「this coming from」の意味と使い方|『Friends』S06E13で学ぶ英会話

「this coming from」の意味と使い方を解説

海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。

自分のことは棚に上げて注意してくる相手に、思わず「その口でそれを言う?」と返したくなった経験はありませんか。

そんな場面で使える「this coming from」を、『フレンズ』シーズン6第13話の前半、ジョーイが友人たちの注文の合計金額を告げた直後に、チャンドラーが電話代の一件を持ち出して切り返すシーンから、一緒に見ていきましょう。

目次

「this coming from」の意味とニュアンス

this coming from
意味:(そんなことを)よく言うよ、〜が言うか

this coming fromは、相手の発言に対して「その言葉を、この人が言うのか」と、発言した本人の資格を突く皮肉の言い方です。This is coming from … のisが省かれた形で、fromのあとには相手を指す名詞句が続きます。多くの場合、the man who … のような関係詞節で、相手の過去の言動を添えます。

文字どおりには「これは〜から出てきたものだ」という意味です。ここでの「これ」は、直前に相手が口にした言葉や行動を指します。その言葉と、言った本人のふだんの行いとが食い違っているときに、食い違いをそのまま指摘する形になります。

声を荒らげて責めるというより、軽い皮肉やからかいとして返せる言い方です。This coming from you? のように、名詞句だけで言い切る形もあります。相手の言葉の中身には触れず、言った本人へ視線を向けさせる点が、この表現の特徴です。

【ここがポイント!】

  • 「this coming from」の核は、発言の中身ではなく、発言した本人の資格を突くこと
  • This is coming from … のisが省かれた形で、fromのあとに相手を指す名詞句を置く
  • the man who … のような関係詞節で相手の過去の言動を添えると、皮肉が具体的になる

『フレンズ』S06E13のシーンで見てみよう

意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。

ジョーイが、レイチェル、ロス、チャンドラー、フィービーの注文を一人ずつ挙げていき、最後に合計金額を告げるところから始まる場面です。その金額に、チャンドラーが電話代の一件を持ち出して返します。続けて、マフィンとラテの代金を尋ねる人物が現れ、ジョーイが挨拶を返します。

Joey: So, all together, that’s $12.75.
(全部合わせて、12ドル75セントだよ。)

Chandler: This coming from the man who couldn’t split our $80 phone bill in half.
(電話代の80ドルを半分にも割れなかった男が、それを言うか。)

Woman: Hi.
(こんにちは。)

Joey: Hi.
(やあ。)

Woman: How much do I owe for the muffin and latte?
(マフィンとラテの分、いくら払えばいいの?)

Friends Season6 Episode13(The One with Rachel’s Sister)

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シーン解説と心理考察

チャンドラーの「This coming from …」は、ジョーイの会計ぶりに向けた皮肉です。ジョーイは友人たちの注文を一人ずつ挙げたあと、「So, all together, that’s $12.75.」と合計を告げています。お金の計算を仕切る立場に立ったジョーイに対して、チャンドラーが持ち出すのは、二人にかかわる電話代80ドルを半分にも割れなかったという過去の一件です。

チャンドラーは、ジョーイの言動を責める言葉を並べていません。「the man who …」と、過去の出来事を言い切るだけで返しています。今まさに合計を出している姿と、電話代を分けられなかった過去とを並べ、その落差だけで皮肉を成り立たせているところが印象的です。

一方で、この一言に対するジョーイの返事は、引用した台詞の中には出てきません。その直後に、マフィンとラテの代金を尋ねる人物が「Hi.」と声をかけ、ジョーイも「Hi.」と返します。皮肉が宙に浮いたまま、話が新しい相手とのやり取りへ移っていく運びが、軽い日常のやり取りという空気を作っています。

短い切り返しが、過去の一件を思い出させる一言として働いているという場面です。関係詞節がひとつ付くだけで、単なる「よく言うよ」が、具体的な出来事を背負った皮肉に変わります。相手の過去を引き合いに出すため、言われた側は反論の前に、その出来事を思い出すことになります。言葉数を増やさずに、相手の立場を揺らす効き方をしているのが分かります。

