海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
『フレンズ』シーズン1第9話で、レイチェルは家族と感謝祭を過ごすための旅費を工面しようと、働いているカフェで前借りを頼みます。相手が上司か客かによって、お願いの切り出し方が少しずつ変わります。
頼みにくいことをどう和らげるか、厳しい言葉を返されたらどう食い下がるか。最後に友人たちの手助けを表す言い方まで、作中の3つの場面から順に見ていきます。
「Do you think it would be possible ~?」で、相手の判断を尋ねる
働いているカフェで、レイチェルは上司のテリーに話を切り出します。
Rachel: Terry, I know that I haven’t worked here very long but do you think it would be possible if I got a hundred-dollar advance on my salary?
(テリー、ここで働き始めてまだ日が浅いのは分かってるんだけど、お給料を100ドル前借りするのって、できたりする?)
Terry: An advance?
(前借り?)
Rachel: It’s so that I can spend Thanksgiving with my family. See, every year we go skiing in Vail and, normally, my father pays for my ticket but I’ve sort of started this whole independent thing which is actually why I took this “job.”
(家族と感謝祭を過ごすためなの。ほら、毎年みんなでヴェイルにスキーに行ってて、普段はパパがチケット代を出してくれるんだけど、私、自立ってやつを始めたところで、実はそれでこの「仕事」に就いたのよ。)
Friends Season1 Episode9(The One Where Underdog Gets Away)
最初の I know that I haven’t worked here very long は、「まだ日が浅いのは分かっている」と自分の立場を先に認める前置きです。相手が思いそうなことを先に口にしておくことで、続くお願いが一方的に聞こえにくくなる効果も期待できます。
本題の Do you think it would be possible if ~? は、「〜することはできると思いますか?」と相手の判断を尋ねる形です。Can I get an advance? と直接聞くかわりに、do you think で相手の考えを聞き、would と possible で「もしできるなら」という仮定の響きを重ねています。直接の依頼よりも一歩引いた聞き方になり、上司や目上の相手に使いやすい形と言えます。
テリーの An advance? という聞き返しに、レイチェルは It’s so that I can ~.(〜できるようにするためなの)で理由を足します。so that I can は目的を説明するときの基本の形です。さらに父親に頼らず自分でやっていこうとしていることまで打ち明け、前借りが必要な事情を順に説明していきます。お願いの後に目的と事情を添える流れは、そのまま実際の会話の組み立てにも応用できます。
「but I’m trying really hard」で食い下がり、「I was just wondering」で頼み直す
前借りの話を受けたテリーは、仕事ぶりへの評価を口にします。レイチェルの返事はこうです。
Terry: Rachel, Rachel. Sweetheart. You’re a terrible, terrible waitress. Really, really awful.
(レイチェル、レイチェル。いいかい。君はひどい、ひどいウェイトレスだ。本当に、本当にひどい。)
Rachel: Okay. I hear what you’re saying. I’m with you. Um… but I’m trying really hard and I think I’m doing better. I really do.
(うん。言いたいことは分かる。そうよね。えっと……でも、すごく頑張ってるし、前よりよくなってると思うの。本当に。)
Friends Season1 Episode9(The One Where Underdog Gets Away)
I hear what you’re saying. は「言いたいことは分かります」と、相手の言葉をいったん受け止める言い方です。I’m with you. も「あなたの話についていっている」「同じ考えだ」という意味で、ここでは相手の評価を否定せずに聞いたことを示しています。そのうえで but を置き、I’m trying really hard と自分の努力を伝える流れです。反論から入らず、受け止めてから主張を足す順番になっています。
続く場面で、レイチェルは店の客にも前借りを頼みます。
Rachel: Excuse me, sir. You come in here all the time. I was just wondering– Could you possibly give me an advance on my tips?
(すみません。よくここに来てくださってますよね。ちょっと思ったんですけど……チップを前払いしていただくなんて、できたりしませんか?)
Friends Season1 Episode9(The One Where Underdog Gets Away)
I was just wondering は「ちょっと思ったのですが」と遠慮がちに話を始める前置きで、過去進行形にすることで押しつけの響きが弱まるとされます。本題の Could you possibly ~? では、could に possibly を足して「万一できるなら」という控えめさを強めています。上司には仮定の形で判断を尋ね、客には前置きと副詞で控えめさを出す、という違いが2つの頼み方に表れています。相手の反応を受けて、レイチェルは Okay. That’s fine. と引き下がります。
「We all chipped in」で、みんなの手助けを伝える
場面はモニカとレイチェルの部屋に移ります。お金は集まったのかと聞かれたレイチェルは、No, not even close.(全然足りない)と答えます。モニカは郵便を渡し、テーブルに置いておいてと返すレイチェルに、とにかく開けるよう促します。封筒の中にはお金が入っていました。
Rachel: Oh, you guys are great.
(もう、みんな最高!)
Monica: We all chipped in.
(みんなでお金を出し合ったの。)
Joey: We did?
(そうだっけ?)
Monica: You owe me 20 bucks.
(あんた、私に20ドル借りね。)
Friends Season1 Episode9(The One Where Underdog Gets Away)
chip in は「(何人かで少しずつ)お金を出し合う」という句動詞で、プレゼントやお祝いの費用を分担するときなどに使われます。We all chipped in. の all は「全員で」を強めていますが、ジョーイの We did? と、それに返すモニカの You owe me 20 bucks. から、ジョーイの分はモニカが立て替えていたと読み取れます。owe は「借りがある」、bucks はドルを指す口語です。
自分も加わりたいときは Can I chip in?(私も出していい?)、費用を分けようと提案するときは Let’s all chip in.(みんなで出し合おう)のように使えます。お金だけでなく、作業を手伝う意味で使われることもあります。
封筒を受け取ったレイチェルは、Thank you. Thank you so much. と礼を言います。前借りを頼んで回った場面から、友人たちが出し合ったお金を受け取る場面まで、頼む側と助ける側の英語が一つの流れでつながっています。
まとめ|頼みにくいお願いを和らげる英語
Do you think it would be possible ~? と Could you possibly ~? の違い、I hear what you’re saying で受け止めてから食い下がる流れ、chip in で手助けを伝える言い方を見てきました。言葉の選び方ひとつで、お願いの印象は変わります。
レイチェルの奮闘を観ながら、次回も『フレンズ』と一緒に英語を学んでいきましょう。
同じエピソードのほかのコラムやフレーズ記事では、この感謝祭の一日を別の切り口で取り上げています。


コメント