海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
問い詰められて言葉に窮したとき、「じゃあ、そういうことにしておく」と話をまとめて、その場を収めようとする瞬間が、ドラマには時々あります。
そんな折り合いの一言に出てくる「not one’s type」を、『フレンズ』シーズン6第13話の中盤、ジルがレイチェルに、ロスについて聞かれる場面から、一緒に見ていきましょう。
「not one’s type」の意味とニュアンス
not one’s type
意味:(人が)好みのタイプではない
not one’s typeは、恋愛や交際の相手について、「自分の好みには当てはまらない」と伝える言い方です。one’s の部分には、my、your、his、her などが入ります。原形は not one’s type で、作中では one’s が my に置き換わった not my type の形で登場します。
typeは「種類、タイプ」の意味で、one’s type は「その人が好む種類の人」を指します。相手の人柄や価値を評価する言葉ではなく、あくまで自分の好みの範囲を示す言い方です。そのため、相手を直接否定せずに、誘いや紹介を断りたいときに使えます。
主に人を指しますが、not my type of + 名詞 の形にすると、映画や食べ物など、物事の好みにも使えます。人にも物事にも「自分の好みの範囲に入らない」という一点で、同じ形が働きます。日本語では、人には「タイプ」、物事には「好み」と言い分けたくなるところですが、英語では type という一語がどちらも受け持っています。
【ここがポイント!】
- 「not one’s type」の核は、相手の良し悪しではなく、自分の好みの範囲を示すこと
- one’s には my、your、his などが入り、作中では not my type の形
- not my type of + 名詞 の形にすると、人だけでなく物事の好みにも使える
『フレンズ』S06E13のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
ジルがロスを「ちょっと本の虫っぽい」と評したところから、レイチェルが「オタクだって言いたいの?」と確かめる場面です。レイチェルがロスに何か問題があるのかと尋ねた流れの続きで、ジルは話をまとめようとし、レイチェルが問い返します。
Rachel: Are you saying he’s a geek?
(彼がオタクだって言いたいの?)Jill: You think so, too?
(あなたもそう思う?)Rachel: No. No, Ross is not a geek.
(ううん、違う。ロスはオタクなんかじゃないわ。)Jill: Fine. Then let’s just say he’s not my type.
(いいわ。じゃあ、彼は私のタイプじゃないってことにしておくわ。)Rachel: Handsome is not your type?
(ハンサムがタイプじゃないの?)Friends Season6 Episode13(The One with Rachel’s Sister)
シーン解説と心理考察
ジルの「Fine. Then let’s just say he’s not my type.」は、話をひとまず収めるための一言です。「Fine.」でレイチェルの否定をいったん受け入れ、「Then let’s just say …」で「〜ということにしておこう」と続けています。細かい理由を説明せず、好みの問題としてまとめる言い方です。
ここでの not my type は、レイチェルの「ロスに何か問題があるのか」という問いに対する答えの置き換えになっています。ロスの性格や外見を評価する言葉ではなく、自分の好みの範囲に入らないという言い方にすることで、追及をかわしています。「type」という言葉が、理由の説明を求められにくい答えとして働いています。好みは人それぞれで、理由を重ねて説明しなくても成り立つため、追及を打ち切る言葉として都合のよい形をしています。
一方のレイチェルは、ジルの言葉を素直に受け取りません。「Are you saying he’s a geek?」と確かめ、「No. No, Ross is not a geek.」と「No」を重ねて否定し、最後は「Handsome is not your type?」と問い返します。続く発言では、賢さや優しさも挙げて食い下がっています。ジルが好みという言葉で話を終わらせようとするほど、レイチェルは具体的な長所を並べて、その言葉の中身を問い直していく形になっています。
