

back out of は、いったん関わる姿勢を見せた約束・計画・取り決めから、あとになって身を引くことを表す句動詞です。back は「後ろへ」、out of は「〜の外へ」を表し、後ろへ下がりながら外へ出ていく動きが、そのまま意味になっています。

後ろには、取り決めや計画、約束、取引といった名詞が続きます。back out of the deal なら取引から手を引く、back out of the trip なら旅行への参加を取りやめる、という意味です。すでに話が進んでいたことを引っ込める点が特徴で、最初から参加しない「断る」とは動きが違います。また、自分が先に出した答えや発言を取り下げる場面でも使われます。今回のシーンは、この使い方です。

さらに、過去形の tried to が前に付くと、「引っ込めようとしたが、うまくいかなかった」という含みが出ます。取りやめたかどうかより、取りやめようとした動きそのものに焦点が当たる言い方です。

【ここがポイント!】

  • 「back out of」の核は、いったん関わったあとで後ろへ下がる動き
  • 約束・計画・取引などの名詞や、先に出した答えを取り下げる場面で使う表現
  • tried to と組み合わせると、引っ込めようとして失敗した含みが出る

『フレンズ』S06E12のシーンで見てみよう

意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。

少し前の場面で、誰か一人を選ぶなら誰かという質問が出て、フィービーは一度「レイチェル」と答えたあと、「わからない」と言い直しています。モニカはその言い直しを引きずっていて、ここでフィービーの態度を振り返りながら不満を口にします。会話に加わるチャンドラーは、モニカの話に自分の不満を重ねていきます。

Monica: I mean, she tried to back out of it but it was obvious– she picked Rachel.
(というかね、あの子は取り消そうとしたけど、見え見えだったのよ。レイチェルを選んだの。)

Chandler: He took my joke; he j-just took it.
(あいつ、俺のジョークを取ったんだ。ただ取っていったんだよ。)

Monica: That’s wrong. You know what else is wrong? Phoebe picking Rachel.
(それはひどいわ。ほかにもひどいことがあるのよ。フィービーがレイチェルを選んだことよ。)

Chandler: You know who else picked Rachel? Ross. You know what else Ross did? He stole my joke.
(ほかにレイチェルを選んだのは誰だと思う? ロスだよ。ロスがほかに何をしたと思う? 俺のジョークを盗んだんだ。)

Friends Season6 Episode12(The One with the Joke)

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シーン解説と心理考察

モニカの「取り消そうとしたけど見え見えだった」という言い方には、フィービーの言い直しを額面どおりに受け取っていない気持ちがにじんでいます。文中の it が指しているのは、フィービーがいったん「レイチェル」と答えた選択です。あとから「わからない」と言い直しても、先に出た答えのほうが本音だったと、モニカは受け止めています。

tried to という形にも注目です。取り消すことに成功したなら、モニカの不満は残りません。取り消そうとしたが、隠しきれなかったという含みがあるからこそ、「見え見え」と続く文が生きてきます。そのあとに she picked Rachel と言い切っている点にも、この一件がモニカの中で引っかかり続けている様子が表れています。

そこへチャンドラーが、ジョークを取られた話を差し込みます。モニカは「それはひどい」と受けたうえで、「ほかにもひどいことがある」と自分の不満に話を戻し、チャンドラーはその言い回しをそのまま借りて、ロスの話につなげます。それぞれ別の不満なのに、同じ言い方で不満を並べ合ううちに、2人の話が同じ方向へ流れていくのが面白いところです。互いの言い回しを借り合う呼吸が、会話の温度を変えています。

『フレンズ』流・覚え方のコツ

狭い通路を、後ろ向きに下がりながら外へ出ていく姿を思い浮かべてみましょう。中へ進んでいたはずの足が、途中から後ろへ戻っていきます。この動きが、いったん関わった約束や答えから身を引く back out of の感覚です。

