海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
『フレンズ』シーズン1第3話では、モニカの交際相手アランをめぐって、仲間とモニカの評価が食い違っていきます。モニカがその気持ちを打ち明ける相手は、職場のポーラです。
恋人を友達に会わせる前の不安から、自分だけ気持ちが乗らないと気づいたときの一言まで。二人の会話には、たとえを使った言い回しや、くだけた言い方で本音を伝える英語がいくつも出てきます。
「be all over ~」で、会わせたくない理由を話す
アランとのデートに出かける前、モニカは仲間に「いつ会わせてくれるのか」と聞かれても応じません。そのあと職場で、ポーラにこう話します。
Monica: Why should I let them meet him?
(なんで彼をみんなに会わせなきゃいけないの?)
Monica: I bring a guy home and within five minutes they’re all over him.
(男の人を連れてくると、5分もしないうちにみんなで寄ってたかって構うのよ。)
Monica: I mean, they’re like coyotes picking off the weak members of the herd.
(ほら、群れの弱いのを狙うコヨーテみたいなんだから。)
Friends Season1 Episode3(The One with the Thumb)
Why should I ~? は「なぜ私が〜しなきゃいけないの?」と、気が進まないことを問い返す形です。let them meet him の let は「〜させる」で、会わせるかどうかの決定権が自分にあることをにじませています。
be all over ~ は、人が相手に群がって構いすぎる様子を表す口語です。ここでは、連れてきた相手に仲間が一斉に寄っていく様子を、モニカが不満として述べています。続く like coyotes picking off the weak members of the herd は、群れから弱いものを狙うコヨーテにたとえて、その勢いを大げさに言い表したものです。
ポーラはモニカの不満を受け止めたうえで、こう返します。
Paula: Well, you do realize that the odds of that happening are a little slimmer… …if they never get to meet the guy.
(でもね、みんなが一度も会えないんじゃ、その確率はもう少し低くなるってわかってる?)
Friends Season1 Episode3(The One with the Thumb)
直前の話の流れから、that happening は「仲間が気に入る相手を連れてくること」を指しています。the odds of ~ are slim は「〜の見込みは薄い」という言い方で、比較級の slimmer に a little を添えることで、相手を責めずに控えめに指摘する響きになっています。
「A cow got through」で、相手のたとえに乗って返す
その後、モニカはアランを仲間に紹介します。仲間はすっかりアランを気に入ります。別の場面では、ロスが「アランらしさがたまらない」と言い、チャンドラーも大げさにほめ言葉を重ねます。その後、モニカは職場で再びポーラに話しかけます。
Monica: Did you ever go out with a guy your friends all really like?
(友達みんなが本当に気に入ってる人と付き合ったことある?)
Paula: No.
(ないわ。)
Monica: Okay. Well, I’m going out with a guy my friends all really like.
(そう。じゃあ言うけど、私は友達みんなが本当に気に入ってる人と付き合ってるの。)
Paula: We talking about the coyotes here?
(例のコヨーテたちの話?)
Paula: Heh. All right. A cow got through.
(へえ。なるほど、牛が1頭すり抜けたってわけね。)
Friends Season1 Episode3(The One with the Thumb)
a guy my friends all really like は、a guy のあとに関係詞の that を省いて「友達がみんな本当に気に入っている人」と説明を続けた形です。冒頭の Did you ever ~? は経験を尋ねる聞き方で、会話では Have you ever ~? の代わりに使われることもあります。モニカは同じ語句を質問と答えの両方で使い、話の焦点をはっきりさせています。
ポーラの We talking about the coyotes here? は、Are we talking about ~? の Are が落ちたくだけた聞き方です。以前モニカが使ったコヨーテのたとえを覚えていて、その続きとして話を受けています。
A cow got through. は「牛が1頭すり抜けた」という意味です。コヨーテに狙われずに群れを通り抜けた牛にアランをなぞらえ、モニカのたとえをそのまま引き継いで冗談にしています。相手が使った比喩を借りて返すと、話をちゃんと聞いていたことも同時に伝わります。
「I don’t feel the thing」と「He’ll get over it」で、本音を打ち明ける
話を受けたポーラに、モニカは自分の気持ちを打ち明けます。
Monica: I mean, they feel the thing. I don’t feel the thing.
(つまり、みんなは「あれ」を感じてるのに、私は感じないの。)
Paula: Honey, you should always… …feel the thing.
(ねえ、「あれ」はいつだって…感じなきゃだめよ。)
Paula: Listen, if that’s how you feel about the guy, Monica, dump him.
(いい、その人のことをそう思ってるなら、モニカ、振っちゃいなさい。)
Friends Season1 Episode3(The One with the Thumb)
feel the thing の the thing は、言葉にしにくい「あの感じ」をぼかして指す言い方です。恋愛でいえば、ときめきや手応えのようなものを、あえて具体的に言わずに伝えています。they と I を並べて同じ動詞を繰り返すことで、仲間と自分の温度差が際立ちます。
ポーラの dump him は「振る」「別れる」のくだけた言い方で、if that’s how you feel about ~(〜のことをそう思っているなら)と組み合わせて、決断を後押ししています。
Paula: Yeah, he’s a big boy. He’ll get over it.
(ええ、彼は大人なんだから。そのうち立ち直るわよ。)
Monica: No, he’ll be fine. It’s the other five I’m worried about.
(ううん、彼は平気よ。心配なのは残りの5人のほう。)
Friends Season1 Episode3(The One with the Thumb)
ポーラの he’s a big boy は「もう大人なんだから」という意味で、相手を子ども扱いせず、本人に任せればいいという含みを持たせています。get over ~ は「(失恋やショックから)立ち直る」という句動詞です。モニカは It’s A that I’m worried about の強調の形で、心配の対象をアランから仲間5人へずらしています。このあとモニカが別れる決心を仲間に伝えると、仲間の方が落ち込む展開につながります。
まとめ|気持ちのずれを言葉にする
be all over ~ や the odds are a little slimmer、相手のたとえを受ける A cow got through、そして I don’t feel the thing と It’s ~ I’m worried about を見てきました。気持ちのずれを伝える言い方が分かると、本音の相談もしやすくなります。
モニカとポーラの軽妙なやりとりを観ながら、言い回しの工夫を追ってみるのも楽しみ方のひとつです。
この回のほかのコラムやフレーズ記事では、別の場面の英語も取り上げています。


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