海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
特定の話題を振ると止まらなくなる人が周りにいて、うっかりその話に触れてしまい、案の定長い話に付き合うことになった経験はないでしょうか。
そんな場面で使いたい「get someone started」を、『ホワイトカラー』シーズン4第10話の中盤、盛り上がりそうな話題を語り出しかけた相手に、ニールが思わず釘を刺す一言から、一緒に見ていきましょう。
「get someone started」の意味とニュアンス
get someone started
意味:(人に)話・行動を始めさせる、調子づかせる
get someone started は、get + 目的語 + 過去分詞(started)という形を取り、「(人)を始まった状態にする」というのが直訳です。そこから転じて、ある話題や行動のスイッチを入れてしまい、その人が止まらなくなる様子を表す口語表現として定着しています。
特によく使われるのが Don’t get me started(その話は振らないで)や Don’t get him started(彼にその話を振るな)という否定形です。相手が熱く語り出しそうな話題にあえて触れず、冗談交じりに止めようとする場面で頻出します。
似た構文に get someone going がありますが、こちらは「動き出させる」という中立的な意味合いが強く、get someone started ほど「話し始めたら止まらなくなる」というユーモラスなニュアンスは持ちません。相手の熱中ぶりを軽く茶化す響きがある点が、この表現ならではの持ち味です。
【ここがポイント!】
- 「get someone started」の核は、話や行動のスイッチを入れて止まらなくさせるイメージ
- Don’t get me/him started の否定形で使われることが多い定番パターン
- 相手の熱中ぶりを冗談めかして止める、軽いユーモアが伴う一言
『ホワイトカラー』S04E10のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
何やら盛り上がりそうな話題を語り出しかけた相手に、ニールから思わず釘を刺す一言が飛び出します。その直後、オフィスは思いがけない出来事に見舞われ、落ち着いた会話が一気に慌ただしい雰囲気へと変わっていく様子に注目です。
Neal: Don’t get him started.
(彼をその気にさせるなよ。)— Once Peter’s scanned the last form, but before he signs it…
(ピーターが最後の書類をスキャンし終えて、でもまだサインする前に……)— Aah! Rat! Rat! Can I get a little help here?!
(うわっ! ネズミだ! ネズミ! 誰か手を貸してくれ!)Peter: What is going on?
(一体何が起きてるんだ?)Jones: Rat!
(ネズミです!)White Collar Season4 Episode10 (Vested Interest)
シーン解説と心理考察
計画の説明が続く中、ニールがふと「彼をその気にさせるなよ」と釘を刺す様子には、誰かが調子に乗って話し出しそうな空気を先回りして察知するニールらしい機転が表れています。
ところが説明が途切れたと思う間もなく、「うわっ! ネズミだ! ネズミ!」という悲鳴が響き渡り、落ち着いた会話は一瞬でドタバタ劇へと転じます。何かを丁寧に説明しようとしていた矢先の出来事だけに、場の雰囲気が一気に切り替わる落差がコミカルに映ります。
ピーターの「一体何が起きてるんだ?」という戸惑いの問いかけに対し、ジョーンズが短く「ネズミです!」とだけ答える潔さには、緊張感よりも肩の力が抜けたコメディらしい空気が漂います。詳しい状況説明を省いた即答ぶりが、かえって騒動の慌ただしさを物語っています。
冷静な打ち合わせから予測不能な珍事への急転換という緩急が、このドラマならではの軽妙な味わいを印象づけている場面です。書類仕事の地味な緊張感が、思わぬ闖入者によって一気にほぐれていく様子も見どころです。
『ホワイトカラー』流・覚え方のコツ
get someone started を覚えるコツは、一度エンジンがかかると自分では止められなくなる乗り物を思い浮かべることです。その人の中にあるエンジンに火をつけてしまうと、あとは走り出すのを見守るしかない、そんなイメージがこの表現にはぴったりです。
ニールが釘を刺した相手も、話し始めたら止まらなくなるタイプだったのでしょう。エンジンをかける前に、あえてキーに触れないでおく。その用心深さごとセットで覚えておくと、身近な会話でも自然と口をついて出てくるはずです。
例文で覚える「get someone started」
日常のちょっとした場面から、get someone started を、3つの例文で確認していきましょう。
Don’t get me started on how bad the traffic was this morning.
