海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
身近な人が理不尽な目にあっているのを見て、黙っていられなくなった経験はありませんか。
そんな場面で使われる「get away with」を、『フレンズ』シーズン6第12話の後半、オーディションに行ったせいで仕事を失ったと話すジョーイに、レイチェルが憤る場面から、一緒に見ていきましょう。
「get away with」の意味とニュアンス
get away with
意味:(悪いこと・許されないことを)とがめられずに済ませる、やり得にする
get away with は、悪いことや許されないことをしたのに、罰や非難を受けないまま済んでしまうことを表す句動詞です。away は「離れて」、with は「〜を伴って」という意味で、責任から離れたまま、事を持ち逃げするようなイメージがあります。
後ろには、済ませてしまう行為が、名詞や動名詞の形で続きます。get away with being late なら「遅刻をとがめられずに済ませる」、get away with it なら「それをやり得にする」です。うまくごまかして済ませた、という軽い場面でも使えますし、責められるべきことが責められなかったという、不満の場面でも使えます。
周りの人の視点から言う場合は、let 人 get away with ~ の形になります。「(人)に~をやり得にさせる、見逃す」という意味で、済ませてしまう側ではなく、見逃す側の言い方です。今回のシーンも、この形が使われています。
【ここがポイント!】
- 「get away with」の核は、責任から離れて、そのまま持ち逃げするイメージ
- 済ませる側の get away with と、見逃す側の let 人 get away with の2つの視点がある表現
- can’t や won’t と組み合わせると、やり得にはさせない、という宣言になる
『フレンズ』S06E12のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
オーディションを受けたジョーイは、役を逃したうえに、店の仕事まで失ったと話します。ジョーイに店を任せて出かけたガンターに、ジョーイは解雇されたのです。レイチェルは、事情を聞くうちに、ガンターの対応に納得がいかなくなります。ここで、ジョーイの諦めた調子と、レイチェルの強い反応が向き合います。
Rachel: How did you lose your job here?
(ここでの仕事、どうしてなくなっちゃったの?)Joey: Well, I had the audition but Gunther said I had to stay here and be in charge so he could go get his hair dyed. So, I went anyway and then he fired me.
(いやさ、オーディションはあったんだけど、ガンターに、ここに残って店を任されろって言われたんだ。あいつが髪を染めに行くためにな。で、それでも行ったら、クビにされたんだよ。)Rachel: He left work in the middle of the day to do a personal errand and left you in charge when you’ve been working here for two days. That’s not right.
(あの人、日中に仕事を抜けて私用を済ませに行って、ここで働き始めて二日のあなたに店を任せたの? そんなの、おかしいわ。)Joey: What are you going to do?
(どうしろっていうんだよ?)Rachel: Well, Joey you can’t let him get away with that. You know what? I’m not going to let him get away with that.
(ジョーイ、あの人にこのまま好き勝手させちゃだめよ。いい? 私、あの人をこのままにはしておかないから。)Friends Season6 Episode12(The One with the Joke)
シーン解説と心理考察
レイチェルは、ジョーイの話をそのまま受け止めるのではなく、自分の言葉で整理し直します。「日中に私用で店を離れた」「働き始めて二日の相手に店を任せた」という2点を並べたうえで、「That’s not right.」と言い切ります。事情を整理して、問題点を明らかにしてから結論を述べる流れが、ガンターの対応の理不尽さを際立たせています。
一方のジョーイは、「What are you going to do?」と返します。問いかけの形ですが、実際には、どうしようもないという諦めが込められた一言です。解雇された側の立場が、この短い返しに表れています。
ジョーイは、ガンターが店を空けた理由を、髪を染めに行くためだと具体的に語っていました。レイチェルはそれを「personal errand(私用)」の一語にまとめ直します。
ここで、レイチェルの言葉が、助言から宣言へと変わっていきます。最初の「you can’t let him get away with that」は、ジョーイに向けた言葉です。続く「You know what?」で一度間を置いたあと、「I’m not going to let him get away with that.」と、主語を you から I に切り替えて、自分がやるという決意を示します。同じ言い回しを2度使うことで、他人事だった問題が、自分の問題に変わっていく流れが読み取れます。このあと、レイチェルは店にいるガンターに、直接かけ合いに向かいます。
『フレンズ』流・覚え方のコツ
何かを抱えたまま、見つからずにそっと現場から離れていく人影を思い浮かべてみましょう。away は離れる動き、with は抱えたまま、という意味です。責任を負わずに、そのまま逃げ切る姿が、get away with の芯にあります。
レイチェルの「can’t let him」は、その人影の腕をつかんで、離れていくのを止める動きに近い言い方です。逃げ切らせない、という気持ちが、let を否定した形に込められています。人影と、それを止める手の絵をセットで覚えておくと、let 人 get away with の形も思い出しやすくなります。get away with が「逃げ切る側」、let が「止めずに通す側」と、2つの立場を頭の中で分けておくと、否定形に切り替わったときの意味も、すぐに読み取れます。
例文で覚える「get away with」
get away with は、済ませる側にも、見逃す側にも使えます。3つの例文で、場面ごとの使い方を確認していきましょう。
He thought he could get away with being late every day.
