海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
今回は『ホワイトカラー』シーズン4 第6話から、モジーが幼い頃に思い描いた両親の物語をめぐる二つの会話を取り上げます。一つはニールがピーターにモジーの心の内を説明する場面、もう一つはモジー自身がその物語を振り返る場面です。
同じ tell oneself という形が、他人の心を説明するときと自分を語るときの両方に出てくる点に注目しながら見ていきます。
「tells himself these stories」で、他人の心の動きを説明する
この回の出かける前の場面で、モジー自身が次のように口にしています。
Mozzie: You know, I once entertained the idea that my birth parents were spies.
(そういえば、私はかつて、生みの親がスパイだという考えを抱いたことがある。)White Collar Season4 Episode6 (Identity Crisis)
entertain the idea that 〜 は「〜という考えを抱く」で、本気で信じるというより、頭の中で可能性を温める響きがある表現です。
待ち合わせの最中、モジーのスパイ話を後押しする理由をピーターに問われたニールは、モジーが孤児だと前置きしてから説明を始めます。
Neal: Well, an orphan’s gonna wonder about his parents. So, he imagined they were spies. Mozzie’s first conspiracy theory and his coping mechanism.
(孤児なら、親のことを考えるものだよ。だから、両親はスパイだったと想像した。モジーにとって最初の陰謀論で、気持ちに折り合いをつける方法でもあるんだ。)White Collar Season4 Episode6 (Identity Crisis)
an orphan’s gonna 〜 の be gonna は、ここでは予定ではなく「そういう立場なら当然〜するものだ」という自然な成り行きを表しています。coping mechanism は、つらい状況に対処するための心の働きを指す言葉です。
さらにニールは、その物語がモジーにとってどんな役割を持つのかを一文にまとめます。
Neal: Mozzie tells himself these stories to maintain his faith in the world.
(モジーはそういう話を自分に言い聞かせて、世の中への信頼を保ってるんだ。)White Collar Season4 Episode6 (Identity Crisis)
tell oneself 〜 は「自分に〜を言い聞かせる」という再帰代名詞を使った形で、ここでは目的語が these stories です。to maintain は目的を表す不定詞で、faith in 〜 は「〜への信頼」を指します。
「just a story」で、自分の物語に区切りをつける
後半、両親について調べ物をしていたモジーに、ニールが声をかけます。モジーは、孤児院のほかの子どもたちを感心させようと三年生のときに作った影絵の人形を見せ、ニールに促されてその物語を最後まで演じます。語り終えたあとの会話がこちらです。
Neal: It’s a really great story.
(すごくいい話だよ。)
Mozzie: That’s all it is, Neal — just a story… An 8-year-old tells himself to hide the fact that his parents didn’t want him.
(それだけのことだ、ニール。ただの物語だ……。8歳の子どもは、自分に言い聞かせる。親に望まれなかったという事実を隠すために。)
Neal: I’m sorry.
(気の毒に。)White Collar Season4 Episode6 (Identity Crisis)
That’s all it is は「それ以上のものではない」と、相手の評価を小さく言い直す言い方です。続く just a story の just が「ただの」と念を押しています。
An 8-year-old tells himself では、主語が I ではなく「8歳の子ども」という三人称になっています。自分の体験を一般の子どもの話として語ることで、少し距離を置いた言い方になっていると読み取れます。ここでは tells himself のあとに言い聞かせる中身が置かれていないため、直前の just a story を受けた形と読むと、to hide the fact that 〜 が「〜という事実を隠すために」という目的を表します。
ニールの I’m sorry. は謝罪ではなく、相手のつらい話を受け止める「気の毒に」の意味で使われています。
まとめ|tell oneself で語る心の動き
coping mechanism、tell oneself these stories、That’s all it is と just a story を見てきました。同じ tell oneself が、他人の心の説明にも自分の語りにも使えることが分かります。
モジーの物語をめぐる二つの会話を観ながら、『ホワイトカラー』の英語をこれからも味わっていきましょう。
本話のほかのコラムやフレーズ記事でも、この回の会話を扱っています。


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