(今朝の渋滞がどれだけひどかったか、話し始めたら止まらないから言わないでよ。)
不満をユーモラスに語る日常会話の場面です。on 以下で話題を具体的に示すことで、何について止まらなくなるのかが伝わります。
He gets so excited about baseball that one question can get him started for an hour.
(彼は野球のこととなると興奮しすぎて、一つ質問しただけで一時間は話し続けてしまう。)
友人の性格を紹介する場面です。for an hour という具体的な時間を添えることで、止まらなさの度合いが強調されています。
A: Do you like her new album?
B: Don’t get me started — I could talk about it for hours.
(A:彼女の新しいアルバム好き?)
(B:その話は禁物だよ、何時間でも語れちゃうから。)
好きなものについて熱く語りたい気持ちを軽く伝えるカジュアルな会話です。ダッシュのあとに理由を続けることで、勢いのある話し方が再現されています。
あわせて覚えたい関連表現
set someone off
((人を)怒らせる、暴走させるきっかけになる)
get someone started が「話し始める」ことに重点を置くのに対し、set someone off は怒りや感情の爆発を引き起こすニュアンスが強い表現です。ポジティブな熱中ではなく、負の感情の発火点を指すことが多くなります。
wind someone up
((人を)からかって扇動する)
wind someone up は、意図的にからかって相手の反応を引き出すニュアンスが強い表現です。get someone started が話題に触れた結果として自然に始まるのに対し、こちらは仕掛ける側の意図が前面に出ます。
open the floodgates
(堰を切ったように始まる)
物事や感情が一気にあふれ出す比喩表現で、get someone started よりも大げさで比喩的な響きを持ちます。一つのきっかけで抑えられていたものが噴き出す規模の大きさを表す場合に向いています。
Note|「話が止まらない人」への軽いツッコミ文化
Don’t get me started という言い回しがこれほど定番のフレーズとして定着している背景には、英語圏の会話文化における「熱中する人へのツッコミ」という独特のスタイルがあります。
家族や友人同士の会話では、特定の話題になると止まらなくなる人が一人はいるものです。政治の話になると止まらない親戚、好きなバンドの話になると饒舌になる友人、仕事の愚痴が止まらない同僚など、状況はさまざまですが、こうした人物への周囲の反応として定番なのが、深刻に咎めるのではなく軽く笑いに変えてしまうという対応です。Don’t get him started という一言は、まさにその「わかっているからこそ、あえて話題に触れない」という予防線であり、相手の性格を受け入れた上での軽妙なツッコミとして機能しています。相手を否定せず、むしろその情熱ぶりを微笑ましく扱う姿勢が、このフレーズの背景には流れています。
ニールが放った一言も、まさにこの「触れたら長くなる話題」を察知した上での、先回りの軽口でした。get someone started という表現を使うとき、そこには相手への呆れと同時に、どこか温かい許容の気配が漂っています。
止まらない人を無理に黙らせるのではなく、軽やかにいなす。そんな会話の知恵がこの一言には込められています。
まとめ|熱中する人への、軽やかな先回り
get someone started は、ある話題や行動のスイッチが入ってしまうと、当人が止まらなくなる様子を表す表現です。Don’t get me/him started という否定形の定番パターンを押さえておけば、日常のさまざまな場面でとっさに使えます。
うっかり誰かの得意分野に触れてしまい、長い話に付き合うことになりそうなときも、この一言があれば冗談交じりに軽く受け流せます。
ニールが釘を刺した直後にオフィスがネズミ騒動で一変するという展開には、落ち着いた会話がいつ何によって中断されるか分からない、コメディらしい予測不能さが表れていると言えます。


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