海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。『モダンファミリー』シーズン1第14話では、朝食の場面でクレアが自分の過去の仕事について語り出します。娘のヘイリーに「なぜ辞めたのか」と聞かれたクレアの答え方には、率直な意見を言う前にひと呼吸置く工夫が込められています。何気ない朝の会話に見えて、言葉の選び方一つで相手への伝わり方が変わってくるのが面白いところです。今回はこのやり取りから、自分の実績を切り出す言い方と、意見をやわらげて伝える言い方を見ていきます。
相手が知らない過去の実績を切り出す「I will have you know that ~」
クレアはかつて自分にも仕事があったことを切り出します。
Claire: I will have you know that I had quite the little career going.
(言っておくけど、私にもちょっとしたキャリアがあったのよ。)Claire: I was an account manager at Starcrest Hotels.
(スターセレストホテルズでアカウントマネージャーをしていたの。)Claire: I had a little cubicle, and-and I wore my tennis shoes to work and changed into my work pumps.
(小さなキュービクルがあって、通勤はスニーカーで、仕事用のパンプスに履き替えていたのよ。)Claire: It was very Working Girl.
(まさに『ワーキング・ガール』って感じだったわ。)Modern Family Season1 Episode14 (Moon Landing)
I will have you know that ~ は「言っておくけど〜なのよ」というニュアンスの定型表現です。相手が知らない、あるいは軽んじているかもしれない事実をあえて宣言する時に使われ、will が入ることで単なる報告以上の、やや構えた強さが加わります。
日常会話の中では、少し気合いの入った切り出し方として響く言い回しです。クレアがこの表現で切り出したのは、続く具体的な描写(アカウントマネージャーという肩書、キュービクル、スニーカーとパンプスの履き替え)が、当時の自分がきちんと働いていたことの裏付けになっているからです。
具体的なディテールを積み重ねてから、映画 Working Girl のタイトルで締めくくる流れも見どころです。作品名をそのまま形容詞的に使う言い方は、説明を省きながら当時の雰囲気を一言で伝える便利な型として使えます。肩書き・オフィスの様子・服装という3段階の描写を経てから固有名詞でまとめる構成は、聞き手の頭の中に情景を先に描かせてから一言で意味づけるという順番になっており、単に「昔働いていた」と言うよりも説得力が増しています。
似た場面では、次のようなやり取りにも応用できます。
- A: I will have you know that I used to run my own small business.
(言っておくけど、私も昔は自分の小さなビジネスをやっていたのよ。) - B: Really? I had no idea.
(本当に?全然知らなかった。)
意見の前にワンクッション置く「call me old-fashioned, but ~」
なぜ仕事を辞めたのかとヘイリーに聞かれ、クレアは自分の考えを一言添えて答えます。
Haley: Well, then, why’d you quit? –
(じゃあ、なんで辞めたの?)Claire: Well, Haley, call me old-fashioned, but I wanted to focus on raising a family.
(ねえヘイリー、古臭いって言われるかもしれないけど、私は子育てに専念したかったのよ。)Modern Family Season1 Episode14 (Moon Landing)
call me old-fashioned, but ~ は、これから言う意見が保守的・昔気質に聞こえるかもしれないと先に断ってから本題に入る言い方です。call me + 形容詞 + but ~ という型で、形容詞の部分を入れ替えることで、さまざまな意見の前置きに応用できます。
この型のポイントは、意見そのものを弱めているわけではないところです。クレアは「子育てに専念したかった」という考えをはっきり述べていますが、その手前に call me old-fashioned を置くことで、相手の反応を先取りし、対立を和らげる余地を作っています。
反論を封じるのではなく、相手が身構える前にこちらから一言添えておく、いわば会話の潤滑油のような役割です。文頭で相手の名前を一度呼んでから話し始める言い方も、いきなり本題に入らず一拍置くことで、これから伝える意見に少し重みを持たせる効果があります。相手の名前を添えるひと手間が、単なる事実の伝達を、相手に向けた語りかけへと変える働きをしていると言えます。
| 表現 | ニュアンス |
|---|---|
| call me old-fashioned, but ~ | 保守的・昔気質に聞こえるかもしれない意見の前置き |
| call me crazy, but ~ | 突飛・非常識に聞こえるかもしれない意見の前置き |
| call me picky, but ~ | 細かい・こだわりが強く聞こえるかもしれない意見の前置き |
形容詞の部分を変えることで、同じクッションの発想をいろいろな場面に転用できます。共通しているのは、相手からどう見られるかを先に自分の口から言ってしまうことで、相手が評価を下す前にこちらのペースで話を進めてしまう仕組みです。
- A: Call me picky, but I like my desk organized every day.
(細かいと言われるかもしれないけど、机は毎日整理しておきたいの。) - B: That’s not picky. That’s just being organized.
(それは細かいんじゃなくて、ちゃんとしてるだけだよ。)
まとめ|意見の前に一言添える型
I will have you know that ~ で相手が知らない実績を切り出す言い方と、call me old-fashioned, but ~ で意見の前にワンクッション置く言い方。どちらも、伝えたいことをはっきり言い切りながら、相手の受け取り方に配慮する工夫が読み取れます。朝の食卓での何気ないやり取りにも、こうした言葉選びの積み重ねが表れています。
同じエピソードの英語表現は、フレーズ記事やエピソードまとめでも扱っています。


コメント