海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
今回は『BONES』シーズン7第5話から、刑事・法廷ドラマに登場する表現「lawyer up」を解説します。サスペンスをよく観る方なら「なんとなく聞いたことある」という方も多いかもしれません。その意味と、名詞が動詞になる英語ならではの面白さを一緒に見ていきましょう。
実際にそのシーンを見てみよう!
事件が解決した夜のシーンです。自宅でくつろぐブレナンが、帰宅したブースに取り調べの様子を尋ねます。
Brennan: How did it go?
(どうだった?)Booth: You know what? He didn’t even lawyer up. I tell you, Bones, I think that he was actually glad he got caught.
(あのな、彼は弁護士を呼びさえしなかったよ。ボーンズ、彼は捕まって実はホッとしてるんじゃないかな。)Brennan: It’s too bad he won’t be able to make his movie.
(彼が映画を作れなくなったのは残念だわ。)Booth: I would have liked to have seen that.
(俺も見てみたかったよ。)BONES Season7 Episode5(The Twist in the Twister)
シーン解説と心理考察
恋人の浮気を知って逆上し、殺人を犯してしまった映像作家のウェス。しかし逮捕された彼は黙秘権を行使することもなく、あっさりと罪を認めました。
数々の凶悪犯を取り調べてきたブースにとって、容疑者が「弁護士を呼ぶ(lawyer up)」ことなく自供するのは少し意外だったようです。同時に、竜巻という大自然の脅威を前にした無力感やウェス自身の罪悪感を汲み取って「捕まってホッとしているんじゃないかな」と語るブース。「It’s too bad he won’t be able to make his movie.」「I would have liked to have seen that.」——犯人のはずのウェスが撮るはずだった映画をふたりが惜しむ静かな会話は、この事件の切ない余韻を物語っています。
「lawyer up」の意味とニュアンス
lawyer up
意味:黙秘して弁護士を呼ぶ、弁護士をつけて徹底抗戦の構えをとる
「lawyer」はご存知の通り「弁護士」という名詞ですが、ここでは動詞として使われています。「完全に〜する」「武装する」というニュアンスを持つ「up」がくっつくことで、「弁護士を呼び出して法的に武装する」というイディオムになります。
刑事ドラマで容疑者が「これ以上は弁護士を通せ」と要求する場面や、ビジネスでのトラブルで「法廷闘争の準備をする」という文脈でよく使われる表現です。
【ここがポイント!】
「lawyer up」は単に「弁護士に相談する」という穏やかな行動ではなく、「ここから先は一言も話さないぞ」という強い意志表示です。
訴訟大国アメリカでは、逮捕時に「弁護士を呼ぶ権利がある」とミランダ警告が必ず読み上げられます。その権利を行使して口を閉ざす——それが「lawyer up」というひと言に込められた行動です。サスペンスや法廷ドラマを楽しむために、ぜひ押さえておきたいフレーズです。
実際に使ってみよう!
As soon as the police started asking questions, the suspect lawyered up.
(警察が質問を始めた途端、容疑者は黙秘して弁護士を呼んだ。)
刑事ドラマの定番の展開を表す際にそのまま使えるフレーズです。「話し始めたら不利だと判断して口を閉ざした」という緊迫した状況が一言で伝わります。
If the company is going to sue us, we need to lawyer up immediately.
(もし会社が訴えるつもりなら、すぐに弁護士を立てて対抗する必要がある。)
ビジネスシーンで相手が法的な手段に出てきた際の対抗措置として使われます。交渉が決裂した局面での強い表現です。
When the customer demanded a million dollars in compensation, the manager realized he had to lawyer up.
(客が100万ドルの賠償を要求してきた時、店長は弁護士を立てるしかないと悟った。)
日常のトラブルや理不尽な要求に対して「個人では対処できないから法的な防衛線を張ろう」と判断した時にも使えます。
『BONES』流・覚え方のコツ
逮捕されたウェスが「lawyer up」すらしなかったことに驚きつつも、どこか同情しているようなブースの表情を思い浮かべましょう。「弁護士(lawyer)を呼んで完全武装(up)する=lawyer up」という構造を理解した上で、「海外ドラマで容疑者が『弁護士を呼べ!』と口を閉ざすあの緊迫した瞬間」とセットでイメージすると、このフレーズのニュアンスが自然と定着します。
似た表現・関連表現
plead the Fifth
(意味:黙秘権を行使する)
アメリカ合衆国憲法修正第5条(Fifth Amendment)に基づく「自己に不利な供述を強要されない権利」のことです。日常会話でも「その質問には答えないよ」と冗談めかして使うことがあります。
get an attorney
(意味:弁護士を雇う)
「lawyer up」よりフォーマルで、純粋に「弁護士という専門家を雇う」という事実を述べる表現です。「attorney」も「lawyer」と同様に弁護士を指します。
call my lawyer
(意味:弁護士を呼ぶ)
最もシンプルで直接的な表現です。「lawyer up」のような「徹底抗戦の構え」という強いニュアンスは含まず、単に弁護士に連絡をとるという行動を伝えます。
深掘り:英語で名詞が動詞になる面白さ
今回の「lawyer up」のように、英語では名詞をそのまま動詞として使う「名詞の動詞化(conversion)」が非常に盛んです。新しい言葉や概念が生まれると、英語はすぐにそれを動詞として使い始めます。
例えば、「google(ググる)」「text(テキストメッセージを送る)」「friend(SNSで友達申請する)」「email(メールを送る)」——これらはすべて名詞が動詞化した表現です。「Can you google it?」「Just text me.」という形で、今では当たり前のように使われています。
「lawyer up」もその一例で、「弁護士(lawyer)を使って武装する」というイメージをそのままひと言で動詞として表現してしまう、英語らしい発想です。名詞が動詞として登場したら、「この言葉を使って何かをする・何かの状態になる」という方向で考えてみると、意味がスムーズに推測できるようになりますよ。
まとめ|刑事・法廷ドラマをニュアンスごと楽しもう
今回は『BONES』から、サスペンスや刑事ドラマに欠かせない「lawyer up」をご紹介しました。
こういったジャンル特有のイディオムを知っていると、緊迫した取り調べシーンも字幕では伝えきれない細かいニュアンスまでダイレクトに楽しめるようになります。
ウェスが「lawyer up」しなかったという事実の裏に何があったのか——そんな登場人物の心理を英語で感じ取れた時、ドラマの味わいがひとつ深くなります。次に刑事ドラマを観る時に、このフレーズが出てくるか耳を澄ませてみてください。


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