(彼は毎日遅刻しても許されると思っていた。)
職場で、遅刻が続く同僚を語る場面です。後ろに being late と動名詞を置くと、済ませようとした行為が具体的に伝わります。
A: Did anyone notice the typo?
B: No, I got away with it.
(A:誤字に誰か気づいた?)
(B:ううん、うまくごまかせたよ。)
ささいなミスがばれなかったことを、友人同士で話す場面です。it が誤字のことを指しており、軽い調子で使えます。
You won’t get away with this.
(こんなことをして、ただで済むと思わないで。)
強い警告を出す場面です。won’t と組み合わせると、やり得にはさせない、という宣言になります。
あわせて覚えたい関連表現
get off the hook
(責任を問われずに済む)
責任や追及から解放されることを表します。get away with が悪いことを済ませてしまう点に重心があるのに対し、get off the hook は、責任から解放される点に重心があります。
let it slide
(見逃す、大目に見る)
問題を大目に見て、そのままにすることを表します。let it slide は見逃す側の行動で、get away with は、済ませた側の結果を表します。
turn a blind eye
(見て見ぬふりをする)
気づいていながら、知らないふりをすることを表します。get away with は、結果として済んでしまう点を表し、こちらは、見逃す側の態度を強く表します。
Note|get away with は、誰の視点で言うかで形が変わる
get away with は、誰の視点で語るかによって、使う形が変わります。3つの視点を整理しておくと、使い分けが楽になります。
1つ目は、済ませてしまった側の視点です。get away with + 名詞・動名詞、または get away with it の形で、「済ませた」「やり得にした」という結果を表します。He got away with it. のように、過去形で使うこともあります。2つ目は、周りで見ている側の視点です。let 人 get away with ~ の形で、「人にやり得をさせる、見逃す」という意味になります。3つ目は、否定形です。can’t や won’t と組み合わせて、「やり得にはさせない」「ただでは済まさない」という宣言になります。
今回のレイチェルの言葉は、この2つ目と3つ目の組み合わせです。「you can’t let him get away with that」は、周りの視点の let 人 get away with を、can’t で否定した形です。続く「I’m not going to let him get away with that」も、同じ形を、主語を I にして繰り返しています。
視点の違いを意識すると、let の有無で、意味の向きが逆になることが見えてきます。
まとめ|「黙っていない」を、主語の切り替えで伝えた一場面
get away with は、悪いことをしたのに、とがめられずに済んでしまうことを表す句動詞です。済ませた側の get away with と、見逃す側の let 人 get away with を、視点の違いとして押さえておくと、使い分けに迷いにくくなります。
職場でのささいな見逃しにも、納得のいかない扱いへの抗議にも使えます。can’t や won’t と組み合わせると、やり得にはさせない、という強い意志を示す言い方になります。
レイチェルは、ジョーイに向けた助言を、自分の決意に切り替えながら、この表現を2度使いました。納得のいかない出来事に向き合う場面の言い方として、表現の引き出しに加えてみてください。


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