海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
今回扱うのは、『ビッグバン★セオリー』シーズン2 第10話に登場する、シェルドンが病院でステファニーに検査を頼み込む場面の英語表現です。警備の目をかいくぐって忍び込んだシェルドンは、仕事中のステファニーを呼び止め、検査の許可を求め続けます。「帰りなさい」ときっぱり断られてもなお、要求のハードルを一段下げて食い下がる粘り強さが見どころです。
相手の都合を無視して切り出す言い方から、拒否された後の譲歩案までを見ていきます。
相手の都合を無視して切り出し、要求のハードルを下げる言い方
仕事中のステファニーのもとへ、シェルドンが唐突に現れます。
Steph: Sheldon, what are you doing here?
(シェルドン、ここで何をしているの?)Sheldon: Hang on. 130 over 80.
(待ってくれ。130の80だ。)TBBT Season2 Episode10 (The Vartabedian Conundrum)
ステファニーの what are you doing here? という当然の問いかけに対し、シェルドンは Hang on.(「待ってくれ」)の一言で相手の質問を後回しにし、自分の血圧の数値を報告し始めます。相手の都合や疑問には応じず、自分の話を始めてしまう切り出し方です。130 over 80 のような数値報告をいきなり差し込むことで、これから頼みごとをする空気ではなく、すでに診察が始まっているかのような体裁を作っているのも特徴です。
続けてシェルドンは、要求のハードルを下げるように頼み込みます。
Sheldon: All I need is for you to authorize these tests.
(君にこの検査を許可してもらいさえすればいいんだ。)TBBT Season2 Episode10 (The Vartabedian Conundrum)
All I need is for you to … は「〜さえしてもらえればいい」と、要求を最小限に見せかける言い方です。この後シェルドンが列挙する検査の数はかなり多いのですが、それでも「これだけでいい」という形で切り出すところに、頼み込む側の駆け引きが表れています。authorize(許可する)という語も、友人に頼みごとをするというより、正式な手続きを踏んでいるかのような響きを添えています。相手の返事を待たずに要求を積み重ねていく流れが、この場面全体の切り出し方を特徴づけています。
拒否された後、「at least」で要求を一段下げて食い下がる表現
数々の検査を要求したシェルドンに対し、ステファニーはきっぱりと拒否します。
Steph: Go home, Sheldon.
(帰りなさい、シェルドン。)TBBT Season2 Episode10 (The Vartabedian Conundrum)
Go home, Sheldon. は婉曲な前置きも理由の説明もない、短く率直な拒絶です。命令形一つと名前だけというシンプルな構成で、ここまでの長々とした頼み込みに対して、これ以上ないほどきっぱりとした一言が返ってきます。
それでもシェルドンは引き下がらず、要求を一段階だけ下げて食い下がります。
Sheldon: Can I at least have the upper GI? I already drank the barium!
(せめて上部消化管検査だけでもやってもらえないか? もうバリウムを飲んでしまったんだ!)TBBT Season2 Episode10 (The Vartabedian Conundrum)
Can I at least have …? は「せめて〜だけでもやってもらえないか」と、却下された要求全体を諦めるのではなく、その中の一部分だけでも通してほしいと食い下がる交渉表現です。全面的な拒否を受けても即座に引き下がらず、最小限の一点に絞って再度お願いする型と言えます。at least は「少なくとも」「せめて」を意味し、要求の水準を一段階だけ引き下げて相手が譲歩しやすい形に作り直す働きをしています。理由として添えられる I already drank the barium! も、「もう準備を済ませてしまった」という既成事実を持ち出すことで、譲歩案に説得力を持たせようとしています。冒頭の Hang on. から始まった一方的な切り出しが、最後には相手の返事を前提とした疑問文の形に変わっているのも見どころです。
まとめ|却下された後も、譲歩案で食い下がる粘り強さ
Hang on.、All I need is …、Can I at least have …?。相手の都合を後回しにして切り出し、拒否された後も要求を一段下げて食い下がる、粘り強いお願いの型が積み重なっています。きっぱりとした Go home. のような拒絶と並べると、食い下がる側の粘り強さがくっきりと際立ちます。
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