海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
今回扱うのは、『ビッグバン★セオリー』シーズン5 第10話に登場する、交際の申し込みとその場で結ばれる契約書のやりとりです。エイミーがスチュアートと出かけた映画のデートに割り込んだシェルドンが、遠回しな言い回しの末に交際を申し込み、その夜にはエイミーの部屋で堅苦しい契約書を取り出して関係を成文化していく様子が描かれています。
回りくどい四重否定の言い回しから、シンプルな申し込みの言葉、そして契約書調の大げさな語彙まで見ていきます。
回りくどい四重否定から生まれた、シンプルな申し込み
映画館でエイミーとスチュアートがデートをしているところに、シェルドンが割り込んでくる場面から見ていきます。
Sheldon: With the understanding that nothing changes whatsoever, physical or otherwise, I would not object to us no longer characterizing you as not my girlfriend.
(体の関係も含めて何も変わらないという前提でなら、君を「僕の彼女ではない」と呼ばなくなることに、僕は異存はない。)Amy: Interesting. Now try it without the quadruple negative.
(興味深いわね。今度はその四重否定なしで言ってみて。)TBBT Season5 Episode10 (The Flaming Spittoon Acquisition)
with the understanding that は「〜という理解のもとで」と前置きしてから条件をつける言い方です。I would not object to は「反対しない」という二重否定的な言い回しで、感情を直接口にせず婉曲に伝える型と言えます。この一文には否定の言葉が四つ重なっており、エイミーからすぐにquadruple negative(四重否定)と指摘されています。
指摘を受けてシェルドンが言い直した申し込みの言葉が、次のシンプルな一言です。
Sheldon: Fine. Amy, will you be my girlfriend?
(分かった。エイミー、僕の彼女になってくれないか?)Amy: Yes.
(いいわ。)TBBT Season5 Episode10 (The Flaming Spittoon Acquisition)
Will you be my girlfriend? は、長い前置きを経たあとに残る、交際を申し込むもっとも直接的な型です。Fine. の一言で言い訳を切り上げてから本題に踏み込む流れが、回りくどい話し方から核心へ一気に飛ぶ対比を作っています。
契約書という体裁で語られる、私的な出来事
その夜、エイミーの部屋を訪れたシェルドンが取り出したのが、交際を成文化する契約書です。
Sheldon: Wow. Is that the kind of nagging I can expect now that you’re my girlfriend? Good thing I drew this up.
(驚いたな。君が僕の彼女になったからには、こういう小言も覚悟しておくべきなのか?ちょうどよかった、これを用意しておいたんだ。)TBBT Season5 Episode10 (The Flaming Spittoon Acquisition)
差し出された書類の紹介文が、次の一節です。
Sheldon: I present to you the relationship agreement. A binding covenant that, in its 31 pages, enumerates, iterates and codifies the rights and responsibilities of Sheldon Lee Cooper, here and after known as the boyfriend, and Amy Farrah Fowler, here and after known as the girlfriend.
(君に、関係合意書を提示する。全31ページにわたり、以後「彼氏」と呼ばれるシェルドン・リー・クーパーと、以後「彼女」と呼ばれるエイミー・ファラ・ファウラーの権利と義務を列挙し、繰り返し述べ、成文化した拘束力のある契約書だ。)Amy: It’s so romantic.
(とてもロマンチックね。)Sheldon: Mutual indemnification always is. Why don’t you start perusing while I set up my notary stamp.
(相互補償条項はいつだってロマンチックなものさ。僕が公証人スタンプを準備している間に、君は目を通し始めてくれないか。)TBBT Season5 Episode10 (The Flaming Spittoon Acquisition)
enumerates, iterates and codifies のように、似た意味の動詞を重ねる言い方が、契約書らしい大げさな響きを作っています。here and after known as は「以後〜と呼ぶ」という契約書特有の定型句です。エイミーのIt’s so romantic.という感想に、シェルドンがmutual indemnification(相互補償)という条項名で応じるずれが見どころです。
まとめ|契約書調の語彙が生む、大げさな交際のかたち
回りくどい前置きから交際の申し込みへ、そして契約書調の大げさな語彙まで、私的な出来事を公式な手続きのように語る言い回しを見てきました。will you be my girlfriend?という一言と、enumerates, iterates and codifiesのような重々しい表現の落差が印象的です。
次回も『ビッグバン★セオリー』の会話を通して、英語表現の型を見ていきましょう。
このエピソードで交わされる英語表現は、他のコラムやフレーズ記事でも異なる角度から扱っています。


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