海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
相手が悪びれもせず、見え透いた嘘をついている——そんな場面に出くわしたこと、ありませんか。
そんなときに使える「lie through one’s teeth」を、『ビッグバン★セオリー』シーズン3第12話の中盤、交流会でラージの「相棒役」を任されたシェルドンが、その役割を身も蓋もなく言い換えてしまうシーンから、一緒に見ていきましょう。
「lie through one’s teeth」の意味とニュアンス
lie through one’s teeth
意味:ぬけぬけと、平然と真っ赤な嘘をつく
単に「嘘をつく」を表す lie に through one’s teeth が加わることで、嘘の悪質さが強調された誇張表現です。相手の目を見ながら堂々と、明白な嘘を悪びれもせずつく——そんな図々しさを表します。多くの場合、嘘をつく相手への非難やあきれの感情を伴って使われます。「ちょっとした嘘」を表す穏やかな表現とは正反対で、「これでもか」というほど厚かましい嘘を指すのが特徴です。through one’s teeth は「歯を食いしばって、力を込めて」という身体的なイメージから、行為を強める働きをすると言われています。lie とセットで固定的に使われ、英語圏では嘘を強く責めるときの定番フレーズになっています。
【ここがポイント!】
- 「lie through one’s teeth」の核は、歯のすき間から平然と嘘を押し出すイメージ
- 「真っ赤な嘘を悪びれずつく」厚かましさを表す、強い誇張表現
- 非難・あきれの感情がこもることが多いと知っておくのがコツ
『ビッグバン★セオリー』S03E12のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
交流会の会場で、ラージが出会いのためにシェルドンを「wingman(相棒役)」に仕立てます。ラージが「僕の作戦を手伝え」とおしゃれに言ったのを、シェルドンは「要は女性に嘘をつくことだろ」と直球で言い換えてしまいます。
Raj: You help me run my game.
(僕の作戦を手伝うんだよ)Sheldon: When I lie through my teeth to a woman, you nod and agree.
(僕が女性にぬけぬけと嘘をつくとき、君はうなずいて同意するんだ)The Big Bang Theory Season3 Episode12(The Psychic Vortex)
シーン解説と心理考察
ラージが「run my game(口説きの作戦)」とおしゃれに表現したのを、シェルドンが「要は女性に嘘をつくことだ」と即座に翻訳してしまうところに、このシーンの可笑しみがあります。婉曲な言い回しを字義どおりに受け取り、lie through my teeth という身も蓋もない直球で言い換えるシェルドンの率直さが際立ちます。本人にごまかす意図はなく、ただ「事実を正確に描写しているだけ」というスタンスなのが、彼らしさとして伝わってきます。誇張表現があえて大真面目に使われることで、笑いがいっそう引き立つ場面です。
『ビッグバン★セオリー』流・覚え方のコツ
嘘をつくとき、人は思わず口元がこわばるものです。それでも歯を食いしばり、表情を変えず、歯のすき間から平然と嘘を押し出す——そんな「歯を通して(through one’s teeth)嘘を吐き出す」生々しい映像を思い浮かべてみましょう。劇中でシェルドンが悪びれず言い放つ場面と重ねると、「これでもかと堂々と嘘をつく」厚かましさが記憶に残ります。
例文で覚える「lie through one’s teeth」
相手を責める場面から、自分の嘘を打ち明ける場面まで使えるフレーズです。3つの例文で表情の幅を見ていきましょう。
He looked me in the eye and lied through his teeth.
(彼は私の目を見ながら、ぬけぬけと嘘をついた)
裏切りを語る場面です。「目を見ながら堂々と」という、このフレーズらしい厚かましさが強調されています。
I had to lie through my teeth to keep the surprise party a secret.
(サプライズパーティーを秘密にするために、僕は平然と嘘をつき通すしかなかった)
善意の嘘の場面です。非難一辺倒ではなく、「やむを得ず嘘をつき通す」自嘲気味の使い方もできます。
A: Did you tell her you loved the gift?
B: Of course. I lied through my teeth — it was hideous.
(A:彼女にプレゼント気に入ったって言った?)
(B:もちろん。ぬけぬけと嘘ついたよ、ひどい代物だったけどね。)
友人同士の本音トークで使えます。「内心とは正反対のことを平然と言った」という、軽い告白のニュアンスです。
あわせて覚えたい関連表現
tell a white lie
(罪のない嘘をつく)
相手を傷つけないための優しい嘘を指します。悪質で図々しい嘘を表す lie through one’s teeth とは、嘘の性質が正反対です。
a bald-faced lie
(見え透いた大嘘)
「嘘」という名詞そのものを強める表現です。lie through one’s teeth は動詞句で「嘘をつく行為」を強める点が違います。
through and through
(徹頭徹尾、完全に)
「とことん」を表す別の強調表現です。lie through one’s teeth の through one’s teeth も同じく「徹底的に」を添える働きで、強調の仲間として並べて覚えられます。
Note|「嘘」の度合いを言い分ける英語
シェルドンが平然と口にした lie through my teeth。この表現を入り口に、英語が「嘘」をどれだけ細かく言い分けているかを見てみましょう。
英語では、基本動詞の lie(嘘をつく)に言葉を足すことで、嘘の悪質さを段階的に調整します。たとえば、相手を気遣ってつく罪のない嘘は tell a white lie。「white(白い)」が付くことで、害のない優しい嘘というニュアンスになります。一方、誰の目にも明らかな大嘘は a bald-faced lie。そして、悪びれもせず堂々とつく厚かましい嘘が lie through one’s teeth です。同じ「嘘」でも、組み合わせる言葉によって、非難の強さがくっきりと変わります。日本語でも「方便」と「真っ赤な嘘」では重みが違いますが、英語はそれを定型表現として豊かに使い分けているわけです。
この段階を知っておくと、ドラマで嘘が話題になったとき、登場人物がどれくらい本気で相手を責めているのかが読み取りやすくなります。
嘘を語る言葉にも、こんなに濃淡があるのです。
まとめ|「平然とつく嘘」を見抜く一言
lie through one’s teeth は、悪びれもせず堂々と真っ赤な嘘をつくことを表すフレーズです。歯のすき間から平然と嘘を押し出すような、厚かましさのイメージが核にあります。
この表現を知っていると、ドラマや会話で誰かの嘘が話題になったとき、その嘘がどれほど図々しいものかを的確に捉えられます。相手を責める場面でも、自分の嘘を自嘲する場面でも使える、表情豊かな一言です。
嘘の濃淡を言い分ける英語の感覚ごと、表現の引き出しに加えてみてはいかがでしょうか。


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