海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
「本当は助けてあげたいけれど、上の許可が下りなくて……」
仕事でそんな板挟みになった時、相手に角を立てずに、かつ自分の立場を守りながら「できない」と伝えるにはどうすればいいでしょうか?
今回は、人の命がかかった究極の判断を迫られる裁判官の苦渋の決断から、ビジネスでも必須の「大人の断り文句」をご紹介します。
実際にそのシーンを見てみよう!
死刑執行まで残りわずか。
判事のコーエンは、ブースたちの熱意に押され、異例の「遺体掘り起こし」を許可していました。
しかし、そこからも決定的な証拠は出ず、弁護士のエイミーはさらに時間を求めます。
判事は、個人的な感情では理解を示しつつも、法を守る番人として非情な決断を下します。
Amy: Your Honour, you can’t dismiss this so easily.
(判事、こんなに簡単に却下するなんてできません。)Cohen: Easily? I allowed you to exhume that girl’s remains. Do you think I did that easily?
(簡単だと? 私は遺体の掘り起こしを許可したぞ。それを簡単な決断だったと思うかね?)Cohen: We all feel the weight of a capital case, Ms Morton, but the law is clear. Unless there is proof… my hands are tied.
(我々は皆、死刑事件の重みを感じている。だが法は明確だ。証拠がない限り……私にはどうすることもできない(お手上げだ)。)BONES Season1 Episode7 (A Man on Death Row)
シーン解説と心理考察
コーエン判事は決して冷酷な人間ではありません。むしろ異例の許可を出すほど協力的でした。
しかし、裁判官は「法の奴隷」でもあります。
彼の “My hands are tied” という言葉には、「人間としては君たちの味方だが、裁判官という立場がそれを許さない」という、職務上の限界と葛藤が込められています。
「hands are tied」の意味とニュアンス
my hands are tied
意味:(規則や権限などの制約で)どうすることもできない、手も足も出ない、自由がきかない
直訳すると「両手が縛られている」。
物理的に縛られているわけではありませんが、比喩的に行動を制限されている状態を指します。
【ここがポイント!】
単に “I can’t do it.”(できません)と言うと、あなたの能力不足や拒絶に聞こえるかもしれません。
しかし “My hands are tied.” を使えば、「心苦しいが、システム上不可能」というニュアンスになり、相手の怒りを自分から逸らすことができます。
実際に使ってみよう!
このフレーズを使う時は、必ず「共感(クッション言葉)」とセットにするのが鉄則です。ぶっきらぼうに言うと「言い訳」に聞こえてしまいます。
I wish I could help, but my hands are tied by the company policy.
(力になりたいのは山々なのですが、会社の規定でどうにもできないのです。)
解説:
カスタマーサービスや接客業で、マニュアルを盾にやんわり断る際の黄金パターンです。
Believe me, I tried, but until the budget is approved, my hands are tied.
(信じてくれ、やってはみたんだが、予算が承認されるまでは身動きが取れないんだ。)
解説:
決定権が自分にないことを示し、部下や取引先に「待つしかない」と納得させる表現です。
Unless we get the CEO’s signature, our hands are tied.
(CEOの署名をもらわない限り、我々は手出しはできない。)
解説:
プロセス上の制約がある場合にもよく使われます。
『BONES』流・覚え方のコツ
「見えない手錠」をイメージしてください。
コーエン判事は法衣を着て椅子に座っていますが、その手には「法律」という名の見えない手錠がかかっています。
目の前に助けを求める人がいても、手が拘束されていては手を差し伸べることができません。
そのもどかしさと、責任転嫁(=法のせいにする)の混ざった感覚を覚えましょう。
似た表現・関連表現
- It’s out of my hands
(私の手を離れている、管轄外だ)
解説:決定権が他の人(上司など)に移ってしまった場合に使います。「私に言われても困る」というニュアンスです。 - I’m powerless
(無力だ)
解説:能力的に何もできないことを強調します。少し大袈裟でドラマチックな響きがあり、ビジネスではあまり使いません。 - bound by rules
(規則に縛られている)
解説:より客観的で硬い表現です。「規則だから」と事務的に伝える時に使います。
深掘り知識:「I can’t」とは何が違う?
なぜ判事は I can’t と言わなかったのでしょうか?
実はこれには、「外部からの力で封じられている」というニュアンスが含まれています。
- I can’t: 私の意志、または能力としてできない。
- My hands are tied: ルールや権力によって、物理的に封じられている。
つまり、”My hands are tied.” と言う時、あなたは暗に「私を縛っている『真犯人(ルールや上司)』がいる」と主張しているのです。
自分のせいではない(I’m not the bad guy)と強調するための、非常に便利な、そして少しずるい言葉選び。それがこのイディオムの正体です。
まとめ|共感を示して断る技術
情に流されそうな時、あるいは理不尽な要求をされた時、”My hands are tied.” はあなたを守る強力な盾になります。
ただし、使う時はコーエン判事のように「相手の痛み」を理解している姿勢を見せることを忘れずに。
それが信頼を損なわずに「No」と言うための秘訣です。


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