海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
今回取り上げるのは、BONES シーズン3 第12話「The Baby in the Bough」で描かれる、かつて炭鉱で栄えた小さな町の姿です。被害者の身元を追ってブースとブレナンが向かった先は、産業の衰退がそのまま暮らしの風景に刻まれた場所でした。
法医学ミステリーというジャンルは、遺体だけでなく、その背景にある土地や人々の暮らしぶりも映し出します。劇中の会話から浮かび上がる、ある町の衰退の輪郭を追ってみましょう。
“ghost town”という言葉が示す、炭鉱町のいま
“ghost town”とは、住民の大半が去り、建物だけが取り残された町を指す言葉です。研究所でのホッジンズによる微粒子・同位体分析の結果、被害者は西バージニア州タッカー郡の出身だと判明し、ブースとブレナンは小さな町ハンツビルへ向かいます。車中でブースはこう切り出します。
Booth: The last coal mine closed about eight years ago. This place is a ghost town.
(最後の炭鉱が閉山したのは8年ほど前だ。この一帯はゴーストタウンだよ。)Brennan: The local economy was devastated.
(地域経済は壊滅的な打撃を受けたのね。)BONES Season3 Episode12 (The Baby in the Bough)
車を停めた二人は、庭先で作業をしていた住民ポールに声をかけます。政府機関から来たと告げると、ポールは皮肉交じりにこう返します。
Paul: Right. Just like the government helped us when the bridge washed out. When they closed the school.
(ああ、そうだろうよ。橋が流された時も、学校が閉鎖された時も、政府はさぞかし助けてくれたもんな。)Brennan: Well, the business and industry left the area. The local tax base is non-existent. The government can’t be expected to provide services without the fiscal means to do so.
(企業や産業がこの地域から撤退してしまったのよ。地方の税収はほぼゼロ。財源がなければ、政府に行政サービスの提供を期待するのは無理な話だわ。)BONES Season3 Episode12 (The Baby in the Bough)
炭鉱の閉山をきっかけに、橋の修復や学校の維持といった行政サービスまで立ち行かなくなっていく——劇中ではこうした連鎖が、住民の実感として語られています。実際のタッカー郡や同様の炭鉱町の経済状況・統計がどうであったかは本作を離れた話であり、あくまで劇中の描写として捉えておきたいところです。
「経済も生き物と同じ」——ブレナンの見立てとその先
ポールとのやり取りのあと、ブレナンは自らの考えをこう言い切ります。
Brennan: Economies live and die just like any organism. When they expire, the logical thing to do is to move.
(経済も生き物と同じで、生まれて死ぬものよ。息絶えたのなら、そこを離れるのが理にかなっているわ。)BONES Season3 Episode12 (The Baby in the Bough)
経済を生き物にたとえるこの言い回しは、感情を排して物事を捉えるブレナンらしい視点です。町が衰退したのなら移り住むのが合理的だ、という突き放した結論は、この土地に生きてきたポールの愛着とは対照的に響きます。
物語の終盤、ブレナンが私費を投じてこの町の橋を再建すると知ったブースは、以前の彼女の発言を持ち出してからかいます。それに対しブレナンは、橋のようなたった一つのきっかけがあれば、町は回復に向かい始めることがあると自ら理由を語ります。合理性を重んじていたはずの彼女が行動で示したこの答えは、冒頭の”ghost town”という言葉に対する、ささやかな返答のようにも読み取れる場面です。
まとめ|”ghost town”に映る、劇中の町の輪郭
“ghost town”というひとことから始まり、炭鉱の閉山、橋や学校の閉鎖、そして経済を生き物にたとえるブレナンの見方まで、劇中の会話は衰退した町の輪郭を丁寧に描いています。実際の地域がどうであるかとは切り離して、物語の中のひとつの風景として味わえるのが見どころです。
次回も『BONES』が映し出すアメリカの土地の空気を追いかけていきましょう。
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