海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
会議や雑談の最中に、ふと「いいこと思いついた」と切り出したくなる瞬間は、誰にでもあるものです。
そんなときに使える「come up with」が、思いつく・考え出すという意味で登場するのが『ビッグバン★セオリー』シーズン5第16話の冒頭。カフェテリアでシェルドンが、自作の言葉遊びを得意げに仲間へ披露する場面から、一緒に見ていきましょう。
「come up with」の意味とニュアンス
come up with
意味:(アイデア・答え・解決策などを)思いつく、考え出す
come up with は、頭の中から新しいアイデアや答えをひねり出して相手に示すときに使う句動詞です。単に記憶をたどる remember とは違い、その場で何かを生み出すニュアンスがあります。
対象になるのはアイデアや計画だけではありません。解決策、言い訳、名案、新しい方法など、「自分でひねり出したもの」全般を目的語に取れる柔軟さがあります。
日常会話でもビジネスでも頻出で、How did you come up with that?(どうやってそれを思いついたの?)のように相手の発想をたずねる形でもよく使われます。会話の幅を広げてくれる、覚えておくと便利な表現と言えます。
【ここがポイント!】
- 暗い井戸からアイデアを引き上げる、「上に(up)持ってくる」イメージが核
- アイデア・解決策・言い訳まで幅広く目的語にできる表現
- remember(思い出す)ではなく「新しく生み出す」ときに使うのがコツ
『ビッグバン★セオリー』S05E16のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
舞台はいつものカフェテリア。シェルドンが「物理マッドリブス」という自作の言葉遊びを思いつき、仲間たちを巻き込んで披露しようとします。得意満面で切り出す第一声に、このフレーズが使われています。
Sheldon: Gentlemen, I think I’ve come up with a fun way to get young people interested in science. Physics Mad-Libs. Now, give me a number.
(諸君、若者が科学に興味を持つ楽しい方法を思いついたよ。物理マッドリブスだ。さあ、数字をひとつ言ってくれ)Leonard: Five.
(5)Sheldon: Uh-huh. And an irrational constant.
(うん。次は無理定数を)The Big Bang Theory Season5 Episode16(The Vacation Solution)
シーン解説と心理考察
自分の思いつきに絶対の自信を持つシェルドンらしさが、開口一番の Gentlemen という呼びかけに表れています。仲間に数字や定数を出させて文を組み立てる遊びですが、本人だけが盛り上がり、レナードたちは半ば付き合わされている温度差が見どころです。
come up with が現在完了形 I’ve come up with で使われている点にも、彼の心理がにじみます。「今しがた思いついた」のではなく「すでに考え出してある」という完成度の高さを示すことで、自信のほどが伝わってきます。
科学を広めたいという動機自体は前向きでも、聞き手の反応を気にせず突き進むあたりに、シェルドンというキャラクターの一貫したズレが重なっています。冒頭の短いやり取りだけで、この回のトーンが表れています。
『ビッグバン★セオリー』流・覚え方のコツ
シェルドンが「思いついた方法」を胸の奥から引っぱり出して、テーブルの上に得意げに差し出す——その動きをそのままイメージしてみましょう。
come up with の up は「下から上へ」、come は「自分のところまで」、with は「それを伴って」。三つを合わせると、心の奥にあったアイデアを手元まで引き上げて見せる、という一連の動作になります。
シェルドンが自慢げにアイデアを掲げる姿と、「下から引き上げて差し出す」イメージを重ねておくと、remember(すでにあるものを思い出す)との違いも自然と頭に残ります。
例文で覚える「come up with」
アイデアから言い訳まで幅広く使える句動詞です。場面ごとの温度差を3つの例文で見ていきましょう。
We need to come up with a plan before Monday.
(月曜までに計画を考え出さないといけない)
締め切り前のチームミーティングで使える一言です。come up with + 名詞の最も基本的な形で、「ひねり出す」緊張感が出ます。
He couldn’t come up with an excuse fast enough.
(彼はとっさに言い訳を思いつけなかった)
言い訳に詰まった場面を描く文です。アイデア以外に「言い訳」を目的語に取れることがよく分かります。
A: How did you come up with such a great idea?
B: Honestly, it just popped into my head in the shower.
(A:どうやってそんな素晴らしいアイデアを思いついたの?)
(B:正直、シャワー中にふっと浮かんだだけなんだ)
友人同士のカジュアルな会話です。相手の発想をたずねる定番の形で、会話のキャッチボールにそのまま使えます。
あわせて覚えたい関連表現
think of
(〜を思いつく)
より一般的で軽い「思いつく」。come up with が「ひねり出して提示する」までを含むのに対し、think of は頭に浮かんだ段階を指すことが多い表現です。
figure out
(〜を解き明かす、理解する)
come up with が新しい案をゼロから生み出すのに対し、figure out は既にある問題の答えを突き止めるニュアンス。創造寄りか解明寄りかで使い分けます。
devise
(工夫して考案する)
come up with の硬めの言い換え。devise は綿密に練り上げる響きがあり、フォーマルな文書向き。日常会話では come up with の方が自然です。
Note|句動詞 come up with の成り立ち
何気なく使う come up with ですが、三つの単語がなぜこの意味になるのかを分解すると、句動詞の面白さが見えてきます。
句動詞の up は、しばしば「下から表へ持ち上がる」方向性を担うとされます。come up だけでも「(話題などが)持ち上がる、浮上する」という意味で使われ、A problem came up(問題が持ち上がった)のように、何かが表面化する場面で登場します。ここに「〜を伴って」を表す with が加わることで、「何かを伴って浮かび上がってくる」という構図ができあがります。その「何か」がアイデアや解決策のとき、「思いつく・考え出す」という意味に落ち着いた、と説明されることが多い表現です。アイデアが意識の水面下からゆっくり浮上してくる——そんな心の動きが、三語の組み合わせにそのまま映し出されています。
この成り立ちを知っておくと、come up with が単なる「思いつく」以上に「内側から引き上げて差し出す」ニュアンスを帯びていることが腑に落ちます。冒頭でシェルドンが現在完了形を使ったのも、すでに浮かび上がらせて手元に用意してある、という感覚だったのかもしれません。
三つの小さな単語が、心の奥の動きまで描いている表現です。
まとめ|シェルドンの自信に学ぶ「考え出す」の一言
come up with は、頭の奥にあった考えを引き上げて相手に差し出す、という動きを持った句動詞です。remember との違いは「新しく生み出す」点にあり、ここを押さえると使い分けに迷いません。
この一言が使えるようになると、「思いついた」「考え出した」という発想の瞬間を、会話の中で生き生きと伝えられるようになります。アイデアを出す場面の多いビジネスでも頼りになる表現です。
シェルドンが自作の遊びを得意げに掲げたあの冒頭を思い出しながら、自分の表現の引き出しに加えてみてください。


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