「You be the wind in his back, not the spit in his face」に見る、相手を後押しする言い方と後ろ向きな言い方の対比|『モダンファミリー』S01E01で学ぶ英会話

『Modern Family』コラム: 「You be the wind in his back, not the spit in his face」に見る、相手を後押しする言い方と後ろ向きな言い方の対比|『モダンファミリー』S01E01で学ぶ英会話

海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。『モダンファミリー』シーズン1第1話では、マニーに厳しく当たってしまうジェイに、グロリアが自分の母の口癖だという言葉をかける場面が描かれます。今回はこの一言から、相手を後押しする言い方と後ろ向きにする言い方を対比させる英語表現を見ていきます。同じ言い回しが後半で別の相手にも言い換えられて使われる場面があり、一つの表現がどのように形を変えて受け継がれるかもあわせて確認していきます。

目次

「後押しする」と「妨げる」を風とつばで対比する言い方

マニーに厳しく当たるのは恥をかかせたくないからだと話すジェイに、グロリアは「あなたはもう彼の家族なのだから」と前置きして、こう言います。

Gloria: You be the wind in his back, not the spit in his face!
(あなたは彼の後ろから吹く風になりなさい、顔に吐きかけるつばじゃなくて!)

Jay: What?
(何だって?)

Gloria: Something my mom always says, it’s gorgeous in Spanish.
(うちの母がいつも言ってた言葉よ、スペイン語だときれいに聞こえるの。)

Modern Family Season1 Episode1 (Pilot)

wind in someone’s back は「背中から吹く追い風」、spit in someone’s face は「顔に吐きかけるつば」を指します。一方は後ろから押して進ませる存在、もう一方は正面から不快感をぶつけて進む気持ちをそぐ存在です。相手を励ますか、それとも妨げるかという正反対の関わり方を、風とつばという分かりやすい対比で言い切っているのがこの一言の面白さです。英語には似た発想で support someone や hold someone back のような表現もありますが、これらは動作の抽象度が高く、グロリアの一言のように具体的なイメージを喚起する力はやや弱まります。風やつばといった身体感覚に近い比喩を使うことで、抽象的な「応援する・妨げる」よりも一段強い印象を相手に残せるのがこの言い回しの特徴です。

日常会話では、次のようなやり取りにも応用できます。

  • A: I’m not sure I can pull this off.
    (これ、うまくやれる自信がないんだよね。)
  • B: Hey, I’m the wind in your back on this one.
    (大丈夫、こっちはあなたの後押しをする側だから。)

このように the wind in someone’s back は単独でも「後押しする存在」を表す名詞的な使い方ができ、ドラマの一文をそのまま応用できる場面は意外と多くあります。ジェイが What? と聞き返すのに対し、グロリアが it’s gorgeous in Spanish と続けるくだりからは、母語で聞いていた言葉を英語に置き換えて伝えるときの一呼吸も伝わってきます。相手にすぐ伝わらない言い回しをあえて使い、説明を添えて届けるという一連の流れも、この場面の見どころです。

同じ言い回しを言い換えて相手に贈る言い方

物語の終盤、家族が集まった場面で、ジェイは同じ言い回しを自分の言葉として言い換え、ミッチェルたちに向けます。

Jay: Anyway, I’m happy for you.
(とにかく、お前たちのことをうれしく思ってるよ。)

Jay: And you should know that I’m not here to spit in your face, I’m here to blow at your back.
(それと、知っておいてほしいんだが、俺はお前の顔につばを吐きに来たんじゃない、背中を押しに来たんだ。)

Jay: It’s supposed to sound better in Spanish.
(スペイン語で言うと、もっといい響きになるらしいんだけどな。)

Modern Family Season1 Episode1 (Pilot)

blow at your back は wind in someone’s back を動詞で言い換えた形で、「後ろから風を送る」というそのままの動作を表します。名詞の wind in your back と動詞の blow at your back はどちらも同じ場面を描写できますが、名詞形は「後押しという存在そのもの」を指すのに対し、動詞形は「今まさに後押しする」という行為に焦点が当たります。ジェイは spit in your face と blow at your back を同じ文の中で対比させ、グロリアから聞いた言い回しを自分なりの言葉に置き換えて使っています。

It’s supposed to sound better in [言語] は、決まり文句を引用した後に添えるクッション表現で、直訳の硬さを断りながら言葉を差し出す言い方として読み取れます。似た働きを持つ表現に it loses something in translation(訳すと何かが失われる)がありますが、こちらはニュアンスが伝わりにくいことへの言い訳寄りの言い方です。一方 it’s supposed to sound better in [言語] は、元の響きの良さを立てながら、あえて別の言語で伝える自分の言葉を差し出す前向きな言い方に近く、ジェイの一言にもその働きが表れています。

  • A: That saying always sounds off when I translate it.
    (その言い回し、訳すといつも変な感じになるんだよね。)
  • B: Yeah, I know what you mean, but I still like hearing it.
    (分かる、それでも聞くのは好きなんだけどね。)

このように、決まり文句を別の言語で伝えるときの一言としても幅広く使える表現です。

まとめ|受け継がれる一言の型

wind in someone’s back と spit in someone’s face の対比、そしてその言い換えである blow at your back。一つの言い回しが形を変えながら別の相手に贈られる様子から、相手を後押しする言い方と後ろ向きにする言い方の違いが見えてきます。決まり文句を別の言語からそのまま持ち込むときのクッション表現もあわせて押さえておくと、似た場面での言い回しの幅が広がります。

同じエピソードの他のコラムやフレーズ記事もあわせて読むと、場面全体の英語がより立体的に見えてきます。

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