海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
今回扱うのは、『ビッグバン★セオリー』シーズン1 第8話冒頭に描かれる、海外の家族とのビデオ通話です。ラージが自宅のパソコンを使い、ニューデリーにいる両親をレナードたちに紹介する場面から、当時のビデオ通話という生活インフラの姿が見えてきます。近況報告だけでなく、家族からの相談事を伝える場としても機能している様子がうかがえます。
画面越しに家族とつながる文化的な背景を、この場面をもとに見ていきます。
ブロードバンドが変えた、画面越しの家族の距離
場面は、レナードとシェルドンの部屋に居合わせたラージが、パソコンの画面越しにニューデリーの両親をみんなに紹介するところから始まります。
Howard: Guess whose parents just got broadband.
(誰の両親がブロードバンド回線を導入したと思う?)Raj: May I present, live from New Delhi, Dr and Mrs V. M. Koothrappali.
(ご紹介します、ニューデリーからの生中継、V・M・クースラパリ夫妻です。)TBBT Season1 Episode8 (The Grasshopper Experiment)
broadband(ブロードバンド、高速回線)が「両親が最近導入したもの」としてわざわざ話題になっている点に、放送当時のインターネット環境がうかがえます。live from ~ は「〜からの生中継で」という意味で、テレビ番組の実況中継などで使われる紹介の型ですが、ここでは家庭用のビデオ通話にそのまま転用され、両親の登場をちょっとした見世物のように演出しています。ラージの May I present ~ という前置きも、フォーマルな紹介の言い回しを日常会話に持ち込んだユーモラスな表現です。
続いて、ラージはルームメイトのシェルドンのことも画面越しに紹介します。
Raj: And over here is Sheldon.
(で、こっちにいるのがシェルドンです。)Sheldon: Hi.
(どうも。)Raj: He lives with Leonard.
(レナードと一緒に住んでいます。)TBBT Season1 Episode8 (The Grasshopper Experiment)
放送当時、遠く離れた家族の様子をリアルタイムの映像で見るという体験自体が、まだ目新しいものだったことがうかがえる一幕です。ルームメイトを紹介する何気ない一言からも、画面の向こうに部屋の様子までまるごと共有されているという、それまでとは違うコミュニケーションの形が伝わってきます。
相談事も伝わる、ビデオ通話越しの家族のつながり
ビデオ通話は近況報告だけの場ではなく、両親から子への相談事を伝える場としても機能しています。今回の通話でも、両親は世間話の延長のようにお見合いの話を切り出してきます。シェルドンはこのやりとりを見て、ある社会的な観察を口にします。
Sheldon: If I may, your parents probably don’t consider this meddling, while arranged marriages are no longer the norm, Indian parents continue to have a greater than average involvement in their children’s lives.
(差し出がましいようですが、ご両親はこれをお節介だとは思っていないでしょう。お見合い結婚が主流ではなくなった今も、インドの親は子どもの人生への関わりが平均より深い傾向にあります。)TBBT Season1 Episode8 (The Grasshopper Experiment)
If I may は「差し出がましいようですが」「よろしければ」という意味の前置きで、相手の会話に割って入るときに使うと、唐突さをやわらげることができます。シェルドンのこの発言は、画面の向こうの家族関係についての一般的な社会観察であり、遠く離れた場所からでも子の人生に深く関わろうとする親の姿を、ビデオ通話という距離を超えた手段が可能にしていることを示しています。
画面越しであっても、家族の会話は近況報告にとどまりません。仕事の話、将来の話、時には今回のような相談事まで、直接顔を合わせるのと変わらない密度でやりとりが交わされています。ブロードバンド回線が整う以前は難しかったこうした頻度でのやりとりが、当時のインターネット環境の広がりとともに、海外に住む家族間の距離を少しずつ縮めていった様子がうかがえます。
まとめ|画面越しに縮まる、海外の家族との距離
broadband、live from、If I may。ラージの家族とのやりとりからは、画面越しであっても家族の近況や相談事が変わらず伝わっていく、ビデオ通話という生活インフラの姿が見えてきます。回線の向こうにいる家族との距離感は、当時から少しずつ縮まり続けてきたと言えます。
次回も『ビッグバン★セオリー』に描かれる何気ない日常の場面から、英語圏の生活文化を見ていきましょう。
このエピソードで交わされる会話は、フレーズ記事やエピソードまとめでもあわせて紹介しています。
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