「make it」の意味と使い方|『ビッグバン★セオリー』S02E08で学ぶ英会話

「make it」の意味と使い方を解説

海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。

「あの約束、間に合うかな」「この状況、なんとか乗り切れるだろうか」——日々の中で、ぎりぎりのところを切り抜けられるかどうかを思う場面は、誰にでもありますよね。

そんな「なんとかたどり着く・切り抜ける」を一語で表す「make it」を、『ビッグバン★セオリー』シーズン2第8話の中盤、外科医のステファニーがレナードとのディナーで手術の話をするシーンから、一緒に見ていきましょう。

目次

「make it」の意味とニュアンス

make it
意味:(困難を)切り抜ける、生き延びる、なんとかやり遂げる、間に合う

make it は文脈によって訳語が大きく変わる、多義的な口語表現です。病気や事故から「生き延びる」、約束の時間に「間に合う」、予定に「都合をつけて参加できる」、努力の末に「成功する」——一見ばらばらに見えますが、どれも「困難や障害を乗り越えて目標に到達する」という一点を共有しています。この核さえ押さえておけば、あとは文脈に応じて適切な訳が見えてきます。とりわけ He didn’t make it. の形は、「彼は助からなかった(亡くなった)」という重い意味で使われ、死を直接 die と言わずに伝える婉曲表現としても定着しています。短い2語ながら、生死から日常の約束まで幅広くカバーする、奥行きのあるフレーズです。

【ここがポイント!】

  • 「make it」の核は「困難を越えてゴールに到達する」という一点
  • 「生き延びる・間に合う・成功する」など訳は変わるが、根っこは同じ
  • 「didn’t make it」は死を婉曲に伝える言い方にもなるのが要注意な点

『ビッグバン★セオリー』S02E08のシーンで見てみよう

意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。

レナードが外科医ステファニーの自宅でディナーを共にしています。一日の仕事を尋ねられたステファニーが、淡々と手術の内容を語り、レナードの軽い冗談を一瞬で打ち消すブラックなやり取りの中で、このフレーズが登場します。

Girl: Busy. I removed an appendix, a gall bladder and about a foot and a half of bowel.
(忙しかったわ。盲腸と胆嚢と、腸を45センチほど切除したの)

Leonard: I’m hoping that’s three different guys.
(それ、3人別々の人だといいんだけど)

Girl: No, just the one. He didn’t make it. So, how was your day?
(いいえ、一人よ。その人は助からなかった。で、あなたの一日はどうだった?)

The Big Bang Theory Season2 Episode8(The Lizard-Spock Expansion)

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シーン解説と心理考察

外科医ならではのクールさと、レナードのたじろぎの対比が、この場面の見どころです。レナードは「それ3人別々の患者だよね?」と冗談めかして返しますが、ステファニーは「いいえ、一人よ。その人は助からなかった(He didn’t make it)」とさらりと事実を告げ、間髪を入れず「で、あなたの一日は?」と話題を移します。生死を日常として淡々と処理する彼女の口ぶりに、職業人としての有能さと、どこか浮世離れしたクールさがにじむ場面です。重い事実を一切ドラマチックにせず流すステファニーと、その温度差に言葉を失いかけるレナードのギャップが、静かな笑いを生んでいます。make it の「生き延びる」という用法が、最も淡々と、それゆえに鮮烈に響く一言として置かれていると言えます。

『ビッグバン★セオリー』流・覚え方のコツ

make it を覚えるコツは、ゴールテープの向こうへ自分の体を運びきる動きをイメージすることです。目の前に障害物があり、その先にゴールがある。それを「なんとか作り上げて(make)到達する(it)」——この一本の線で捉えると、「生き延びる」「間に合う」「成功する」がすべてつながって見えてきます。劇中の患者は、残念ながらその生のゴールに「たどり着けなかった(didn’t make it)」わけです。ステファニーがレナードの冗談を一瞬で凍らせるクールな一言とセットで覚えれば、make it に込められた「死線を越えてたどり着く」という重みが、記憶に深く刻まれます。

例文で覚える「make it」

make it は文脈しだいで「間に合う」「生き延びる」「成功する」と意味が変わる、応用範囲の広い表現です。3つの場面で幅を体感してみましょう。

Sorry, I can’t make it to the meeting this afternoon.
(すみません、今日の午後の会議には出られません)
仕事で会議の欠席を伝える場面です。「都合をつけて行く」という、ビジネスで最もよく使う用法です。

She worked hard for years and finally made it as an actress.
(彼女は何年も努力して、ついに女優として成功した)
夢を叶えた人について語る場面です。困難を乗り越えて「成功する・大成する」という意味の使い方です。

A: We’re closing in ten minutes!
B: Don’t worry, we’ll make it if we run.
(A:あと10分で閉まりますよ!)
(B:大丈夫、走れば間に合うよ)
時間ぎりぎりで急ぐ場面です。会話の中で「なんとか間に合う」と伝える、いきいきとした使い方です。

あわせて覚えたい関連表現

survive
(生き延びる)
「生存する」を直接的に表す語です。make it のほうが口語的で遠回しな響きがあり、「なんとか持ちこたえる」というやわらかいニュアンスで使えるのが違いです。

pull through
((病気や危機を)乗り越える、持ち直す)
とくに重病や危機的状況から「回復する」という、希望のこもった表現です。make it が生死どちらの結果にも使えるのに対し、pull through は「持ち直す」前向きな方向に寄ります。

make it on time
(時間どおりに間に合う)
make it に on time を添えると、「時間厳守で間に合う」ことが明確になります。make it 単体だと文脈頼みになる部分を、はっきりさせたいときに便利です。

Note|英語が「死」を直接言わないとき

He didn’t make it. という一言には、英語が「死」をどう語るかという、文化的な感覚がよく表れています。

英語では、死を die という直接的な語で言い表すことを避け、やわらげた言い方を選ぶ場面が数多くあります。didn’t make it(たどり着けなかった)はその代表例で、とくに事故や手術、救急の現場で、結果を生々しくしすぎずに伝える言い方として定着しています。ほかにも、安らかに去ったというニュアンスの passed away、亡くなった人を指す the late ~(故〜)、さらには冗談めかした kicked the bucket まで、英語には死をめぐる婉曲表現が豊富にそろっています。これは、死という重い事実を相手や場に配慮して包む、という配慮の文化が言葉に刻まれた結果だと言えるでしょう。劇中のステファニーが、医療の現場感をまといながら didn’t make it とさらりと言うのも、この感覚の延長線上にあります。

この背景を知っておくと、make it が単なる「達成する」ではなく、生死という人生の重大局面にも自然に寄り添う表現だと感じられるはずです。

短い2語に、これだけの含みが宿っているのですね。

まとめ|ステファニーの一言で知る「make it」の奥行き

make it は、困難や障害を越えてゴールにたどり着く——その一点を核にしながら、「間に合う」「生き延びる」「成功する」と表情を変える、奥行きのある表現です。

この核を押さえておけば、約束の時間、危機的な状況、長年の目標といったさまざまな場面で、たった2語の make it を文脈に合わせて使い分けられるようになります。

患者の死をさらりと告げたステファニーのクールな一言とともに、make it を表現の引き出しに加えてみてください。

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