海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
今回扱うのは、『CHUCK』シーズン4 第2話に登場する、自分たちの立場の強さを確認してから交渉条件を切り出す言い方です。逃亡生活を送るジェフとレスターの隠れ家を、モーガンとケイシーが訪ね、バイ・モアへの復職を持ちかける場面が描かれています。
相手を落ち着かせてから本題を切り出す言い方、疑いを先回りして安心させる言い方、そして立場の強さを見極めて条件を要求する言い方まで、順番に見ていきます。
相手を落ち着かせてから本題を切り出し、疑念を先回りして安心させる言い方
警戒するジェフとレスターに向かって、モーガンはまず落ち着かせる一言から本題を切り出します。
Morgan: Cut it out. Listen to me. We just came here to give you your jobs back.
(よせ。聞いてくれ。俺たちはただ、お前らの仕事を返しに来ただけなんだ。)Lester: What job?
(何の仕事だ?)Morgan: Your old jobs. Buy More’s been rebuilt. Nobody thinks that you burned it down.
(お前らの元の仕事だよ。バイ・モアは再建されたんだ。誰もお前らが放火したなんて思っちゃいない。)CHUCK Season4 Episode2 (Chuck Versus the Suitcase)
Cut it out は「よせ」「やめろ」と相手の行動を短く止める言い方で、Listen to me と重ねることで、まず話を聞く態勢を作ってから本題に入っています。続く We just came here to give you your jobs back の just は、大げさな用件ではないと伝える働きをしており、警戒を解こうとする配慮がうかがえます。
Your old jobs という言い換えと Nobody thinks that you burned it down という一言は、レスターの What job? という不審げな問いに答えながら、相手が抱いていそうな疑いをあらかじめ打ち消す言い方です。疑われている理由を説明する前に、まず疑いそのものを否定しておくところに、モーガンなりの気配りがうかがえます。
自分たちの立場の強さを見極めてから、具体的な条件を要求する言い方
労力をかけて訪ねてきた理由を疑うレスターに対し、ジェフの一言をきっかけに、二人は自分たちの立場の強さに気づき始めます。
Lester: You came all this way… just to offer us our jobs back?
(わざわざこんな所まで来て…俺たちに仕事を返すって申し出るためだけに?)Morgan: You’re seven minutes from Burbank.
(バーバンクから7分の距離だろ。)Jeff: We have leverage.
(俺たちには交渉材料がある。)Lester: It’s time to negotiate. All right, if we take our jobs back… we want a raise… and perks.
(交渉の時間だ。いいだろう、仕事を引き受けるなら…昇給を…それから福利厚生もだ。)CHUCK Season4 Episode2 (Chuck Versus the Suitcase)
You came all this way と大げさに労力を強調するレスターの疑いに対し、モーガンは You’re seven minutes from Burbank と、事実をそのまま淡々と返して大げささを打ち消します。自分たちが必要とされている側だと先に気づいたのはレスターで、ジェフはそれを We have leverage と一語で言い当てます。leverage は「てこ」を語源に持つ、交渉における有利な材料・立場を指す語です。
その気づきを受けてレスターが放つ It’s time to negotiate は、交渉の開始を短く言い切る宣言です。続く if we take our jobs back… we want a raise… and perks は、… で言葉を区切りながら条件を一つずつ並べる構成になっており、間を置くことで一つひとつの要求に重みを持たせています。求められている立場を逆手に取り、具体的な条件を落ち着いて並べていくところに、レスターらしい抜け目のなさが表れています。
まとめ|立場の強さを見極めてから交渉条件を切り出す言い方
相手を落ち着かせてから本題に入る言い方、疑いを先回りして安心させる言い方、そして立場の強さに気づいてから条件を切り出す言い方まで見てきました。negotiateやleverageといった語彙が、日常の交渉の場面でも役立つことが伝わってきます。
次回も『CHUCK』の会話とともに、英語表現の型を見ていきましょう。
同じエピソードの他のコラムやフレーズ記事もあわせて読むと、場面全体の英語がより立体的に見えてきます。
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