海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
世間話が弾むのは楽しいことです。けれど、仕事の最中なら、その会話が全体の流れを止めてしまうこともあります。そんな場面で出番になるのが、機械の比喩を使った表現です。
「gum up the works」を、『モダンファミリー』シーズン8第20話の中盤、ジョーンに苦情を言うジェイの台詞から取り上げます。
「gum up the works」の意味とニュアンス
gum up the works
意味:(物事の流れ・進行を)妨げる、滞らせる
gum up the works は、余計な動きや手間のせいで、物事の流れや進行を妨げることを表す口語表現です。手続きの不備、新しい仕組み、誰かの長話や口出しなど、全体をうまく回らなくさせるものを主語にして使います。
gum は、ここでは動詞で、ねばつくものでふさぐことを表します。works は、時計や機械の内部にある仕掛けの意味で、gum up the works は、仕掛けにねばつくものが詰まって動かなくなる様子をそのまま言った形です。
動かなくなるのは機械そのものですが、実際に話題にされるのは、仕事の流れや段取りです。ドラマの your chattiness is gumming up the works here では、ジョーンのおしゃべりが主語で、ここの仕事の流れが、詰まらされる側になっています。
悪意がなくても使える点が、この表現の特徴です。わざと邪魔をしているのではなく、本人は普通に動いているだけなのに、結果として流れが悪くなる。そうした場面でも gum up the works と言えます。
gum up の後ろには、the works のほかに the system や the machine を置く形もあります。時制や進行形にも自由に変えられ、ドラマのように -ing 形にすると、「いまこの瞬間、流れを止めている」という現在進行の苦情になります。
【ここがポイント!】
- 「gum up the works」の核は、余計な動きや手間で流れが詰まり、進行が止まること
- works は機械の内部の仕掛けで、その動きが仕事や手続きの流れを表す
- 悪意の有無は問わず、-ing 形にすると「いま止まっている」という苦情になる
『モダンファミリー』S08E20のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
駐車場の仕事をしているジョーンが、ジェイにあいさつを返し、グロリアたちの近況を尋ねます。ジェイはそれに応じるより先に、ジョーンのおしゃべりに苦情を言います。二人のやり取りは、その苦情への言い返しへと進んでいきます。「gumming up the works」を含むのは、ジェイの苦情の部分です。
Joan: Hey, Jay. How’s Gloria, Manny, Joe, and Stella?
(ねえ、ジェイ。グロリアとマニーとジョーとステラは元気にしてる?)Jay: What, do you got index cards? Listen, your chattiness is gumming up the works here. You’re not here to socialize, so just get ‘em in, get ‘em out.
(なんだ、メモ用のカードでも持ってるのか? いいか、あんたのおしゃべりのせいで、ここの流れが滞ってるんだ。世間話をしに来てるわけじゃないだろう。さっさと入れて、さっさと出せ。)Joan: Are you asking me not to talk to people? ‘Cause that is what I do. And Phil don’t seem to have a problem with it.
(あたしに、人と話すなって言ってるの? それがあたしのやってることなのよ。それにフィルは、気にしてないみたいだけど。)Jay: No, but I do.
(あいつはな。だが俺は気にする。)Modern Family Season8 Episode20 (All Things Being Equal)
シーン解説と心理考察
ジョーンの How’s Gloria, Manny, Joe, and Stella? は、グロリアたちの名前を一つずつ挙げて近況を尋ねる、親しげな挨拶です。
ジェイは、What, do you got index cards? と短く問いかけたあとで、本題の苦情に入ります。Listen は「いいか」と注意を引く出だしで、your chattiness is gumming up the works here と続きます。chattiness は「おしゃべりなこと」という名詞で、ジョーンの話し好きを、流れを止める原因としてはっきり名指ししています。here は、いま二人がいる仕事の場を指しています。
続く You’re not here to socialize は、ここは世間話をする場ではない、という釘の刺し方です。just get ‘em in, get ‘em out は「さっさと入れて、さっさと出せ」という指示で、手早く回せという意味に近い言い方です。
ジョーンの Are you asking me not to talk to people? は、苦情の中身を確かめる聞き返しです。’Cause that is what I do と続けて、人と話すことが自分の仕事のやり方なのだと主張します。さらに、And Phil don’t seem to have a problem with it. と、フィルは気にしていないと付け加えます。
最後のジェイの No, but I do. は、フィルは気にしていないという点には同意しつつ、自分は気にするとはっきり線を引く、短くて強い返しです。
『モダンファミリー』流・覚え方のコツ
works は、時計や機械の中の歯車の仕掛けです。そこにガムのようなねばつくものがくっついて、歯車が回らなくなる場面が、この表現の土台です。順調に動いていた全体が、べったりと止まる感覚が「妨げる、滞らせる」です。
ジェイにとっての歯車は、ここでの仕事の流れです。ジェイから見れば、ジョーンのおしゃべりは、その歯車にねばつくものとしてくっついている。だから gumming up the works と言い切れるのです。
練習するなら、主語の位置に「流れを止めるもの」を置いて、Your questions are gumming up the works.、One mistake can gum up the works. と入れ替えます。主語が何であっても、後ろの gum up the works は変わりません。
例文で覚える「gum up the works」
仕事の手続き、日常の窓口、自分から身を引く場面。流れを止めるものと、止まる場所を変えた文を並べます。
One missing signature can gum up the works for the whole project.
