「the next big thing」の意味とニュアンス
the next big thing
意味:次の大ブーム、次に来る大注目の存在(人・物・技術)
the next big thing は、これから大流行・大成功すると期待されている人・物・技術・トレンドを指す定型表現です。直訳すれば「次の大きなもの」ですが、ここでの big thing は「大物」「大事」といった意味合いで、next が付くことで「今はまだだが、次に台頭してくる目玉」というニュアンスになります。
テクノロジー、エンターテインメント、ビジネス、投資など、新しさと将来性が話題になる分野で特によく使われます。ただし、この表現にはしばしば宣伝的・誇張的な響きがつきまといます。「絶対に来る」と期待をあおる売り文句として使われる一方で、実際には期待外れに終わることも少なくないため、文脈によっては「(まあそう言われてるけどね)」という、やや皮肉や懐疑のニュアンスを帯びることもあります。期待と過剰宣伝が背中合わせになった、独特の温度感を持つフレーズです。
【ここがポイント!】
- 「the next big thing」の核は、「次に来る目玉・大注目株」というイメージ
- テックや芸能、投資など、新しさと将来性が語られる場面で頻出する表現
- 期待をあおる宣伝文句であると同時に、皮肉や懐疑がにじむこともある一言
『ビッグバン★セオリー』S04E22のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。女性とまともに話せない悩みを抱えるラージが、治験中の新薬の存在をシェルドンに打ち明けます。薬学部の友人から渡されたというその薬を、ラージは期待と不安の入り混じった様子で紹介します。
Raj: A friend at the School of Pharmacology gave me these new pills they’re testing. He says it’s the next big thing for social anxiety disorder.
(薬学部の友人が、治験中のこの新しい薬をくれたんだ。社会不安障害の、次の大注目株だって言うんだよ。)Sheldon: Fascinating. What’s in it?
(興味深い。何が入っているんだ?)Raj: I’m not sure. Some sort of beta-blocker attached to a molecule extracted from the urine of cows.
(よく分からないんだ。牛の尿から抽出した分子に、何かのベータ遮断薬をくっつけたものらしい。)The Big Bang Theory Season4 Episode22(The Wildebeest Implementation)
シーン解説と心理考察
ここでラージが the next big thing と言うとき、その言葉には「友人がそう言っている」という伝聞の形が取られている点が見どころです。自分の判断ではなく、人の売り文句をそのまま借りてきている——この距離の取り方に、藁にもすがりたいラージの心境と、同時にどこか半信半疑な気持ちの両方がにじみます。さらに直後に明かされる「牛の尿から抽出した分子」という胡散臭い中身が、the next big thing という華々しい売り文句との落差を生み、笑いを誘います。「次の大注目株」と持ち上げられたものが、実は怪しげな治験薬だった——この表現が持つ「期待と過剰宣伝のギャップ」が、シーンそのものに体現されていると言えます。
『ビッグバン★セオリー』流・覚え方のコツ
行列のできる店の前で、次に出てくる目玉商品を待ち構える人だかりを思い浮かべてみてください。「次のヤツは絶対すごいぞ」とざわめく期待感、その熱気こそが the next big thing の正体です。big(大きい)+ thing(もの・こと)に next(次の)が乗ることで、「まだ来ていないけれど、次に台頭してくる大物」という時間の矢印が生まれます。ラージが怪しい薬を期待半分で差し出す姿とセットで、「鳴り物入りで登場を待たれる存在」というイメージを結びつけておくと記憶に定着しやすくなります。
例文で覚える「the next big thing」
ビジネスやトレンドの話題で頻出するフレーズです。期待をあおる響きと、ときに皮肉になる二面性を、3つの例文で確かめてみましょう。
Everyone says this startup is going to be the next big thing.
(誰もが、このスタートアップは次の大注目株になると言っている。)
ビジネス・投資の場面です。将来性への期待が高まっている様子を、定番の言い回しで表しています。
That gadget was hyped as the next big thing, but it flopped within a year.
(あのガジェットは次の大ヒット商品ともてはやされたが、一年で失敗に終わった。)
やや皮肉を含んだ文脈です。過剰宣伝と実態のギャップを描き、この表現の「期待外れ」の側面が出ています。
A: Have you heard about this new app everyone’s talking about?
B: Yeah, they’re calling it the next big thing—but I’ll believe it when I see it.
(A:みんなが話題にしてる新しいアプリ、聞いた?)
(B:うん、次の大注目株って言われてるね。でも、実際に見るまでは信じないよ。)
カジュアルな会話のやり取りです。「実際に見るまで信じない」と返すことで、この表現にまとう懐疑のニュアンスがよく伝わります。
あわせて覚えたい関連表現
up-and-coming
(新進気鋭の、これから伸びてくる)
すでに頭角を現しつつある人や物を表す形容詞です。the next big thing が「大ブーム」級の期待を込めるのに対し、こちらはもう少し地に足の着いた「成長株」のニュアンスです。
all the rage
(大流行している)
今まさに流行のピークにあるものを表す表現です。the next big thing が「これから来る」未来志向なのに対し、こちらは「今まさに来ている」現在の流行を指す点が違います。
game changer
(状況を一変させるもの)
登場によって流れやルールを根本から変える存在を表します。the next big thing が「人気・注目」に重きを置くのに対し、こちらは「影響力・革新性」に焦点がある点が異なります。
Note|スタートアップ文化が育てた「次の大注目株」という言い回し
the next big thing は、とりわけテクノロジーやスタートアップの世界で耳にすることの多い言い回しです。なぜこの分野でこれほど好んで使われるのか、その背景には独特の文化があると言われています。
シリコンバレーに代表されるスタートアップ文化では、新しいアイデアや技術が次々と生まれ、投資家やメディアが「次に世界を変えるのはどれか」を絶えず探し続けています。こうした環境では、まだ実績のない製品やサービスを「これこそ次の大注目株だ」と打ち出すことが、資金調達やメディアの注目を集めるうえで重要な売り文句になってきたとされています。新しい技術や起業家が the next big thing として紹介される様子は、ビジネス報道では珍しくない光景です。一方で、そう持ち上げられた多くが実際には消えていったため、この表現には次第に「(本当にそうかは分からないが)」という懐疑のトーンも織り込まれるようになっていきました。期待を最大限あおる宣伝の言葉でありながら、聞き手は話半分に受け取る——その両義性こそが、この言い回しの面白さです。
ラージが怪しげな治験薬を the next big thing と紹介する場面は、まさにこの「期待と過剰宣伝のギャップ」を笑いに変えた一例だと言えます。
華々しい売り文句ほど、少し引いて眺めると味わい深いものです。
まとめ|ラージの“怪しい新薬”から学ぶこと
the next big thing は、これから来ると期待される人や物を指す、新しさと将来性の話題に欠かせない表現です。期待をあおる華やかな響きと、ときに皮肉や懐疑がにじむ二面性を併せ持っている点が、この言い回しの奥行きになっています。
新製品やトレンド、注目の人物について語るとき、「次に来るのはこれだ」という熱量を一語で示せると、英語の会話はぐっと生き生きします。期待を込めて、あるいは少し冷めた目線で、the next big thing をあなたの表現の引き出しに加えてみてください。
牛の尿由来の薬を「次の大注目株」と差し出すラージのちぐはぐさが、この一語の絶妙な胡散臭さを思い出させてくれます。


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