海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
『フレンズ』シーズン3第15話では、フィービーが外交官のセルゲイとデートをします。フィービーの話では、セルゲイは英語を話さず、二人の会話は、セルゲイの通訳を務めるミーシャを介して進みます。
人の言葉を伝える側と、伝えてほしいと頼む側では、使う英語の形が変わります。通訳の「He says」と、フィービーの「Tell him」を、3つの場面から順に見ていきます。
「Don’t tell him I said that」通訳を挟んだ最初の会話
通りを歩く3人の場面で、ミーシャはセルゲイの言葉をフィービーに伝えます。
Mischa: He says that walking with you makes this strange city feel like home.
(あなたと歩いていると、この見知らぬ街がわが家のように感じられると彼は言っています。)
Phoebe: Oh. Me, too… although this city is my home, so… So that’s dumb, what I said. Don’t tell him I said that. Just, you make something up.
(あら。私も……って、この街は私の地元なんだけど……。だから今のはおかしいね、私の言ったこと。私がそう言ったって彼には伝えないで。何か適当に作っておいて。)
Friends Season3 Episode15(The One Where Ross and Rachel Take a Break)
通訳は、本人の言葉を He says that ~ という形で伝えます。主語は話した本人を指す he で、that の後ろに言葉の中身が続きます。過去の出来事として振り返るなら said ですが、目の前で話された言葉をその場で伝えるときは現在形の says も使われます。
フィービーは「私も」と返したあとで、自分が住んでいる街の話だと言い直します。そこで出てくるのが Don’t tell him I said that. です。I said that は「私がそう言ったこと」で、tell him の目的語になっています。続く make something up は「何か作り上げる」で、ここでは訳さずに別の言葉を考えてほしいという頼みです。
命令文の前に you を置くと、「あなたが」と頼む相手をはっきりさせる響きになります。通訳に向かって「彼には伝えないで、あなたが考えて」と、言葉の行き先を分けている点がこの場面の英語の特徴です。
家の前に着くと、ミーシャはもう一度セルゲイの言葉を伝えます。
Mischa: “Your eyes are very pretty.”
(「あなたの目はとてもきれいだ」)
Phoebe: Thank you. Very much.
(ありがとう。本当に。)
Phoebe: Oh, thank you.
(まあ、ありがとう。)
Friends Season3 Episode15(The One Where Ross and Rachel Take a Break)
今度のミーシャは he says を付けず、本人の言葉をそのまま差し出しています。フィービーは最初のお礼をミーシャに、次のお礼をセルゲイに向けて言います。お礼を向ける相手が、通訳と本人の二通りに分かれています。
「Could you also please tell Sergei that…」伝えてほしいことを頼む
レストランでは、モニカも加わって4人で食事をしています。ミーシャがモニカに話しかけたところで、フィービーがミーシャに声をかけます。
Phoebe: Okay, hey, before you get all talky again could you also please tell Sergei that… I really like his suit.
(ねえ、ちょっと、またおしゃべりに夢中になる前に、セルゲイにこう伝えてもらえる?……彼のスーツ、すごく素敵だって。)
Mischa: Uh, he said thank you very much. He thinks you look very pretty tonight. Your hair golden like the sun.
(えー、どうもありがとう、とのことです。今夜のあなたはとてもきれいだと彼は思っています。髪は太陽のように金色だと。)
Friends Season3 Episode15(The One Where Ross and Rachel Take a Break)
Could you tell 人 that ~? は「〜に…と伝えてもらえますか」と伝言を頼む形です。フィービーは also と please を添えて、それまでにも伝言を頼んでいたことを示しつつ、ていねいに頼んでいます。get all talky の get all ~ は「すっかり〜になる」という口語の言い方で、talky は「おしゃべりな」です。
ミーシャの返事は he said で始まり、He thinks ~ が続きます。言ったこととして伝える said と、本人の気持ちとして伝える thinks が並んでいます。頼む側は tell、伝える側は say と think と、同じやりとりの中で動詞が入れ替わります。
フィービーの文は tell Sergei that… のところでいったん区切られ、そのあとに伝えたい中身の I really like his suit. が続きます。伝言を頼むときは、まず「〜に伝えて」と言ってから中身を言う、という順番で組み立てると、文が作りやすくなります。中身の文の主語は I のままで、「私が気に入っている」とフィービー自身の言葉として渡しています。
「Tell him apology accepted」謝罪の伝言に短く返す
食事のあと、ミーシャはフィービーに、セルゲイの言葉としてこう伝えます。
Mischa: Sergei would like to apologize for my behavior tonight.
(セルゲイが、今夜の私のふるまいについてお詫びしたいそうです。)
Phoebe: Well, tell him apology accepted.
(じゃあ、謝罪は受け入れたって伝えて。)
Friends Season3 Episode15(The One Where Ross and Rachel Take a Break)
Sergei would like to ~ は、本人の希望を伝える言い方です。would like to は want to よりていねいな形で、伝言として相手に届けるときにも使われます。my behavior の my は話しているミーシャ自身を指すので、セルゲイが通訳のふるまいについて詫びる形になっています。
フィービーの返事は Tell him ~ の命令形です。Could you ~? のように疑問文で頼む形もあれば、このように短く「伝えて」と言う形もあります。Apology accepted. は「謝罪を受け入れます」という意味で、謝られたときに返す言い方として使われることの多い表現です。主語も動詞の be も省いた形で、そのまま一言で返せます。ここでは tell him のあとに続けて、伝言として通訳に託しています。
まとめ|伝える側と頼む側で変わる英語
通訳が使う He says や he said、He thinks、would like to と、頼む側が使う Could you tell him that、Tell him、Don’t tell him を見てきました。誰の言葉を誰に届けるのかを意識すると、伝言の英語が整理しやすくなります。
フィービーと通訳のやりとりを観ていると、言葉を人に託すときの英語の形が見えてきます。
この回のほかの場面の英語は、同じエピソードのほかのコラムやフレーズ記事で扱っています。


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