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『モダンファミリー』シーズン10第21話では、高校の副校長を務めるキャメロンが、卒業式の当日になって思いがけず式全体を取り仕切る立場に回ります。ふだんは校長の後ろに控える役目だけに、張り切りぶりも相当です。
予定になかった大役が回ってきたとき、英語ではどう言い表すのでしょうか。役回りの変化を語る言い方、壇上で卒業生に呼びかける言い方、思わぬ事態を振り返る言い方を、キャメロンの台詞から順に見ていきます。
「ceremonial position」で名ばかりの役回りを嘆く
卒業式の1時間前、キャメロンはミッチェルに副校長という立場への不満をこぼします。
Cameron: It’s so humiliating being the Vice Principal at these things.
(こういう場で副校長でいるのって、本当に屈辱的なんだよ。)
Cameron: It’s just a ceremonial position where you have to sit behind Principal Brown, politely clapping while he gets to set the course of history.
(ただのお飾りの役職さ。ブラウン校長の後ろに座って、校長が歴史の針路を決めていくあいだ、行儀よく拍手してなきゃならない。)
Modern Family Season10 Episode21 (Commencement)
ceremonial position は「儀礼的な役職、名目だけの地位」を指し、実際の決定権がない立場をやや自嘲ぎみに表せます。似た言葉に figurehead(お飾りの代表)があり、肩書きはあっても実権のない人を指します。
sit behind ~ は文字どおり「〜の後ろに座る」ですが、ここでは脇役に回る立場をそのまま絵にした言い方です。set the course of history は「歴史の流れを決める」という大げさな表現で、校長の役目をそこまで持ち上げるところに、キャメロンらしい芝居がかった口調が伝わってきます。
このあとキャメロンに電話がかかり、I have to take this.(この電話に出なきゃ)と断って応じます。相手は教育長で、To what do I owe this honor?(どういったご用件でしょう)という改まった受け答えから、校長が事故で来られなくなったという知らせへと話が進みます。
「preside over」で式を取り仕切り、壇上から呼びかける
知らせを受けたキャメロンは、こう続けます。
Cameron: W-Which means, as next in the line of succession, I get to preside over today’s graduation.
(つ、つまり、継承順位で次にあたる僕が、今日の卒業式を取り仕切るってことだ。)
Cameron: You know, this is why senior administration officials never travel together.
(だからさ、幹部の管理職は決して一緒に移動しないんだよ。)
Modern Family Season10 Episode21 (Commencement)
line of succession は本来、王位や政府の要職を継ぐ順番を指す言葉で、next in line だけでも「次の番の人」として日常的に使われます。preside over ~ は「(式や会議を)主宰する、取り仕切る」というかしこまった動詞です。名ばかりの役職から一転、主宰する側に回った高揚が、言葉の格の上がり方に表れていると言えます。
日常会話なら I’m next in line.(次は自分の番だ)や She presided over the meeting.(彼女が会議の議長を務めた)のように使えます。続く台詞の senior administration officials は「幹部職員」を指し、幹部は一緒に移動しないという慣行になぞらえた冗談です。
式が始まると、キャメロンは壇上で卒業生に語りかけます。
Cameron: and so, graduates, look to your left and to your right.
(というわけで卒業生のみんな、左を見て、右を見てごらん。)
Cameron: It’s a simple key chain with a tiny cowboy hat charm on it.
(小さなカウボーイハットの飾りが付いた、シンプルなキーホルダーなんだ。)
Cameron: If you see it, please pass it forward.
(見つけたら、前に回してくれるかな。)
Modern Family Season10 Episode21 (Commencement)
look to your left and to your right は、式典のスピーチで聴衆に隣の人を意識させるときに使われることがある呼びかけです。ここでは厳かな前置きのように始まりながら、ごく事務的な案内に続きます。pass it forward は「(後ろから)前へ回す」で、プリントや落とし物を順に送ってもらうときに使えます。教室なら Please pass these forward.(これを前に回してください)のように、配布物を集めるときにもよく聞かれる言い方です。
「Disaster had struck.」から「proceed to the stage」まで
ジェイの祝辞が始まると、学生たちがはやし立てます。その直後について、キャメロンはこう語ります。
Cameron: Disaster had struck.
(大惨事が起きていた。)
Cameron: But did I panic? No.
(でも、僕はうろたえたか? いいや。)
Cameron: No one chooses to be a wartime principal.
(戦時の校長になることを、自ら選ぶ者はいない。)
Cameron: But we’re the ones history remembers.
(だが、歴史が記憶するのは僕らなんだ。)
Modern Family Season10 Episode21 (Commencement)
strike は「(災難が)襲う」の意味で、Disaster struck. の形で突然の出来事を語るときに使われます。ここでは過去完了の had struck にして、物語の語り口のような重みを持たせた形です。But did I panic? No. は自分に問いかけて自分で答える形で、落ち着いて対処したことを強調する言い回しです。wartime principal は、非常時の国の指導者になぞらえて自分を語る大げさな言い方と言えます。
式の終盤、卒業証書を渡す段になると、キャメロンは名前の読み上げに入る前にこう案内します。
Cameron: Students, hi! When you hear your name, please proceed to the stage and grab your diploma.
(生徒のみんな、どうも! 名前を呼ばれたらステージに進んで、卒業証書を受け取ってね。)
Modern Family Season10 Episode21 (Commencement)
proceed to ~ は「〜へ進む」の改まった言い方で、空港や式典のアナウンスでも耳にする動詞です。同じ台詞の中に grab(さっと取る)というくだけた動詞も入っていて、正式な案内と親しみやすさが混ざった進行役の口ぶりが読み取れます。
I’m in charge now. や I’ll take it from here. も、代わりに引き受けたことを伝えるときに便利な表現です。キャメロンの台詞と合わせて覚えておくと、急な代役を頼まれた場面で使い分けがしやすくなります。
まとめ|代役を引き受けて式を進める英語
ceremonial position から preside over への言葉の変化、壇上の look to your left and to your right、Disaster had struck. という振り返りまで、急な大役を任された人の英語を追ってきました。
キャメロンの張り切りぶりを思い浮かべながら、『モダンファミリー』の卒業式の場面をもう一度観てみるのも楽しみ方のひとつです。
同じ回のほかのコラムでは、卒業を前に迷うアレックスへの言葉や、卒業式の祝辞の文化も取り上げています。


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