海外ドラマを使って英語表現を学ぶ「ドラマdeエイゴ」へようこそ。
『メンタリスト』シーズン1エピソード15では、社交界の女性スカーレット・マーケサの毒殺事件を追う中で、口紅の色名が捜査の手がかりとして浮かび上がります。今回はその色名として登場する「tongue in cheek」と、証言の中で口にされる「what the heck」という表現を起点に、本気と冗談の境目でどう英語が使われるかを読み解いていきます。
捜査を率いる立場の声と、証言する側の声。立場の異なる二つの場面をたどりながら、その言い回しに触れていきます。
事件を動かした口紅の色名「Tongue in Cheek」
現場のナプキンに残されていた口紅の色を巡る捜査は、事件解決の大きな転機になります。鑑識班から色の正体について報告を受けたリズボンは、こう返します。
Lisbon: Tongue in cheek — that’s cute. Look, secure access to each of the stores receipt records.
(「Tongue in Cheekね、洒落てる。よし、各店舗のレシート記録にアクセスできるようにして。」)The Mentalist Season1 Episode15 (Scarlett Fever)
tongue in cheek は、直訳すれば「頬の内側に舌を当てる」という動作を指す言い回しですが、実際には「冗談半分に」「皮肉交じりに」という意味で使われるイディオムです。真顔を保ちながら頬の内側に舌を押し当てる仕草が、笑いをこらえたり本気ではないことを示したりする表情から来ているとされ、”That’s a tongue-in-cheek remark.” のように、発言や態度が本気か冗談かを説明する場面でよく登場します。
このエピソードでは、この言い回しがそのまま口紅の商品名としても使われています。イディオムとしての「冗談っぽさ」と、実際の事件の証拠品となった口紅の色名という二重の意味が重なっており、報告を受けたリズボンが真っ先に “that’s cute” と口にしたのは、この洒落た命名そのものに気づいたひとことと読み取れます。
続く secure access to 〜 は、「〜へのアクセス権を確保する」という意味の表現です。日常会話でよく使う get access to よりも硬い響きを持ち、許可や手続きを経て正式にアクセスできる状態にする、というニュアンスの強い言い方です。部下に指示を出す捜査官らしい語気の強さが、この一語にも表れています。
「I just had to have it」と「what the heck」に滲む言い訳
舞台はスパに移ります。その場に居合わせたリグスビーは、女性委員会のメンバーの一人であるジャッキー・シェイパーと再会します。スパの内容に詳しいことを尋ねられたリグスビーは、以前母のためにギフト券を買ったことがあると明かします。口紅の色を尋ねられたジャッキーは、まずこう答えます。
Jackie: Tongue in Cheek. You like it?
(「Tongue in Cheekよ。気に入った?」)The Mentalist Season1 Episode15 (Scarlett Fever)
それに対して、こう尋ね返されます。
Where did you get it?
(「それ、どこで買ったの?」)The Mentalist Season1 Episode15 (Scarlett Fever)
それから話題は、その口紅をどこで手に入れたかという経緯に移ります。
Jackie: I saw it on Patience Broadbent at Scarlett’s party. I just had to have it. It’s a crazy price, but what the heck?
(「スカーレットのパーティーでパティエンス・ブロードベントがつけているのを見てね。どうしても欲しくなっちゃって。ばかみたいな値段だったけど、まあいいかって。」)The Mentalist Season1 Episode15 (Scarlett Fever)
I just had to have it は、「どうしても欲しくなってしまった」という衝動買いの心情を表す口語表現です。had to は理性的な必要性というより抗いがたい欲求として響き、買い物の場面で頻繁に耳にする言い回しです。続く what the heck は、「まあいいか」「知ったことか」というニュアンスで、高い出費や無茶な選択を開き直って正当化するときに使われます。深刻な言い訳というより、肩をすくめるような軽さがこの表現の持ち味です。
冒頭の「tongue in cheek」が冗談半分の態度そのものを表す言い回しだったのに対し、こちらの二つは値段への言い訳という具体的な場面に根ざした表現です。本気と冗談の境目という観点で並べてみると、真顔で語られる捜査の場面と、笑い交じりに語られる買い物の場面という対照が浮かび上がります。
まとめ|tongue in cheekとwhat the heckの境目
tongue in cheek、secure access to、I just had to have it、what the heck。捜査の現場と社交の場、それぞれの温度差の中で使われるこれらの表現を並べてみると、英語における「本気」と「冗談」の境目がどのあたりにあるかが見えてきます。
次回も『メンタリスト』の登場人物たちのやり取りを通して、英語表現を見ていきます。
このエピソードの英語表現は、フレーズ記事やエピソードまとめでも扱っています。
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