海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
今回は『BONES』シーズン9第21話から、忙しさや切迫感をスマートに表現する「up to my ears」をご紹介します。
耳まで埋まるほどの忙しさ——そんな大げさなビジュアルで切迫感をユーモラスに伝えるのが、ネイティブ流の表現術です。
実際にそのシーンを見てみよう!
FBIのオフィスにて、ブースがスイーツに事件の捜査協力を頼む場面です。
ブースは副長官から大量の他エージェントの案件を押し付けられており、自分の担当事件に手が回らなくなっています。
Sweets: They’re probably short-staffed. They just want me to do double duty. Uh, they could be looking at you for a promotion. I tell you what.
(人手不足なんですよ。二足のわらじを履かせたいだけですよ。昇進の候補として見られてるのかもしれないですよ。こうしましょう。)Booth: Why don’t you just help me with Madeline’s case, all right? You have noticed I’m up to my ears here in stuff.
(マデリンの事件を手伝ってくれないか?俺がここで仕事にどっぷり浸かってるのに気づいてるだろ。)Sweets: Sure. Right, okay.
(もちろんです。ええ、わかりました。)Bones Season9 Episode21(The Cold in the Case)
シーン解説と心理考察
「人手不足で頼まれただけだ」と強がりつつも、書類の山に埋もれそうなほど切羽詰まった状況をスイーツにアピールするブース。
スイーツの「こうしましょう(I tell you what)」という提案の流れに乗る形で、「だったら手伝え」とうまく巻き込んでいます。
大げさな比喩で同情を誘いつつ、相手に断る隙を与えない——ブースの人たらしな話術が、さりげなく鮮やかに表れているシーンです。
「up to my ears」の意味とニュアンス
up to my ears
意味:(借金や仕事などに)どっぷり浸かって、首が回らない、深入りして
直訳すると「耳の高さまで達して」となります。
借金や仕事、トラブルといった厄介なものが、まるで水のように足元からどんどん水位を増し、ついには耳の高さまで迫ってきて「今にも溺れそうだ」という絶体絶命の状況を表すイディオムです。
【ここがポイント!】
「忙しい」という一言では到底伝わらない、圧倒的なボリューム感と切迫感を視覚的に伝えるのがこのフレーズの最大の強みです。
通常は in work(仕事で)や in debt(借金で)といった前置詞 in を伴って、自分が何という沼に埋もれているのかを具体的に示す形で使われます。
「I’m very busy.」だけでは伝わらないリアルな切迫感を、このフレーズ一つで一気に表現することができます。
実際に使ってみよう!
I can’t take on any new clients right now. I’m up to my ears in paperwork.
(今は新しいクライアントを引き受けられません。書類仕事にどっぷり浸かっていて首が回らないんです。)
新しい依頼を断る時の定番フレーズです。「書類の波に飲まれている」という視覚的なイメージが伝わり、断る理由に説得力が生まれます。
She is up to her ears in debt after making those poor investments.
(彼女はあのひどい投資をしてからというもの、借金で首が回らなくなっている。)
借金や厄介事に深くはまり込んで自力では抜け出せない、絶望的な状態を表す際にもよく使われます。
We are up to our ears in wedding preparations, so we have no free time.
(私たちは結婚式の準備で手一杯で、全く自由な時間がありません。)
ネガティブなことだけでなく、イベント準備など「やらなければならないタスクが山積み」な状況でも使うことができます。
『BONES』流・覚え方のコツ
オフィスで残業しているあなたの周りに、未処理の書類の山がズンズンと積み上がり、ついには耳の高さ(up to my ears)まで達して、「もう電話の音も誰の声も聞こえない!溺れる!」と叫んでいるような、少し大げさでリアルな情景を思い浮かべてみましょう。
似た表現・関連表現
swamped
(水浸しになる、身動きが取れない)
swamp(沼)から派生した言葉で、仕事やタスクがドッと押し寄せてきて、沼に足をとられたように身動きが取れない多忙さを表します。
snowed under
(雪に埋もれて)
書類や仕事が吹雪のように降り積もり、完全に埋もれて身動きが取れない状態を表す、詩的でよく使われる表現です。
have a lot on one’s plate
(抱えているものが多い)
自分のお皿(plate)の上に食べ物が山盛りになっていてこれ以上処理しきれない、という多忙さを表す控えめな定番表現です。
深掘り知識:体の部位で変わる「どっぷり」の度合い
英語では、何かに浸かっている度合いや切迫感を、体の部位を使って表現することがよくあります。
たとえば up to one’s neck(首まで浸かって)も up to one’s ears とほぼ同じ頻度で使われる自然な表現です。
さらに状況が深刻になると up to one’s eyeballs(眼球まで浸かって)という表現もあり、こちらはより誇張されたコメディタッチの表現として使われることが多いです。
水位が耳→眼球と上がるにつれて「もう前も見えない」という極限の切迫感が増していく——ネイティブの豊かな想像力が生み出した、実にユニークな表現の世界を楽しみながら覚えていきましょう。
まとめ|ワンランク上の「忙しい」を伝えるフレーズ
今回は「up to my ears」の意味と使い方をご紹介しました。
「I’m very busy.」ばかり使ってしまいがちな多忙なシチュエーションも、このフレーズを使えば一気にネイティブらしい生き生きとした表現に変わります。
仕事や課題の波に今にも溺れそうな時は、ぜひこの表現を使って的確に状況を伝えてみてくださいね。

