海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
『モダンファミリー』シーズン2第15話では、リリーの誕生日パーティーにキャメロンが演じるピエロのフィズボを出すかどうかで、ミッチェルとキャメロンが言い合います。はっきり言い切らずに相手をチクリと刺す言い方と、その含みを問い返す言い方がそれぞれ出てくる場面です。
最後まで言わないことで伝わる英語の当てこすりと、遠回しな言い方を確かめる表現を、2つの場面から見ていきます。
「if the shoe fits」でことわざを途中で止める
ミッチェルは、パーティーの主役はリリーであるべきだとして、フィズボの出演に反対しています。さらにパーティーのテーマの話を持ち出したところで、キャメロンが反応します。
Cameron: You did not just say that.
(まさか、今それを言った?)Mitchell: I’m sorry.
(ごめん。)Mitchell: That was That was crossing a line.
(今のは……今のは一線を越えてた。)Cameron: Yes, it was.
(ええ、越えてたわよ。)Modern Family Season2 Episode15 (Princess Party)
You did not just say that. は、相手の発言が聞き捨てならないときに「今それを言った?」と詰め寄る言い方です。did not を短縮せずに言うことで、驚きと抗議の響きが強まります。ミッチェルの crossing a line は「越えてはいけない一線を越える」という意味で、自分の言いすぎを認める場面で使われています。
言い合いはこのあと、キャメロンが改めてフィズボの出演を頼む形で続きます。
Cameron: So, can Fizbo come to the party?
(で、フィズボはパーティーに行っていいの?)Mitchell: No, no.
(だめ、だめ。)Mitchell: You are Lily’s dad.
(君はリリーのパパなんだよ。)Mitchell: Just be there as her dad.
(ただパパとしてそこにいてくれればいい。)Cameron: Are you implying I’m not being a good dad now?
(それって、今の僕はいいパパじゃないって言いたいわけ?)Mitchell: Well, if the shoe fits
(まあ、その靴が合うなら……)Cameron: They don’t.
(合わないよ。)Cameron: They’re comically large.
(笑っちゃうくらい大きいからね。)Modern Family Season2 Episode15 (Princess Party)
Are you implying ~? は「〜と言いたいの?」と、相手の言葉の裏にある含みを問いただすときの定番です。これに対するミッチェルの返事が、If the shoe fits, wear it.(その靴が合うなら履けばいい)ということわざの前半です。「思い当たるなら、それはあなたのこと」という意味になり、後半を言わずに止めることで、はっきり言うより柔らかく、それでいて皮肉の効いた当てこすりになります。
英語には、When in Rome のように前半だけで全体が伝わることわざがほかにもあり、会話では後半を省く使い方がよく見られます。
面白いのは、キャメロンが They don’t. と靴そのものの話として受け、「大きすぎて合わない」と返している点です。ことわざの比喩を文字どおりに受け取ってかわす、言葉遊びの切り返しになっています。
- A: Are you saying I talk too much?
(私がしゃべりすぎだって言いたいの?) - B: Well, if the shoe fits…
(まあ、思い当たるなら……)
「Is that a roundabout way of saying ~?」で含みを確かめる
パーティーの終盤、盛り上げ役が必要だと話すミッチェルに、キャメロンは音楽やカップケーキを用意すると申し出ます。そこでミッチェルが一語だけ口にし、キャメロンが問い返します。
Mitchell: Or
(それか……)Cameron: Is that a roundabout way of saying a certain clown can come to the party?
(それって、とあるピエロがパーティーに来てもいいって、遠回しに言ってるの?)Mitchell: I was wrong.
(僕が間違ってた。)Mitchell: Every kid wants a clown for a dad.
(子どもはみんな、ピエロのパパが欲しいものなんだ。)Modern Family Season2 Episode15 (Princess Party)
ミッチェルの Or は、それだけで「別の案もある」とほのめかす一語です。Is that a roundabout way of saying ~? は「それは〜と遠回しに言っているの?」と、相手の含みを言葉にして確かめる言い方です。roundabout は「回り道の」「遠回しの」という意味の形容詞で、直接言わない相手に対して使われます。似た問い返しの What are you trying to say?(何が言いたいの?)と比べると、相手の意図をこちらで言い当てたうえで確かめる形になっている点が違います。
キャメロンが自分のことを a certain clown(とあるピエロ)と呼んでいる点も見どころです。a certain ~ は「ある〜」と名前をあえて伏せる言い方で、誰のことか分かっている相手にはおどけた響きになります。ミッチェルは I was wrong. と、前半の反対をはっきり撤回しています。
前半の if the shoe fits が言い切らない当てこすりだったのに対し、後半は言い切らない相手の意図を言葉にして確かめる流れです。同じ「はっきり言わない」やり取りでも、使う側と問い返す側で英語の形が変わることが分かります。
- A: Maybe we could leave a little earlier tonight.
(今夜はちょっと早めに出てもいいかもね。) - B: Is that a roundabout way of saying you’re bored?
(それって、退屈だって遠回しに言ってるの?)
まとめ|言い切らない英語と、それを問い返す英語
if the shoe fits のようにことわざを途中で止める当てこすりと、Are you implying ~? や Is that a roundabout way of saying ~? で含みを確かめる言い方。はっきり言わない会話の両側に、それぞれ決まった英語の形があることが見えてきます。
ミッチェルとキャメロンの言い合いを観返すと、言い切らない英語の響きがいっそう楽しめます。
パーティーのほかの場面の英語は、同じエピソードの別コラムやフレーズ記事で扱っています。


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