海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。『ビッグバン★セオリー』S02E21では、失恋で落ち込むハワードを、友人たちがラスベガスへ連れ出して元気づけようとします。失恋の痛みを紛らわせようとする軽口と、20の質問ゲームのようなたわいない遊びが同じ夜の中に同居する回です。
この回の英語は、友人を励まそうとする気遣いの強さの違いが軸になります。遠回しに気を紛らわせようと促す言い方から、単刀直入にごまかしをやめろと迫る言い方まで、同じ「本音を引き出す」という目的でも、表現の強さが段階的に変わっていきます。
以下では、結末を明かさないあらすじに続けて、台本のセリフとともに10個の表現を紹介します。ラスベガスでの軽口と、部屋に残ったシェルドンとペニーのやり取りという、二つの異なる空気を意識しながら読み進めると、言葉の温度の違いがつかみやすくなります。
あらすじ(ネタバレなし)
『ビッグバン★セオリー』シーズン2第21話「The Vegas Renormalization」では、ハワードが失恋で落ち込み、友人たちはラスベガスへ連れ出して気分転換を図ります。レナードとラージは新しい出会いを探し、シェルドンはペニーとの会話から人間関係の別の形を知ります。友情が落ち込んだ仲間を立て直す回です。結末の核心には触れず、台本で確認できる場面に沿って10個の表現を取り上げます。『ビッグバン★セオリー』S02E21の会話は、ラスベガスの賑やかな軽口と、部屋に残った二人の静かなやり取りとが対照的に描かれている点が特徴です。
このエピソードで学べる英語フレーズ
1. get one’s mind off it
意味:それを忘れて気を紛らわせる。
Leonard: Okay, uh look, you just need to get your mind off it.
(ねえ、とにかく気を紛らわせないと。)
get one’s mind off it は「get+目的語+off ~」という形で、意識を対象から外すという文字どおりの構造をしています。mind「意識」を主語ではなく目的語として扱う点が特徴です。恋人に振られたハワードに対して、レナードが気分転換を提案する場面で使われています。
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2. sounds like a plan
意味:それでいこう。
Raj: Sounds like a plan.
(それでいこう。)
sounds like a plan は sound like ~「〜のように聞こえる」に plan「計画」を続けた決まり文句で、提案への同意を短く示します。レナードが「今すぐラスベガスに行こう」と提案した直後に、ラージが即座に同意する場面です。
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3. down in the dumps
意味:落ち込んで。
Leonard: Um… uh, the thing is, we’ve got this friend, and he’s kind of down in the dumps, and we thought that maybe you could cheer him up.
(ええと、あの、実は落ち込んでる友達がいてさ、元気づけてやれないかと思って。)
dumps はもともと「ゴミ捨て場」を指す名詞で、down in the dumps は気分が沈んでいる状態を場所の比喩で表す決まり文句です。レナードとラージが、娼婦とおぼしき女性にハワードの事情を切り出す場面で、言いよどみながら使っています。
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4. beat around the bush
意味:核心を避けて話す。
Raj: How can she when you beat around the bush.
(核心を避けてばかりじゃ、彼女だって分かりようがないだろ。)
藪の周りをたたいて獲物を追い出す狩猟の様子が由来で、遠回しに話して核心に触れない態度を表します。レナードが遠慮がちに用件を切り出そうとするのを見て、ラージが「それでは伝わらない」と割り込む場面です。
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5. cut the crap
意味:くだらないごまかしをやめる。
Howard: Cut the crap, you set this up, didn’t you?
(ごまかすのはよせ、これは仕組んだんだろ?)
cut は「切り上げる」、crap は「たわ言」を指す口語表現で、cut the crap は遠回しなやり取りを打ち切れという強い命令になります。ハワードが、相手の女性が仲間に仕組まれた存在だと気づき、レナードを問い詰める場面です。
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6. friends with benefits
意味:セックスを伴う友人関係。
Howard: You’ve reached friends with benefits.
(こちらは、体の関係もある友達の留守電です。)
friends with benefits は「友人」と「特典」を組み合わせた名詞句で、句動詞ではなく、性的関係を伴う友人関係を指す口語表現です。ハワードの携帯に元恋人のレスリーから電話がかかってきた際、ふざけて留守番電話のメッセージを装って使っています。
7. get lucky
意味:うまくいく/性的な幸運に恵まれる。
Leonard: Okay, uh, if I get lucky I’ll take her to my stately manor outside Gotham City, and if you get lucky, I’ll sleep on the moon.
(うまくいったら、ゴッサムシティ郊外の僕の大邸宅へ連れていくよ、君がうまくいったら、僕は月で寝るさ。)
get lucky は「幸運を得る」という直訳に加え、口語では性的な意味合いを持つ決まり文句として使われます。レナードが、うまくいった場合とうまくいかなかった場合の「罰ゲーム」を冗談めかして提案する場面の前半です。
8. sleep on the moon
意味:月で寝る。
Leonard: Okay, uh, if I get lucky I’ll take her to my stately manor outside Gotham City, and if you get lucky, I’ll sleep on the moon.