モニカの話に出てきたフィービーの「わからない」という言い直しも、この後ずさりの動きと重なります。「レイチェル」と言ってしまったあとで、一歩下がって引っ込めようとした姿です。ただし、下がりきれず、先に出した答えが見えてしまっています。後ろへ下がる動きと、それを見抜かれた場面をセットで覚えておくと、back out of の姿が思い出しやすくなります。

このエピソードの他のフレーズ

例文で覚える「back out of」

back out of は、約束や計画といった名詞を後ろに置くのが基本の形です。3つの例文で、使い方の幅を確認していきましょう。

He backed out of the deal at the last minute.
(彼は土壇場で取引から手を引いた。)
ビジネスで、契約の直前に相手が撤退した場面です。back out of の後ろに the deal と、取り決めを表す名詞が来る基本の形です。

A: Are you still coming to the party?
B: I’m sorry, but I have to back out of it.
(A:パーティーにはまだ来られそう?)
(B:ごめん、やっぱり参加を取りやめなきゃいけなくなったんだ。)
友人同士のカジュアルな会話です。it が前に話題に出たパーティーを指しており、いったん参加すると言っていた予定を引っ込めるときの使い方です。

She promised to help, but she backed out of it the night before.
(彼女は手伝うと約束していたのに、前の晩になって手を引いた。)
約束を取り下げられた側の不満を語る場面です。「約束したのに」という前提があるため、back out of には、責める気持ちがにじみやすくなります。

あわせて覚えたい関連表現

pull out of
(〜から撤退する)
計画や参加していた場所から、身を引き上げる動きを表します。back out of が約束や取り決めから身を引く点に重心があるのに対し、pull out of は、引き上げるという動きそのものに重心があります。

drop out of
(〜から途中で抜ける)
学校や活動など、続けていたものから途中で離れることを表します。back out of が約束の取りやめなのに対し、drop out of は、続けていた活動からの離脱を指します。

go back on one’s word
(約束を破る)
言ったことを守らないという、行為の中身を表す言い方です。back out of が取りやめる動きを表すのに対し、go back on one’s word は、言葉に反したという点を強く表します。

Note|「手を引く」を表す4つの表現を、目的語で使い分ける

日本語の「手を引く」は、約束から降りる場面にも、計画から抜ける場面にも使えます。英語では、後ろに来る語や、何に重心を置くかで、選ぶ表現が変わります。

back out of は、いったん関わった約束・計画・取り決めを取りやめる場面で使います。pull out of は、参加していた計画や場所から引き上げる場面に向きます。drop out of は、学校や活動など、続けていたものから途中で離れる場面に向いています。go back on one’s word は、取りやめる動きではなく、言ったことを守らなかったという中身を表します。同じ「約束を取りやめる」場面でも、back out of は動きを、go back on one’s word は言葉との食い違いを描く点が違います。

今回のシーンで、モニカは「she tried to back out of it」と言っています。it は、フィービーが先に出した答えです。この it は先に出した答えを指していて、「約束」ではなく「答え」を取り下げる使い方になっています。もし「約束を破った」ことを責めるなら、go back on one’s word のほうが向きます。ここでは、答えを引っ込めようとした動きを描きたいので、back out of が選ばれています。

4つの表現を、動きと言葉のどちらに重心があるかで分けておくと、使い分けの手がかりになります。

まとめ|引っ込めようとした一言は、隠せなかった

back out of は、いったん関わった約束・計画・答えから、あとになって身を引く動きを表す句動詞です。取り消そうとした、という含みは、tried to を前に置くことで加わります。

予定の取りやめを伝えるときにも、先に言ったことを引っ込めたくなったときにも、後ずさりの動きを一つ頭に置いておくと、選ぶ表現に迷いにくくなります。約束や取引の名詞を後ろに置く形は、そのまま会話の中で使える型になります。

取り消したつもりの一言が、かえって相手の記憶に残ってしまう。そんなモニカの言い方を思い出しながら、約束から身を引く場面の言い方として、表現の引き出しに加えてみてください。

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