海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
今回扱うのは、『ビッグバン★セオリー』シーズン1 第8話に登場する、大げさな褒め言葉です。ラージのお見合い相手ラリータと初めて対面したシェルドンが、彼女を物語の登場人物になぞらえて延々と褒め始める場面に、誇張表現のパターンが詰まっています。理想像への言い換えから感覚表現、伝説調の前置きまで、一つの褒め言葉の中に複数の型が積み重なっています。
どこまでも大げさになっていく褒め言葉の型を、順番に見ていきます。
「You are the living embodiment of…」で人を物語の登場人物にたとえる
場面は、シェルドンが子供の頃に母から読み聞かせてもらったインドの民話「The Monkey and the Princess」に登場するプリンセス・パンチャリに、ラリータの姿がそっくりだと気づくところから始まります。第一声は、自分を物語に出てくる猿にたとえ、Forgive me, for I am but a…(どうか許してほしい、私はただの〜にすぎないので)とへりくだるところから始まります。相手を持ち上げる前に、まず自分を下げてみせる型です。そのままシェルドンは、こう続けます。
Sheldon: You are the living embodiment of the beautiful Princess Punchali.
(あなたは、美しいプリンセス・パンチャリの生き写しだ。)TBBT Season1 Episode8 (The Grasshopper Experiment)
the living embodiment of ~ は「〜を体現した存在」「〜そのもの」という意味の言い方で、誰かを理想像や象徴的な人物になぞらえて褒めるときに使われます。日常会話でここまで大げさに使う場面は多くありませんが、”living” が付くことで「まさに生きたお手本」という強調のニュアンスが加わる仕組みが見て取れます。
続けてシェルドンは、視覚以外の感覚表現を持ち出して、褒め言葉をさらに誇張していきます。
Sheldon: The resemblance is remarkable. I can practically smell the lotus blossoms woven into your ebony hair.
(似ているなんてものじゃない。君の艶やかな黒髪に編み込まれた蓮の花の香りが、ほとんど匂ってきそうだ。)TBBT Season1 Episode8 (The Grasshopper Experiment)
I can practically smell/see/hear ~ という言い方は、「ほとんど〜できてしまいそうだ」という誇張を通じて、想像がまるで現実のように感じられることを伝える型です。感覚表現を持ち出すことで、話し手の陶酔ぶりがより具体的に伝わってきます。
「It was said that…」で伝説を語る口調に乗せて褒める
シェルドンの褒め言葉は、やがて物語の一節を語るような口調に変わっていきます。
Sheldon: It was said that the Gods fashioned her eyes out of the stars, and that roses were ashamed to bloom in the presence of her ruby lips.
(神々が星をくり抜いて彼女の瞳を作り、彼女のルビー色の唇を前にすると薔薇でさえ恥じらって咲けなくなる、と言い伝えられている。)Lalita: Oh my.
(まあ。)TBBT Season1 Episode8 (The Grasshopper Experiment)
It was said that ~ は「〜だと言われていた」「〜という言い伝えがある」という意味の言い回しで、伝説や神話を語り出すときの定型的な出だしです。誰が言い出したのかをぼかしたまま話を大きくできるため、誇張表現の枕詞として機能しているのが分かります。ラリータの短い相槌との落差も、この大げささを際立たせています。
この後もシェルドンは、プリンセス・パンチャリという物語の比喩を保ったまま会話を続けていきます。理想像への言い換え、感覚表現での誇張、伝説調の前置き。ひとつの褒め言葉の中に、いくつもの誇張の型が積み重ねられている場面です。
| 表現 | ニュアンス |
|---|---|
| the living embodiment of ~ | 〜を体現した存在(理想像になぞらえる) |
| I can practically smell/see/hear ~ | ほとんど〜できそうだ(感覚表現での誇張) |
| It was said that ~ | 〜と言い伝えられている(伝説調の前置き) |
まとめ|大げさな褒め言葉に共通する、誇張の型
the living embodiment of、I can practically smell、It was said that。シェルドンの褒め言葉は現実離れしているものの、理想像への言い換え・感覚表現の誇張・伝説調の前置きという、大げさな褒め方に共通する型を丁寧になぞっています。日常会話でそのまま使う場面は少なくても、誇張表現の仕組みを知っておくと、映画やドラマの中の大げさなセリフがぐっと読み解きやすくなります。
次回も『ビッグバン★セオリー』の会話の中に隠れた英語表現を、一緒に見つけていきましょう。
このエピソードで扱われる場面は、フレーズ記事やエピソードまとめでも紹介しています。
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