海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
『モダンファミリー』シーズン10第7話では、フィルが高校時代の思い出話をきっかけに、自分は人を信じやすすぎるのではないかと思い悩みます。そこへ、捨てられていた帽子の件まで重なります。
英語には「だまされやすい人」を表す言葉がいくつもあり、それぞれ少しずつ顔つきが違います。フィルが次々に並べる言葉と、それを受け止めるクレアとアレックスの言葉を順に見ていきます。
「sucker」「patsy」「mark」で自分を責める
アレックスの家族面談で、フィルは高校のときにソ連へ行った思い出を語りました。体操チームの交流で知り合った友人に頼まれ、帰国後に空港や発電所、駅などの写真を送ったという話です。面談のあと、アレックスは、父親がロシアのスパイだったと分かればこれで政府の仕事は確実だ、と皮肉を言い、フィルは自分が unwitting(知らないうちに〜している)スパイだったのかと考え込みます。やがてフィルは、自分をこう言い表します。
Phil: No, worse, I’m a I’m a patsy, a mark, a full-on sucker!
(いや、もっとひどい。俺は、俺は、いいように使われる役で、カモで、正真正銘のお人よしなんだ!)
Modern Family Season10 Episode7 (Did the Chicken Cross the Road?)
3つの語はどれも「だまされる側」を指しますが、焦点が少しずつ違います。
| 語 | 主な意味 | ニュアンス |
|---|---|---|
| sucker | だまされやすい人、カモ | 最も日常的。「だまされた!」と自分に言うときにも使う |
| patsy | 利用される人、身代わり | 都合よく使われたり、罪をかぶせられたりする側 |
| mark | (詐欺の)標的 | だます側から見た「狙う相手」 |
full-on は「完全な、まぎれもない」と程度を強める口語で、a full-on sucker で「どこから見てもお人よし」という自嘲になります。sucker には「〜に弱い人」の意味もあり、I’m a sucker for sweets.(甘いものに目がない)のように、だまされる話とは別の軽い言い方が成り立ちます。フィルの場合は、だます側から見た言葉の mark まで持ち出していて、自分を「狙われる側」に置いて責めていることが分かります。
「dupe ~ into believing」と「rube, pigeon, greenhorn」
面談の前、フィルは帽子のコレクションを玄関のクローゼットから片付けられていました。クレアは寄付先も喜んでいたと説明していましたが、その帽子が通りの向かいのごみの中から見つかります。自分の帽子だと気づいたフィルは、クレアにこう言います。
Phil: You duped me into believing we were donating them to ISSBA, and you were just gonna throw them in the trash.
(ISSBAに寄付するって俺に信じ込ませて、本当はごみに捨てるつもりだったんだな。)
Phil: But this doesn’t just hurt me, Claire.
(でも、これで傷つくのは俺だけじゃないんだよ、クレア。)
Modern Family Season10 Episode7 (Did the Chicken Cross the Road?)
dupe は名詞なら「だまされた人」、動詞なら「だます」です。dupe A into ~ing で「A をだまして〜させる」となり、ここでは into believing ~ で「〜だと信じ込ませる」形になっています。同じ型で trick A into ~ing とも言えます。
フィルはクレアに向かって、さらに言葉を重ねます。
Phil: Save it, Claire.
(言い訳はいいよ、クレア。)
Phil: You think of me what everyone thinks of me.
(君も、みんなと同じ目で俺を見てるんだ。)
Phil: I’m a rube, a pigeon, a greenhorn.
(俺は世間知らずで、カモで、青二才なんだよ。)
Modern Family Season10 Episode7 (Did the Chicken Cross the Road?)
Save it. は「(言い訳や謝罪は)取っておいて=聞きたくない」という突き放しの一言です。
並べられた3語は、だまされやすさの理由がそれぞれ違います。rube は「田舎者、世間知らず」で、都会のやり方に疎いからだまされるという響きがあります。pigeon は「カモ」の古い俗語です。タイトルの greenhorn は「新米、未熟者」で、sucker が性格としてのだまされやすさを言うのに対し、経験が足りないことに重心があります。職場の新人を He’s still a greenhorn. と言うように、だます話でなくても使えます。
「too hard on yourself」と「a believer」
後になって、クレアは帽子の件でうそをついたことを謝ります。そのうえで話が自分の性分に及ぶと、フィルとクレアはこう言葉を交わします。
Phil: That’s not what this is about.
(そういう話じゃないんだ。)
Phil: This is about me blindly believing whatever anybody tells me.
(これは、誰に何を言われてもうのみにしちゃう、俺の問題なんだよ。)
Claire: You’re being too hard on yourself.
(自分に厳しすぎるのよ。)
Claire: You want to see the best in people.
(あなたは人のいいところを見ようとするの。)
Claire: It doesn’t mean you’re gonna believe just anything.
(だからって、何でも信じちゃうってわけじゃないでしょ。)
Modern Family Season10 Episode7 (Did the Chicken Cross the Road?)
blindly は「やみくもに」で、believe whatever anybody tells me と合わせると「誰の話でもうのみにする」になります。クレアの You’re being too hard on yourself. は、自分を責める相手にかける励ましの言い方です。進行形の being が「今は」というニュアンスを添え、普段はそうではないという含みを持たせています。see the best in people は「人のいい面を見る」で、だまされやすさを長所の側から言い直す働きをしています。
この回の終わり近く、アレックスの採用が決まったと分かると、フィルはこう祝福します。
Phil: Alex, that’s amazing.
(アレックス、すごいじゃないか。)
Phil: I knew you could do it.
(お前ならできるって分かってたよ。)
Alex: You say that about everything.
(パパは何にでもそう言うじゃない。)
Phil: Well, I know, but
(まあ、そうなんだけど)
Alex: No, thank you.
(ううん、ありがとう。)
Alex: Riding a bike, my first cello concert, freshman chemistry, this job every time I was sure I couldn’t do something, you convinced me I could.
(自転車も、初めてのチェロの演奏会も、1年生の化学も、この仕事も。自分には無理だと思うたびに、パパはできるって思わせてくれた。)
Alex: It’s nice to have a believer in the house.
(信じてくれる人が家にいるって、いいものね。)
Modern Family Season10 Episode7 (Did the Chicken Cross the Road?)
believer は「信じる人」で、a believer in ~ の形なら「〜を信じている人」になります。ここでは「自分を信じてくれる人」という肯定的な意味で使われています。No, thank you. は断りではなく、「ううん、(そうじゃなくて)ありがとう」と言い直す使い方です。
まとめ|だまされやすさを表す英語
sucker・patsy・mark、rube・pigeon・greenhorn の違いと、dupe ~ into believing を見てきました。励ましの too hard on yourself、see the best in people、a believer も合わせると、同じ性分を責める言葉と認める言葉の両方がそろいます。
人を信じるフィルの姿を観ながら、『モダンファミリー』の英語をこれからも楽しんでいきましょう。
同じ回のほかのコラムでは、面接官の前で家族をよく見せたい場面や、本音を言い出せない2人の英語も取り上げています。


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