海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
シットコム『ヤングシェルドン』シーズン1第6話には、シェルドンが自分で銀行に電話をかける場面と、父ジョージがホッジス博士を訪ねた先の受付でアポイントがなかったことを指摘される場面があります。二つの場面に、電話の保留と取り次ぎをめぐる英語がそろっています。
担当者につないでもらう切り出し方、保留を受け入れる返事、保留にされた側の言い分まで、場面の順にたどります。
「I’d like to speak with ~」で担当者につないでもらう
シェルドンはコンピューターを買う資金が要ると考え、銀行に電話をかけます。9歳の少年が、大人顔負けの手順で用件を伝えていく場面です。
Sheldon: Hello, First National Bank. I’d like to speak with a loan officer. It’s regarding a second mortgage on my home. My name is Sheldon Lee Cooper. Sure, I’ll hold. Oh, I hate hold music.
(もしもし、ファースト・ナショナル銀行ですね。融資担当の方とお話ししたいのですが。自宅の二番抵当の件です。名前はシェルドン・リー・クーパーです。ええ、待ちます。ああ、保留音は嫌いだ。)Young Sheldon Season1 Episode6(A Patch, a Modem, and a Zantac)
I’d like to speak with ~ は「〜の方とお話ししたいのですが」と、話したい相手を伝える丁寧な切り出しです。続く It’s regarding ~ は「〜の件です」と用件を一言で示す形で、regarding は about をかしこまらせた語にあたります。名乗りの My name is ~ まで、相手が取り次ぎやすい順番に情報を並べているのが分かります。
冒頭の Hello, First National Bank. は、電話に出た相手に向けて、かけた先の名前を確かめるように呼びかける入り方です。loan officer は loan(貸付)と officer(担当者)の組み合わせで、融資を受け持つ行員を指します。用件の中身より先に、誰につないでほしいかを伝えている点が、取り次ぎを頼む電話らしい順序と言えます。
Sure, I’ll hold. は、電話口で待つよう言われたときの返事です。hold はここで「電話を切らずに待つ」の意味になり、Sure を添えると快く受け入れる響きが出ます。直後の hold music は保留中に流れる音楽のことで、待たされる側の本音がこぼれる一言になっています。
- A: Could you hold for a moment?
(少々お待ちいただけますか?) - B: Sure, I’ll hold.
(ええ、待ちます。)
電話中に話しかけられたら「can this wait?」
通話を続けるシェルドンに、母メアリーが声をかけます。息子が誰と話しているのか、メアリーにはまだ分かっていません。
Mary: Sheldon, who are you talking to?
(シェルドン、誰と話してるの?)Sheldon: Dorothy Fitzpatrick.
(ドロシー・フィッツパトリックだよ。)Mary: Who’s Dorothy Fitzpatrick? Is she a new buddy from school?
(ドロシー・フィッツパトリックって誰? 学校の新しいお友達?)Sheldon: She’s the loan officer at The First National Bank of Medford.
(メドフォードのファースト・ナショナル銀行の融資担当者だよ。)Mary: Why are you talking to her?
(どうしてその人と話してるの?)Sheldon: Mom, can this wait? I’m trying to negotiate favorable terms.
(ママ、あとにしてくれる? 有利な条件で交渉してるところなんだ。)Young Sheldon Season1 Episode6(A Patch, a Modem, and a Zantac)
Who are you talking to? は、電話中の相手を尋ねる聞き方です。メアリーが学校の友達かと推し量るのに対し、シェルドンは loan officer(融資担当者)と肩書きで答えます。母と子の想定がすれ違っていく流れが、このやり取りの面白いところです。
最初の答えが Dorothy Fitzpatrick. と名前だけなので、メアリーは Who’s ~? と聞き直し、さらに Why are you talking to her? と理由を尋ねます。誰か、どういう人か、なぜか、と質問が一段ずつ進んでいく組み立ては、相手の事情を確かめるときの聞き方の手本にもなります。
Can this wait? は「それ、あとでいい?」と、話しかけてきた相手に待ってもらう言い方です。this は母の質問を指しており、今は電話を優先したいという意思が短く伝わります。negotiate favorable terms は「有利な条件で交渉する」で、銀行とのやり取りらしい語がそのまま出てきます。
「put me on hold」は保留にされた側の言い方
物語の後半、一家はヒューストンへ向かい、ジョージはホッジス博士を訪ねた先の受付で、アポイントがなかったことを指摘されます。それに対するジョージの言い分です。
George Sr.: We didn’t have an appointment ‘cause every time I called, you put me on hold.
(アポがなかったのは、電話するたびにあんたが保留にしたからだ。)— I’m sure Dr. Hodges’ll see you as soon as he can.
(ホッジス博士は手が空きしだいお会いになるはずです。)Young Sheldon Season1 Episode6(A Patch, a Modem, and a Zantac)
put ~ on hold は「〜を保留にする」で、保留にした側を主語にする形です。前半のシェルドンは I’ll hold と待つ側から言い、ここでは you put me on hold と待たされた側から相手の行動として言っています。同じ hold が、立場によって形を変えて現れる点が見どころです。
have an appointment は「面会の約束がある」の意味で、受付で問題にされる事柄として登場します。続く see you as soon as he can の see は「会う・面会する」で、担当者が手が空きしだい対応するという取り次ぎの決まり文句にあたります。
- A: Sorry to put you on hold. How can I help you?
(保留にしてしまってすみません。ご用件をどうぞ。) - B: I’m calling about my appointment next week.
(来週の予約の件でお電話しました。)
保留にした側が戻ったときの Sorry to put you on hold. は、待たせたことを詫びる一言です。I’m calling about ~ は It’s regarding ~ よりくだけた用件の伝え方として、同じ場面で使えます。
| 表現 | 場面での働き |
|---|---|
| I’d like to speak with ~ | 話したい相手を伝える |
| It’s regarding ~ | 用件を一言で示す |
| Sure, I’ll hold. | 保留を受け入れる |
| put ~ on hold | 相手を保留にする |
| see you as soon as he can | 手が空きしだい会う |
まとめ|待つ側と待たせる側で変わる hold
I’d like to speak with ~ と It’s regarding ~ で用件を伝え、Sure, I’ll hold. で保留を受け入れる。待たされた側から言えば put me on hold になり、電話中に声をかけられたら Can this wait? で待ってもらえます。電話と受付の英語が、二つの場面で一続きに見えてくる回です。
次回も『ヤングシェルドン』の会話を観ながら、場面ごとの英語を拾っていきましょう。


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