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『モダンファミリー』シーズン2第16話で、キャメロンは音楽協会のための資金集めの催しを開こうと、準備を進めています。欠席の連絡が1件もないと聞いて満員を確信しますが、実は招待状がまだ誰にも届いていませんでした。招待状の出し方と返事の仕方が、騒ぎの中心にある回です。
今回はこの騒ぎを入り口に、招待状と出欠の連絡、そして資金集めの催しをめぐる文化を見ていきます。
資金集めの催し「fund-raiser」
今夜の準備を始めると言うキャメロンに対し、ミッチェルは催しの中身をこう言い当てます。
Mitchell: It’s a fund-raiser for The Friends of the Third Street Overpass Music Society.
(サード・ストリート陸橋音楽協会友の会の資金集めイベントだよね。)Mitchell: Two harpists are performing.
(ハープ奏者が2人演奏する。)Mitchell: You’re anxious ‘cause Andrew your nemesis from the steering committee, ran the event last year and you want to upstage him.
(君がピリピリしてるのは、運営委員会の宿敵アンドリューが去年このイベントを仕切ってて、彼を出し抜きたいからだ。)Mitchell: I was kidding.
(冗談だったんだよ。)Modern Family Season2 Episode16 (Regrets Only)
fund-raiser は、寄付や会費を集めることを目的にした催しを指します。似た語の benefit も「慈善のための催し」の意味で使われ、この回でも同じ催しが benefit と呼ばれています。アメリカでは、学校や地域の団体、文化団体などが、食事会や演奏会の形で資金集めの催しを開くことがよくあると言われます。
形式は団体や地域によってさまざまです。招待客を集めて演奏を聴いてもらい、その場で寄付を募る形もあれば、参加費そのものを寄付に充てる形もあるようです。
ミッチェルが挙げた steering committee は、催しや団体の運営を取りまとめる「運営委員会」のことです。キャメロンはこの委員会の一員で、去年の担当者アンドリューを強く意識しています。upstage は「人の注目を奪う、出し抜く」という意味で、もとは舞台の奥の位置を指す演劇の言葉とされています。
最後の I was kidding. は「冗談だったんだ」と、それまでの言動が本気ではなかったと伝える一言です。催しの名前から出演者、去年の担当者までを挙げたうえで添えられています。
準備の様子も描かれています。キャメロンは椅子を並べるルークに、目線がハープに向くよう配置を気にかけ、そこへ給仕のスタッフも到着します。演奏を中心に客席を整え、料理や飲み物を出すスタッフを手配するのは、こうした催しの準備の一例と言えます。
招待状と「regrets」の返事
準備の途中、キャメロンはアンドリューから聞いた話をミッチェルに伝えます。
Cameron: So that was Andrew, who practically choked telling me that no one had called in their regrets for the event tonight.
(今のはアンドリューだったよ。今夜のイベントに欠席の連絡をしてきた人は一人もいないって、ほとんど言葉に詰まりながら教えてくれた。)Cameron: It is gonna be a full house!
(満員になるよ!)Mitchell: That must feel great.
(それは気分がいいだろうね。)Modern Family Season2 Episode16 (Regrets Only)
regrets は、招待に対する「欠席のお詫び」「欠席の返事」を表す語です。call in one’s regrets で「欠席の連絡を入れる」、send one’s regrets で「欠席の返事を送る」という意味になります。招待状には RSVP(フランス語の「お返事をお願いします」の略)と書き、出欠の返事を求めることが多いと言われます。日付を添えて RSVP by ~ と書き、返事の期限を示すこともあります。
中には Regrets only と書き、欠席する人だけが連絡すればよいとする方式もあります。この方式では、連絡がなければ出席とみなすのが一般的とされますが、使い方は催しや地域によって異なります。欠席の連絡がゼロだから満員になると考えたキャメロンの受け取り方は、こうした返事の仕組みを前提にしていると読み取れます。
ところが、招待状はそもそも届いていませんでした。ミッチェルはこう明かします。
Mitchell: Yes, I put Cam’s invites in my car to take ‘em to the post office and then threw my gym bag on top of them and completely forgot they existed.
(そうだよ、キャムの招待状を郵便局に持っていこうと車に積んで、その上にジムのバッグを放り投げて、存在をすっかり忘れてた。)Mitchell: I feel terrible.
(最悪の気分だよ。)Mitchell: Haven’t been to the gym in six weeks.
(ジムにも6週間行ってない。)Mitchell: And I ruined Cam’s event.
(しかもキャムのイベントを台無しにしちゃった。)Modern Family Season2 Episode16 (Regrets Only)
invites は invitation(招待状)のくだけた言い方です。メールやオンラインの招待が広く使われる一方で、改まった催しでは紙の招待状を郵送する習慣も残っているようです。ミッチェルの場合は、その郵送の手前で招待状が止まっていたわけです。
キャメロンにとって招待状の件が明るみに出るのは、招待客のロンギヌスとの電話がきっかけです。
Cameron: Hello? Oh, hi, Longinus.
(もしもし? ああ、ロンギヌス。)Cameron: Listen.
(ねえ。)Cameron: Did you get my message? About the Chiavari chairs I want you to bring ‘em when you come.
(僕のメッセージ、聞いてくれた? キアヴァリチェアのことなんだけど、来るときに持ってきてほしいんだ。)Modern Family Season2 Episode16 (Regrets Only)
このあとロンギヌスが来ないと分かり、キャメロンはほかの招待客には届いているのかと尋ねます。催しが始まるころ、ミッチェルとキャメロンはこう言葉を交わします。
Mitchell: I know this isn’t what you were hoping for, but I need to do a better job of listening to you.
(君が望んでたのとは違うって分かってる。でも、僕はもっとちゃんと君の話を聞かなきゃいけないね。)Cameron: No, you did the best you could.
(ううん、君はできる限りのことをしてくれたよ。)Cameron: Plus, this is double what Andrew had last year for Cello Submarine.
(それに、去年アンドリューがチェロ・サブマリンでやった時の倍だよ。)Modern Family Season2 Episode16 (Regrets Only)
you did the best you could は「できる限りのことをしてくれた」と、うまくいかなかった相手の努力を認める言い方です。招待状の失敗を謝るミッチェルに対し、キャメロンは去年の催しとの比較を持ち出して応えています。
まとめ|招待状の返事から見える催しの準備
fund-raiser の催し、招待状の RSVP と regrets の返事、そして郵送の invites。キャメロンの勘違いから、出欠の返事の仕組みによって「連絡がない」ことの意味が変わる様子が見えてきます。
招待状を送る場面や催しの準備の会話に目を向けながら観ると、アメリカの行事の段取りがより具体的に伝わってきます。
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