海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
『フレンズ』シーズン1第7話は、停電でろうそくを灯した部屋が舞台です。レイチェルへの気持ちを打ち明けられずにいるロスに、ソファにいたジョーイが、遠慮のない言葉ではっきりと助言します。
恋愛の英語には、気持ちを「行動に移す」言い方と、具体的に「誘う」言い方があります。ソファでの二人のやりとりと、バルコニーでのロスの切り出し方から、その違いと使い分けを順に見ていきます。
「make your move」で、動くのが遅すぎたと指摘する
レイチェルが席を立ったあと、ソファにいたジョーイがロスに声をかけます。
Joey: It’s never going to happen.
(絶対うまくいかないぜ。)
Ross: What?
(何が?)
Joey: You and Rachel.
(お前とレイチェルだよ。)
Ross: Why not?
(なんで?)
Joey: Because you waited too long to make your move and now you’re in “the friend zone.”
(動くのを待ちすぎたからさ。で、今のお前は「友達ゾーン」に入ってる。)
Ross: No, no, no, I’m not in the zone.
(いやいや、ゾーンになんか入ってない。)
Joey: No. Ross, you’re mayor of the zone.
(いいや。ロス、お前はゾーンの市長だよ。)
Friends Season1 Episode7(The One with the Blackout)
It’s never going to happen. は「それは絶対に起こらない」と見込みのなさを言い切る形です。ジョーイは主語を伏せて切り出し、ロスが聞き返したあとで「お前とレイチェル」と中身を明かします。いきなり結論を突きつけ、相手の関心を引いてから説明に入る順序です。
make one’s move は「行動を起こす」「仕掛ける」という意味で、恋愛の場面では好きな相手に自分から近づくことを指します。ゲームや交渉の場面でも使われることがあり、何をするかまでは言っていない点が特徴です。ここでは waited too long to ~(〜するのを待ちすぎた)と組み合わさり、タイミングを逃したという指摘になります。
the friend zone は、相手から恋愛の対象ではなく友達として見られている状態を指す口語です。ロスが否定すると、ジョーイは mayor of the zone(ゾーンの市長)と言い返します。中にいるどころか代表者だ、という誇張のからかいで、否定を逆手に取る返しとして読み取れます。相手の否定に乗って話をさらに大きくする、軽い突っ込み方の一つです。
「If you don’t ask her out soon」で、具体的な一歩を促す
ロスは I’m taking my time(焦らずに進めている)と返しますが、ジョーイは引き下がりません。
Joey: Ross, I’m telling you, she has no idea what you’re thinking.
(ロス、マジで言うけど、あいつはお前が何考えてるか全然わかってないぜ。)
Joey: If you don’t ask her out soon you’ll end up stuck in the zone forever.
(早いとこデートに誘わないと、ずっとゾーンから出られなくなるぞ。)
Ross: I will, I will. I’m just… see, I’m waiting for the, uh… the right moment.
(誘うよ、誘うってば。俺はただ……ほら、待ってるんだよ、その……ちょうどいいタイミングを。)
Friends Season1 Episode7(The One with the Blackout)
ask someone out は「(人を)デートに誘う」という具体的な行為を表す句動詞です。make one’s move が「動く」という大まかな言い方なのに対し、ask out は何をするかがはっきりしています。ジョーイの助言は、最初の指摘から一段進めて、するべきことを名指しした形と言えます。
end up ~ は「最後には〜になってしまう」という結果を表し、stuck は「抜け出せない」状態です。If you don’t ~ soon と組み合わせると、「早く動かないとこうなる」という警告の型になります。I’m telling you は「本当だって」と念を押す前置きです。
ロスの I’m waiting for the right moment. は「ちょうどいい時を待っている」と、先延ばしの理由を述べる言い方です。言葉の途中に I’m just… や uh… が挟まるため、すぐには動けずにいる様子が言い回しからも分かります。このあとジョーイは、ワインやろうそく、月明かりを挙げて、今がその時だと促します。
「it’s not so much a question」で、切り出しの前置きを置く
その後ロスは、ジョーイに Okay, here goes.(よし、行くぞ)と告げてバルコニーへ向かい、レイチェルに話しかけます。
Ross: Well, actually, it’s not so much a question
(いや、実を言うと、質問っていうほどのものじゃなくて)
Ross: as more of a general wondering… ment.
(どちらかといえば、漠然とした「疑問……的なもの」なんだ。)
Friends Season1 Episode7(The One with the Blackout)
it’s not so much A as B は「AというよりむしろB」と、言葉を選び直すときの形です。ロスは「質問がある」と言いかけたあと、それを言い換えようとして wondering に ment を付け足し、言葉を作ってしまいます。本題に入る前に前置きを重ねる言い方の例として読めます。会話では I wouldn’t call it a problem so much as a concern.(問題というより、気がかりなこと)のように、言い方を和らげたいときにも使えます。
Ross: Uh, here goes.
(えっと、じゃあ言うよ。)
Ross: Um, well, for a while now, I’ve been wanting to, um…
(その、実はしばらく前から、ずっと……したいと思ってて……)
Friends Season1 Episode7(The One with the Blackout)
here goes は「いよいよやるぞ」と自分を奮い立たせる一言です。for a while now, I’ve been wanting to ~ は現在完了進行形で、「しばらく前からずっと〜したいと思っていた」と気持ちが続いてきたことを伝えます。打ち明け話の書き出しとしても使える形です。ただ、ここでレイチェルが子猫に気づき、話は途切れます。
まとめ|動くのか、待つのか
make your move は行動に移すこと全般、ask her out はデートに誘う具体的な一歩を表し、the right moment を待つ言い方や it’s not so much A as B の前置きと組み合わせて、ためらいと決意の両方が語られていました。
停電の夜のやりとりを観ながら、二人の会話の間合いを英語で追ってみると、場面の面白さがいっそう伝わります。
同じ夜の別の会話は、この回のほかのコラムやフレーズ記事で英語から読み解けます。


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