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『BONES』シーズン1第4話の捜査は、太平洋岸北西部の小さな町オーロラへと舞台を移します。地元の森林保安官シャーマン・リバーズが捜査に協力する中で、この回には先住民の呼び名や文化に触れる場面がいくつも登場します。
台詞の端々に置かれた固有名詞や言葉を、ドラマが描いた範囲で見ていきましょう。
「フラットヘッド族」という呼び名
保安官がシャーマンをブースに紹介する場面から、この回は始まります。
Sheriff: Sherman is a Flathead Indian, but since the bear was wearing a GPS collar, he didn’t have to fully utilize his native powers.
(シャーマンはフラットヘッド族の出身だが、クマにGPSの首輪が付いていたおかげで、彼本来の勘を存分に発揮する必要もなかったよ。)BONES Season1 Episode4 (The Man in the Bear)
この「native powers」という言い回しは、保安官がシャーマンをからかう軽口として発せられたものであり、先住民の実際の能力を描写したものではない、と読み取れます。
Flatheadという呼び名は、ヨーロッパ系の入植者たちが、身振りによる意思疎通の中でのしぐさを誤って解釈したことから広まった、外部由来の呼び方とされています。現在、この地域の先住民はモンタナ州のフラットヘッド居留地を拠点とする「サリッシュ・クーティーナイ連合部族」として知られ、自称としてはSalish(サリッシュ)という呼び方が一般的です。
このエピソードの終盤で、別の登場人物が同じ地域の文化について語る際に「サリッシュの儀式道具」という言い方をする場面があります(次項参照)。ひとつのエピソードの中に、外部から付けられた呼び名と、当事者自身の呼び名の両方が登場している形です。
死者への向き合い方を語る言葉
森の中を歩きながら、シャーマンはブレナンにこう語りかけます。
Sherman: (Talking to Brennan) Ever hear of the Bone Gathers? Collecting bones so that the dead can make the journey to the next world?
(骨を集める者、ボーンギャザラーって聞いたことあるか? 死者があの世への旅を全うできるように、骨を集めるんだ。)BONES Season1 Episode4 (The Man in the Bear)
シャーマンは自分自身をこの「ボーンギャザラー」に重ねる言い方をしています。科学的な手法で骨から事実を読み解こうとするブレナンと、死者の魂の行き先を大切にする考え方を語るシャーマンの視点が、並んで置かれる場面です。
ラボでは、グッドマンが証拠品の写真を見ながら、別の儀式道具についてこう解説します。
Goodman: It’s a perversion of a Salish medicine wheel. This is the spirit chief Cha-che u-me’-chu. The southern most stone should represent strength; the centre of the wheel should represent life force.
(これはサリッシュのメディスンホイールを歪めたものだ。これは精霊の長、チャチェウメチュを表している。一番南の石は力を、中心の石は生命力を意味するはずのものだ。)BONES Season1 Episode4 (The Man in the Bear)
| 石の位置 | 本来象徴する意味 |
|---|---|
| 南端の石 | 力 |
| 中心の石 | 生命力 |
グッドマンはperversion(本来の意味を歪めたもの)という言葉を使っており、事件の現場にあったものが正規の儀礼とは異なる、誤った使われ方をしたものであることをはっきり示しています。メディスンホイールが本来体現する意味と、事件の中で歪められた使われ方は別のものとして描かれている場面です。
とっさに出た3つの固有名詞
森の中で追及を受けたシャーマンは、FBI捜査官のブースに向かってこう言い返します。
Sherman: You’re FBI. Ever hear of Leonard Peltier? Pine Ridge?
Sherman: Wounded Knee? Indians and FBI’s don’t mix.
(あんたはFBIだろう。レナード・ペルティエって名前を聞いたことは? パインリッジは? ……ウーンデッド・ニーは? 先住民とFBIは、なじまないんだよ。)
BONES Season1 Episode4 (The Man in the Bear)
シャーマンがとっさに口にしたレナード・ペルティエ、パインリッジ、ウーンデッド・ニーは、いずれも実在する固有名詞です。1970年代のアメリカで、先住民コミュニティと連邦捜査機関との間に緊張が高まった歴史の中に位置づけられる名前で、事件の経緯や評価はさまざまな立場から語られています。本コラムではその当否には立ち入りませんが、FBI相手にこの3つの名前を間を置かずに並べる反応の速さそのものに、シャーマンの警戒心の強さが表れています。
まとめ|台詞の端々に置かれた背景
フラットヘッドとサリッシュという呼び名の違い、ボーンギャザラーやメディスンホイールに込められた死者への向き合い方、シャーマンがとっさに並べた固有名詞——これらはいずれも、事件の捜査という物語の枠の中で描かれた要素です。台詞の端々に置かれた言葉に目を向けると、この回の見え方が少し変わってきます。
次回も『BONES』の世界を通じて、アメリカの文化や歴史に触れていきましょう。
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