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相手が何かを調べたり確認したりしようとしているとき、「それはもうやらなくていいよ」と軽く止めた経験は誰にでもあるはずです。無駄な手間をかけさせたくないときに、深刻にならずさらりと伝えられる一言があると便利です。
そんな場面にぴったりの「don’t bother doing」を、『ホワイトカラー』シーズン4第14話の前半、旅行の計画を立てていたピーターのもとへ部下のジョーンズが訪ねてきた場面で、ピーターが荷物を茶化しながら口にする一言から、一緒に見ていきましょう。
「don’t bother doing」の意味とニュアンス
don’t bother doing
意味:わざわざ〜しなくていい、〜する必要はない
don’t bother doing は、相手がこれから行おうとしている行動に対して「その手間はかけなくていい」と軽く制止するときに使う口語表現です。bother は「わざわざ手間をかける、気にかける」という意味の動詞で、否定の命令文と組み合わさることで「その手間は不要だ」という意味が生まれます。
結果がすでに見えていて確認そのものが無意味なときや、相手に余計な気を使わせたくないときによく使われ、深刻さのないカジュアルな響きを持っています。bother の代わりに worry を使った don’t worry about doing という言い方もありますが、bother の方が「手間・労力」に焦点を当てているのに対し、worry は「心配・気遣い」という気持ちの面に寄った表現になります。
【ここがポイント!】
- 「don’t bother doing」の核は、相手の無駄な手間を軽く制止する気遣い
- 結果が見えている確認作業や、余計な気遣いを止めたいときに使う
- Don’t bother. だけを単独で使うと、「いいよ、大丈夫」という短い相槌にもなる
『ホワイトカラー』S04E14のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
エリザベスと「仕事の話はしない」と約束したばかりのピーターのもとへ、部下のジョーンズが不意に訪ねてきます。旅支度をしていたピーターは、荷物を調べられることを見越して先回りの軽口を叩き、そのまま本題であるエレンの記録を巡るやり取りへと切り替えていきます。
Peter: And don’t bother looking in my bag. I pack to deceive. What do you have?
(わざわざ僕の鞄を調べなくていいぞ。中身は騙すためのものだからな。それで、何を持ってきた?)Jones: Ellen’s tax returns.
(エレンの確定申告の記録です。)Peter: Keep the bureau out of it?
(捜査局は絡めずにか?)Jones: Yeah. Diana’s contact at the IRS came through.
(はい。ダイアナのIRS(内国歳入庁)の伝手が動いてくれました。)White Collar Season4 Episode14 (Shoot the Moon)
シーン解説と心理考察
旅行を前に「仕事の話はしない」と約束したはずのピーターは、部下の来訪でとっさに仕事モードへ切り替わります。「わざわざ僕の鞄を調べなくていい、中身は人を欺くためのものだから」という一言には、堅実なFBI捜査官でありながらニールたちとの付き合いを通じてすっかり身についたユーモアのセンスがにじんでいます。深刻になりすぎず、まず軽口で場の空気をほぐしてから本題に入るこの流れは、ピーターらしい仕事への向き合い方を映し出しています。
軽口のあとは一転して、ジョーンズが持参したエレンの確定申告記録を巡る実務的なやり取りに移ります。「捜査局は絡めずにか?」という短い確認と、「ダイアナのIRSの伝手が動いた」という報告からは、チームが正規の手続きを迂回して内々に調査を進めていることが伝わってきます。エレンにまつわる件がFBI内部でも慎重に扱われていることを、この短い会話だけで示している場面です。
『ホワイトカラー』流・覚え方のコツ
don’t bother doing を覚えるコツは、相手に向けて手のひらを軽く差し出し「その必要はないよ、力を抜いて」と制止するジェスチャーを思い浮かべることです。bother が持つ「わざわざ手間をかける」というイメージに、否定の一言を添えるだけで、相手の労力を先回りして減らしてあげる表現になります。
劇中では、鞄を調べようとする相手に「無駄だよ、僕は騙すために荷造りしているから」とユーモラスに使われていました。深刻な捜査の合間に見せる軽さとセットで覚えておくと、日常のふとした場面でも自然に口をついて出てくるはずです。相手の手間を先回りして取り除いてあげる、そんな気遣いの表現として記憶に残しておきましょう。
例文で覚える「don’t bother doing」
電波の届かない場所での一言から、仕事の場面まで、don’t bother doing を、3つの例文で確認していきましょう。
Don’t bother checking your phone. There’s no signal here.