好みという曖昧な言葉と、長所を数え上げる具体的な言葉が向かい合う、温度差が印象的です。二人の言い分が食い違ったまま会話が進んでいく点にも、注目です。ジルの「let’s just say」は本心の断言というより、その場の折り合いのつけ方として置かれています。「言うことにしよう」と二人に向けた形を取っているため、自分ひとりの結論ではなく、話し相手と一緒に落としどころを探る響きが加わっています。この場面のあとでジルの言い分が変わっていくことも、その表れと言えます。
『フレンズ』流・覚え方のコツ
好みの相手を分ける「棚」を思い浮かべてみましょう。目の前の人が、その棚の分類に当てはまらない。その感覚が「not my type」です。棚の中身は人それぞれで、当てはまらないことは、相手の価値が低いという意味にはなりません。
ジルの場面でも、棚の話として言い切ることで、ロスの人柄への評価とは切り離しています。ジル自身も、ロスを「nice」と評した流れの中で、この言葉に落ち着いています。「好みの棚に入らない」と言えば、相手を否定せずに断れる。そんな使い方を、場面ごと頭に置いておくと便利です。「彼は悪くないけれど、自分の棚とは違う」という二つの気持ちを、一言に収められる点が、この表現の使いやすさにつながっています。
one’s の部分は、話し手に合わせて my、your、his、her と入れ替わります。「誰の棚の話か」が one’s の位置に入る、と覚えると、形を作るときに迷いません。
例文で覚える「not one’s type」
友人の紹介を断る場面、往復の会話、物事の好みへの応用の3つで、使い方を確認していきましょう。
He’s a nice guy, but he’s not my type.
(彼はいい人だけど、私のタイプじゃないの。)
友人から紹介された相手を断る場面です。人柄は認めたうえで、好みの問題として断る形です。
A: Why don’t you go out with him?
B: He’s just not my type.
(A:どうして彼と出かけないの?)
(B:単純に、私のタイプじゃないんだよね。)
交際を勧められて断る会話です。justを添えると、深い理由はない、という軽さが加わります。
Horror is not really my type of movie.
(ホラーは、あまり私の好みの映画じゃない。)
not my type of + 名詞 の形で、物事の好みを言う例です。「type of movie」と続けると、人ではなく映画の好みになります。
あわせて覚えたい関連表現
my type
(私のタイプ、好みの相手)
my type は、自分の好みに当てはまる相手を指します。not my type は、その否定形です。
out of my league
(自分には釣り合わない、高嶺の花)
out of my league は、相手のほうが上で釣り合わないという意味です。not my type は、上下ではなく好みの問題という点が異なります。
not my cup of tea
(私の好みではない)
not my cup of tea は、人にも物事にも使えます。not my type は、人が中心で、not my type of + 名詞 の形にすると物事にも使える点が異なります。
Note|日本語の「タイプ」と英語のtypeが指す範囲のずれ
日本語の「タイプじゃない」は、恋愛の対象として好みではない、という意味を持つ言い方です。相手が人でなければ、「好みじゃない」「趣味じゃない」と別の言い方になります。
英語のtypeは、「種類」という広い意味の言葉です。one’s type は「その人が好む種類の人」を指し、not my type of + 名詞 とすれば、映画や食べ物といった物事にも使えます。人か物事かで言葉が変わる日本語と違い、英語は同じ type の形が、人にも物事にも広がっています。
ジルの場面では、ロスを恋愛の対象として見たときの好みの話なので、日本語の「タイプじゃない」がそのまま当てはまります。一方、映画の好みを言う場面で「タイプじゃない」と訳すと、不自然な日本語になります。
同じtypeでも、日本語は人に寄り、英語は物事にも広がります。
まとめ|好みという言葉で、話に区切りをつける
not one’s typeは、恋愛や交際の相手について、「自分の好みには当てはまらない」と伝える表現です。one’s の部分に my、your、his、her が入り、not my type of + 名詞 の形にすると、物事の好みにも使えます。
ジルは、レイチェルに問われて、「Then let’s just say he’s not my type.」と、好みの問題として話に区切りをつけようとしていました。それに対して、レイチェルが長所を並べて食い下がる、温度差のある場面でした。
相手の価値を下げずに、自分の好みだけを伝えたい。そんな場面で使える言い方です。


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