『フレンズ』流・覚え方のコツ

言葉の「出どころ」に、指を差す動作を思い浮かべてみましょう。「この言葉は、どこから来たのか」とたどっていった先に、本人の顔がある。そんな感覚が、this coming from という短い形に詰まっています。

チャンドラーの場面では、指の先にいるのはジョーイで、その横に電話代の一件が添えられていました。言葉の中身より先に、言った人物へ視線を向ける表現として、fromのあとに「誰が言ったのか」を置く形ごと覚えておくと、皮肉を返したい場面で言葉が浮かびやすくなります。

日本語なら「どの口が言うの」「よく言うよ」に当たる場面です。ただし英語では、from のあとに相手の過去の言動を具体的に続けられるため、皮肉の中身まで一文の中に収まります。指を差す先と、その人物が過去にしたことが、ひと続きの文として組み上がる形です。

例文で覚える「this coming from」

忠告への切り返し、往復の会話、職場の一言の3つで、使い方を確認していきましょう。

You’re telling me to relax? This coming from the guy who checks his email every five minutes.
(リラックスしろって? 5分おきにメールを確認する人がそれを言う?)
自分を棚に上げた忠告に返す場面です。fromのあとに、相手の過去の言動を関係詞節で添えると、皮肉が具体的になります。

A: You really should clean your desk.
B: This coming from the person whose desk is covered in coffee cups?
(A:机をちゃんと片づけたほうがいいよ。)
(B:コーヒーカップだらけの机の人が、それを言うの?)
互いに片づけが苦手な同僚同士の会話です。名詞句のあとに、whose を使って相手の様子を続ける形も作れます。

This coming from someone who was late three times this week.
(今週3回も遅刻した人が、それを言う?)
時間厳守を説かれた場面です。「three times this week」のように回数を入れると、食い違いがはっきり伝わります。

あわせて覚えたい関連表現

look who’s talking
(よく言うよ、人のことが言えるの?)
look who’s talking は、単独で言い切る決まり文句です。this coming from は、fromのあとに相手を指す名詞句を続けて、皮肉の理由まで添えられる点が異なります。

the pot calling the kettle black
(自分のことを棚に上げて人を責めること)
the pot calling the kettle black は、自分にも同じ欠点があるのに相手を責める状況そのものをたとえる言い方です。this coming from は、目の前の発言に対する反応として使います。

coming from you
(その人に言われると)
coming from you は、続く文によって好意的にも皮肉にもなります。this coming from は、相手の資格を疑う皮肉の向きに使われる点が異なります。

Note|同じ「coming from」が皮肉にも好意にもなる分かれ目

this coming from と coming from you は、どちらも「from のあとの人物」に注目させる形です。ところが、日本語にすると前者は「よく言うよ」、後者は「その人に言われると」となり、向きが違って見えます。

この差を決めているのは、続く言葉です。this coming from は、あとに「the man who couldn’t split …」のような相手の食い違う言動が続くため、言った本人の資格を疑う皮肉になります。一方の coming from you は、続く文が「that’s a compliment」であれば、相手だからこそ重みがある、という好意的な意味になります。同じ coming from でも、あとに続くのが「食い違う事実」か「相手への評価」かで、向きが決まります。

チャンドラーの場面は前者です。from のあとに電話代の一件という食い違う事実が置かれているため、皮肉の向きがはっきりしています。

同じ形でも、続く言葉で意味の向きが変わる表現です。

まとめ|「誰が言うか」を突く、短い切り返し

this coming from は、相手の発言に対して「その言葉を、この人が言うのか」と、発言した本人の資格を突く表現です。This is coming from … のisが省かれた形で、fromのあとに相手を指す名詞句を置き、関係詞節で過去の言動を添えると、皮肉が具体的になります。

チャンドラーは、合計金額を告げたジョーイに対して、電話代を半分にも割れなかった過去の一件を言い切るだけで返していました。責める言葉を重ねず、事実を並べて相手の言葉を宙に浮かせる運びが、この一言の見どころです。

言葉の中身より、言った人物の言動に視線を向けたい場面で、会話のレパートリーに加えてみてください。

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