(うまくいったら、ゴッサムシティ郊外の僕の大邸宅へ連れていくよ、君がうまくいったら、僕は月で寝るさ。)
sleep on the moon は慣用句ではなく、レナードがその場で作った誇張表現です。on the moon「月の上で」という具体的な場所を添えることで、罰の大げささを強調しています。フレーズ7と同じ発話の後半で、うまくいかなかった場合に自分が引き受ける罰として口にしています。
9. go ahead
意味:先に進め。
Howard: You guys go ahead, I just have to finish up an email.
(先に行ってて、メールを一本仕上げるだけだから。)
go ahead は「先に進む」という基本の意味を持つ句動詞で、命令形にすると相手を先に行かせる合図になります。ハワードが、元恋人のFacebookページを確認したいがために、先に行くよう仲間に告げる場面です。
10. finish up
意味:終える。
Howard: You guys go ahead, I just have to finish up an email.
(先に行ってて、メールを一本仕上げるだけだから。)
finish up は finish に up を添えて「仕上げる」というニュアンスを強めた句動詞です。フレーズ9と同じ発話の中で、メールを終わらせるという口実として使われていますが、実際にはレスリーのFacebookを見ていたことが直後に分かります。
このエピソードの英語学習ポイント
このエピソードの英語は、失恋したハワードを励まそうとする友人たちの言葉から始まります。気を紛らわせることを提案する言い方と、くだらない言い訳をやめろと迫る言い方は、同じ気遣いでも強さがまったく異なります。相手との関係の近さによって選ばれる表現がどう変わるかを意識すると、感情表現の幅が見えてきます。
ラスベガスの場面では、20の質問ゲームで交わされる遠回しな言い回しと、カジノのバーでの直接的な交渉が対照的に描かれます。前半はシェルドンとハワードが遠回しな比喩でやり取りをする一方、後半はレナードとラージが娼婦との会話で言葉を選びながら核心に近づいていきます。同じ「言いにくいことを伝える」場面でも、相手との関係によって遠回しさの度合いが変わる様子が分かります。
一方でシェルドンとペニーの部屋では、20の質問ゲームを通じて、ふだん交わらない二人の距離感が少しずつ変化していきます。ペニーの軽口とシェルドンの生真面目な返答のずれそのものが笑いを生んでおり、言葉のかみ合わなさを聞き取ることも、この回の英語を楽しむポイントです。
音読するときは、ラスベガスでの会話とペニーの部屋での会話を分けて練習すると効果的です。前者は仲間内の軽口が多く、後者は説明と質問の応酬が中心になります。10個の表現がどちらの場面で使われていたかを思い出しながら発話すると、相手との距離に応じた言葉選びが身につきます。
キャラクター別|英語の特徴
シェルドン|状況を言葉で組み立てる話し方
シェルドンは、相手の指摘を強い否定語から始めて退け、そのあとに条件付きの譲歩を添える話し方を見せます。台本には「That’s preposterous. I do not resemble C3PO. Don’t get me wrong, I’m flattered, I just don’t see it.」という発話があります。日本語に置き換えると、20の質問ゲームで自分がC3POに例えられたことに対して、シェルドンが心外だと反論している場面です。
否定から入りながらも「I’m flattered」と一言添えることで、相手の気分を害さないよう配慮している点が特徴です。この直後にハワードの携帯が鳴り、話題は別の方向へそれていきます。
ペニー|相手との距離を測る話し方
この回のペニーは、相手の状況を茶化す呼びかけで軽口をたたく話し方を見せます。台本には「What’s wrong, Superman? Locked out of your big ice thingy?」という発話があります。日本語に置き換えると、鍵を忘れて自室に入れなくなったシェルドンを見つけたペニーが、からかい半分に声をかけている場面です。
Superman や big ice thingy という言い方は、直前でシェルドンが自室を「孤独の要塞」にたとえていたことを踏まえたからかいで、相手の言葉を借りて返す会話の呼応が見えます。
レナード|場面を動かす話し方
レナードの発話には、ばかげた質問に対してまず驚きを示してから、短く否定する特徴があります。台本には「God, I hope not. And no, I’m not Princess Leia.」という発話があります。日本語に置き換えると、20の質問ゲームでハワードから「財布の中にビキニ姿の自分の写真が入っているか」と聞かれたレナードが、あきれながら否定している場面です。
「God, I hope not.」という感情の吐露のあとに事実の否定を続ける順番が、ゲームのばかばかしさに付き合いながらも一歩引いている態度を表しています。
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