(わざわざスマホを確認しなくていいよ。ここは電波が届かないから。)
電波の届かない場所で相手の行動を止める日常会話の場面です。理由を添えることで、なぜ無駄なのかが相手にすぐ伝わります。
Don’t bother rewriting the whole report. Just fix this one section.
(レポート全体を書き直さなくていいよ。この一箇所を直すだけで十分。)
同僚や部下の作業量を減らす提案をするビジネスの場面です。全体ではなく一部だけで十分だと示すことで、相手の負担を軽くしています。
A: Should I call ahead to confirm the reservation?
B: Don’t bother calling. I already checked online.
(A: 予約の確認で先に電話しておいた方がいい?)
(B: 電話しなくて大丈夫。もうオンラインで確認したから。)
旅行や外食の準備で確認作業を分担する場面です。すでに済んでいる作業を相手に伝えることで、二度手間を防いでいます。
あわせて覚えたい関連表現
no need to do
(〜する必要はない)
don’t bother doing よりも中立的でフォーマルな響きを持ち、ビジネスの場でも使いやすい表現です。
don’t worry about doing
(〜することを気にしなくていい)
相手の心理的な気遣いを軽くするニュアンスが強く、感情面のフォローに向いた言い方です。
save yourself the trouble of doing
(〜する手間を省け)
don’t bother doing よりもやや強めで、「無駄な労力を使うな」という忠告的なニュアンスが加わる表現です。
Note|bother を使った「気にしなくていい」表現のバリエーション
bother という単語は、「わざわざ手間をかける、煩わせる」という核イメージを持つ動詞です。don’t bother doing のほかにも、bother を使った表現はいくつかのバリエーションがあり、場面ごとに微妙にニュアンスが変わります。
don’t bother with は「〜には関わらなくていい」という意味で、doing 形よりも対象を名詞で示すときに使われます。たとえば don’t bother with the details と言えば、「細かい点は気にしなくていい」という意味になります。一方、no bother at all は「まったく面倒ではない」という意味で、相手からの依頼や申し出に対して「お安い御用ですよ」と返す決まり文句として使われます。同じ bother という単語でも、doing を伴う場合は相手の行動を止める働きかけになり、名詞を伴う場合は対象そのものへの関心を切り離す働きかけになるという違いがあります。
劇中でピーターが口にした don’t bother looking も、この系譜に連なる使い方のひとつです。「調べる」という具体的な行動を止めることで、鞄の中身への関心をやんわりとそらしている点が興味深いところです。bother が持つ「手間・煩わしさ」という核のイメージを押さえておけば、doing 形か名詞形かによる使い分けも自然と理解できるようになります。
日常のちょっとした場面でも、この一語の持つ柔軟さは重宝します。手間を省いてあげたいときの言葉選びとして、ぜひ覚えておきたい表現群です。
まとめ|相手の手間を先回りして取り除く一言
don’t bother doing は、相手がこれからしようとしている行動に対して「その手間はかけなくていい」と軽く伝える表現です。bother が持つ「わざわざ手間をかける」というイメージを覚えておけば、深刻にならずに相手への気遣いを示せる場面がぐっと増えます。
確認作業がすでに済んでいるときも、相手に余計な気を使わせたくないときも、この一言があれば気負わずに伝えられます。
部下の来訪でとっさに仕事モードへ切り替えたピーターの軽口には、緊張感のある捜査の合間にも茶目っ気を忘れない、彼らしい余裕がにじんでいます。深刻な話題の合間に差し込まれる軽やかな一言として、表現の引き出しに加えてみてください。


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