(署名が1つ欠けるだけで、プロジェクト全体の流れが止まることがある。)
手続きの遅れを説明する場面です。for the whole project を足すと、止まる範囲の広さまで伝わります。
A: Why is the line so slow?
B: The new system is gumming up the works.
(A:どうして列がこんなに進まないの?)
(B:新しいシステムが流れを悪くしてるんだよ。)
窓口の混雑の理由を話す会話です。-ing 形にすると、いま止まっているという現在進行の指摘になります。
I don’t want to gum up the works, so I’ll step aside.
(流れの邪魔をしたくないから、脇によけるね。)
忙しい現場で身を引く場面です。I don’t want to を頭に付けると、自分が止める側にならないように気を配る言い方になります。
あわせて覚えたい関連表現
hold things up
((物事を)遅らせる、足止めする)
hold things up は、進行を遅らせることを中立的に言います。gum up the works は、仕掛けが詰まって流れが悪くなるイメージが強い言い方です。
get in the way
(邪魔になる)
get in the way は、人や物が行く手をふさぐ「邪魔」を言います。gum up the works は、全体の仕組みや流れがうまく回らなくなる点に重点があります。
throw a wrench in the works
((計画などを)台なしにする、決定的に妨害する)
throw a wrench in the works は、仕掛けに工具を放り込むように、決定的に止めてしまう強い言い方です。gum up the works は、じわじわ詰まらせる感覚です。
Note|「工場」ではない works。機械の仕掛けが仕事の流れを指すまで
英語を日本語にするとき、見慣れた単語の別の意味に引っぱられて、訳が外れることがあります。gum up the works の works も、その一つです。
works は、辞書では複数の意味を持つ語です。steelworks のように「工場」を表す使い方もあれば、時計の内部のように「機械の仕掛け」を表す使い方もあります。gum up the works の works は後者で、「ガムでふさがれる」という動詞とつながるのも、内部の細かな仕掛けのほうです。「工場をふさぐ」と訳すと、意味が外れてしまいます。
では、日本語では何と訳すか。works は、機械の仕掛けから転じて、仕事や手続きの全体の動きを指しています。そのため、「流れ」「進行」「段取り」といった語がよく合います。ドラマの your chattiness is gumming up the works here を「あんたのおしゃべりのせいで、ここの流れが滞ってるんだ」と訳したのも、works を「流れ」に置き換えた結果です。
ここで押さえておきたいのは、gum と works の両方が、比喩のまま日本語にはならないことです。「ガムで仕掛けをふさぐ」と直訳すると、場面が見えにくくなります。「流れを止める」「進行を妨げる」と、働きのほうで訳すと、ジェイの苦情の中身がそのまま伝わります。
まとめ|流れを詰まらせるものに、名前をつける
gum up the works は、余計な動きや手間で、物事の流れや進行を妨げることを表す口語表現です。主語に、流れを止めているものを置いて使います。
ジェイは、your chattiness is gumming up the works here と、ジョーンのおしゃべりを原因として名指ししました。ジョーンは自分の仕事のやり方だと言い返し、ジェイは「あいつはな。だが俺は気にする」と返しています。
仕事の現場で何かが滞っているときは、原因を主語に置けば、gum up the works の一文が出来上がります。ねばつく仕掛けの比喩が、事態を一言で言い当ててくれます。


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