海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
今回は人気法医学サスペンスドラマから、事件の始まりを告げる重要な専門用語でありつつ、英語独特のモノの捉え方を学べる表現を紹介します。
英語のニュースやドキュメンタリーを理解する力もぐっと高まりますので、ぜひマスターしていきましょう。
実際にそのシーンを見てみよう!
動物公園で発見された遺体の回収に向かうブレナンとブース。緊迫した任務の最中にもかかわらず、ブースは少し寄り道をしたがっています。
Booth: I was here last weekend with Parker. They got monkeys swinging free – right over there. Do you think we have time?
(先週末、パーカーとここに来たんだ。あっちには放し飼いのサルがいる。時間あるかな?)Brennan: Booth, we’re here to recover a set of remains.
(ブース、私たちは遺骨を回収しに来たのよ。)Booth: Come on, Bones. You gotta take time to smell the primates.
(おいおいボーンズ。霊長類の匂いを嗅ぐ余裕を持てよ。)
Bones Season 4 Episode 18 (The Doctor in the Den)
シーン解説と心理考察
動物公園のトラの囲いで発見された遺体を調査するため、現場に到着した二人の対照的なやり取りです。
先週末に息子とこの公園を訪れていたブースは、仕事中にもかかわらず「放し飼いのサルを見に行こう」と無邪気に提案します。
しかし、法人類学者として常に合理的で職務に忠実なブレナンは、そんな彼の態度をピシャリと撥ね付けます。
凄惨な事件を扱いながらも、直感で動くブースと論理を重んじるブレナンという二人のコミカルで噛み合わない掛け合いが、作品全体の緊張感をふっと和らげてくれる、このドラマならではの魅力的なオープニングシーンですね。
フレーズの意味とニュアンス
a set of remains
意味:一揃いの遺骨、遺体
remainsは「残されたもの」から転じて「遺体」や「遺骨」を意味する名詞です。この意味で使われるときは、常に複数形の「s」がつくのが大きな特徴です。
そこに「a set of(一揃いの、一式の)」という表現を組み合わせることで、「全身の骨が揃っている状態の遺体」というニュアンスを的確に表しています。
法医学や警察の捜査、または考古学の現場などで非常に頻繁に使用される専門的な表現です。
【ここがポイント!】
このフレーズの最大のポイントは、ネイティブスピーカーが「白骨化した遺体」をどのような視点で捉えているかという点にあります。
英語圏の人々は、バラバラになった複数の骨のパーツが集まって一つの形を成している状態を、「一つのパッケージ(a set)」として認識しています。
チェスの駒一式や、工具箱のツールセットを「a set of ~」と呼ぶのと同じ感覚ですね。
日本語の「ご遺体」という言葉が持つ精神的・人格的な重みよりも、法医学的な「物質としてのまとまり」という客観的で冷徹な響きを持っています。
ブレナンがこの言葉を淡々と口にするのも、対象を感情移入する相手としてではなく、あくまで分析すべき客観的な証拠の集合体として捉えているという、彼女の科学者としての確固たるスタンスが表れていると言えます。
実際に使ってみよう!
海外のニュース番組やドキュメンタリー番組を視聴する際によく耳にする、実用的なシチュエーションの例文を紹介します。
The archeological team discovered a set of remains dating back to the Roman Empire.
(考古学調査チームは、ローマ帝国時代に遡る一揃いの遺骨を発見した。)
歴史的な発掘調査のニュースなどで頻繁に登場する、フォーマルで学術的な言い回しです。犯罪捜査だけでなく、歴史や考古学の文脈でもこの表現が活躍します。
The forensic scientists are analyzing a set of remains found in the forest to identify the victim.
(法医学者たちは身元を特定するため、森で発見された遺体を分析している。)
まさに今回のドラマのような犯罪捜査のシチュエーションで使われる表現です。警察発表や事件報道において、客観的な事実を正確に伝える際に用いられます。
Police confirmed that the set of remains belongs to the person who went missing last year.
(警察は、その遺体が昨年行方不明になった人物のものであると確認した。)
事件の進展を伝えるニュースでよく使われるフレーズです。the set of remainsと定冠詞(the)をつけることで、「発見されたその遺体」と特定のものを指し示すことができます。
BONES流・覚え方のコツ
ジェファソニアン研究所のラボの風景を頭に思い浮かべてみてください。
青白く光る透明な台の上に、回収された206個の骨のパーツが、まるで精密なパズルのように人体の形に美しく並べられていますよね。
バラバラの骨が揃って初めて一つの人体モデルとして機能するあの象徴的なビジュアルを、「一つのセット(a set)」という言葉と結びつけると、英語ならではの合理的な視点が自然と記憶に定着するはずです。
似た表現・関連表現
a pair of ~
(一対の〜、ペアの〜)
a set ofが3つ以上の構成要素からなる集まりを指すことが多いのに対し、a pair ofは靴(shoes)や眼鏡(glasses)、ハサミ(scissors)など、「2つ揃って初めて1つの機能を持つもの」に使われます。モノの数え方の基礎として一緒に覚えておきたい表現です。
a piece of ~
(一枚の〜、ひとつの〜)
情報(information)やアドバイス(advice)、家具(furniture)など、一定の形を持たない不可算名詞や、全体から切り取った一部を数える際に使われる単位です。物理的なものから抽象的な概念まで幅広く対応する便利な表現です。
a series of ~
(一連の〜、連続する〜)
a set ofが「同時に存在するひとまとまりのセット」を表すのに対し、a series ofは「時間的・空間的に連続して起こるもの」を表します。関連性のある複数の出来事が連なっている状態を伝えるのに適しています。
深掘り知識:なぜ「remains」には常に「s」がつくのか
今回登場した「remains」という単語ですが、なぜ「遺骨」や「遺体」を表すときに必ず複数形の「s」がつくのでしょうか。その理由は、この言葉の成り立ちと、英語圏の人々の徹底した物理的・視覚的な感覚にあります。
もともと「remain」という単語は「残る、とどまる」という状態を表す動詞です。そこから名詞として使われるようになり、「後に残されたもの」という意味を持つようになりました。
人間が亡くなり長い年月が経つと、肉体は自然へと還り、最終的に現場には様々な形状の骨が「複数」残されます。
頭蓋骨、肋骨、大腿骨など、形状の異なる多数のパーツがそこにあるという視覚的な事実を、英語は「remains(複数の残されたものたち)」として極めて忠実に言葉に反映させているのです。古代の遺跡や廃墟を「ruins」と複数形で呼ぶのと同じ感覚ですね。
日本語では「遺体」や「遺骨」という一つのまとまった概念として捉えますが、英語では目の前にある物質の「数」や「形状」をごまかさずに捉えます。
単語を一つ一つ暗記するのではなく、その背景にある「ネイティブは世界をどう見ているのか」という文化的な視点に触れると、英語学習はさらに面白くなります。
ドラマのセリフ一つから、英語の論理的な思考回路を垣間見ることができるのはとても魅力的ですね。
まとめ|英語特有の論理的な視点を身につけよう
今回は『BONES』のコミカルな冒頭のシーンから、専門用語でありながら英語の論理的な捉え方を学べる表現を紹介しました。
日常会話で頻繁に口にする言葉ではないかもしれませんが、モノの数え方や単語の成り立ちを知ることは、英語のニュースを読んだり聞いたりする際の大切な基礎力になります。
例文や関連表現と合わせて、少しずつ英語特有の感覚に慣れていってくださいね。次回の記事でも、知的好奇心をくすぐる生きた表現をお届けします。


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