海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
会話の途中で、相手の一言をきっかけに「あ、そう言えば」と何かを思い出した経験はありませんか。最初は考えてもいなかったのに、言われてみて初めて思い当たる──そんな瞬間は、誰にでもあるはずです。
そんなときにぴったりの「come to think of it」を、『ビッグバン★セオリー』シーズン6第7話の冒頭、エイミーの皮肉をシェルドンが額面どおり受け取ってしまうシーンから、一緒に見ていきましょう。
「come to think of it」の意味とニュアンス
come to think of it
意味:そう言えば、考えてみれば
「come to think of it」は、会話の途中で「今ふと思い出した」「言われてみれば気づいた」ことを差し込むときの前置き表現です。直訳すると「それについて考えるに至ると」となり、計画して思い出したのではなく、何かのきっかけで自然と思考がそこへ向かった、というニュアンスを含みます。
ポイントは、相手の発言や目の前の状況が引き金になって連想が働く点です。話の流れの中で「そういえばあれはどうだったかな」と新しい話題や気づきを付け加えるとき、唐突さを和らげるクッションの役割を果たします。文頭に置かれることが多く、その後に思い当たった内容が続きます。
【ここがポイント!】
- 「come(やって来る)+ think(考え)」で、考えが今ふっと頭にやって来たイメージ
- 計画的ではなく、相手の一言や状況がきっかけで「自然と思い当たる」のが核
- 文頭に置いて、思いついた話題をやわらかく差し込むのがコツ
『ビッグバン★セオリー』S06E07のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
エイミーが初監督を務める番組の撮影中、ゲストのウィルと言い争いになり、気まずくなったエイミーが「じゃあ私が帰る」と引こうとします。ところがシェルドンは引き止めるどころか喜んで同意。あきれたエイミーが皮肉まじりに返した一言に、シェルドンはまったく皮肉を感じ取らず、満面の同意を返します。
Amy: You sure you wouldn’t rather have dinner with your friend Wil Wheaton?
(友達のウィル・ウィートンと夕飯のほうがいいんじゃないの?)Sheldon: Come to think of it, I would! You, little lady, are on fire.
(そう言われてみれば、そうしたいな! 君、冴えてるよ)The Big Bang Theory Season6 Episode7(The Habitation Configuration)
シーン解説と心理考察
エイミーの「ウィルと夕飯のほうがいいんでしょ」は、明らかに当てこすりの皮肉です。普通なら「そんなことないよ」と慌ててフォローする場面ですが、シェルドンはその含みをまったく読み取りません。むしろ「言われてみれば、たしかにそうだ」という新たな発見として受け止め、嬉々として同意してしまうところに、彼の共感性の独特なズレが表れています。
ここで「come to think of it」が効いているのは、シェルドンにとってエイミーの一言が文字どおり「考えるきっかけ」になっているからです。皮肉という社会的なニュアンスは抜け落ち、純粋に「そう言われて初めて思いついた」という意味だけが残っています。続く「君、冴えてるよ」という的外れな褒め言葉と合わせて、彼のすれ違いっぷりがこの短いやり取りに重なっています。
『ビッグバン★セオリー』流・覚え方のコツ
頭の中に小さな電球を思い浮かべてみてください。会話の途中、相手の一言が触れた瞬間に、その電球がピカッと点る──それが「come to think of it」のイメージです。自分から探しに行った答えではなく、外からの刺激でふっと灯る気づき。
シェルドンの場面を重ねると、さらに記憶に残ります。エイミーの皮肉をスイッチに、シェルドンの中で「たしかにウィルと夕飯もいいな」という電球が点った。その無邪気な点灯っぷりごと覚えてしまえば、「相手の言葉をきっかけに、ふと思い当たる」という核のニュアンスが自然と手に入ります。
例文で覚える「come to think of it」
会話に自然な気づきを差し込む「come to think of it」は、日常からビジネスまで幅広く使えます。場面を変えた3つの例文で、使い方の感覚を掴んでみましょう。
Come to think of it, I haven’t seen Tom since last week.
(そう言えば、先週からトムを見かけてないな)
友人と雑談しているとき、ふと共通の知人を思い出す場面です。「今気づいたんだけど」と話題を自然に切り出す、最も典型的な使い方です。
Come to think of it, we should double-check the budget before sending the report.
(考えてみれば、レポートを送る前に予算を再確認すべきだね)
会議の終盤で、見落としにふと気づいたときの一言です。ビジネスの場でも、思いついた指摘をやわらかく差し込めます。
A: Are you bringing an umbrella?
B: I wasn’t going to, but come to think of it, the forecast said rain.
(A:傘持っていく?)
(B:持っていくつもりなかったけど、そう言えば予報で雨って言ってたな)
相手の質問がきっかけで、忘れていた情報を思い出す会話例です。自分の判断を途中で見直す流れにぴったりはまります。
あわせて覚えたい関連表現
now that you mention it
(そう言われてみれば)
相手の発言が直接のきっかけであることをはっきり示す表現です。「come to think of it」は自分の中で連想が働いた場合にも使えますが、こちらは「あなたが言ったから気づいた」と相手の発言を起点にする点が違います。
speaking of which
(その話で思い出したけど)
直前の話題から関連する別の話へ橋渡しするときに使います。「come to think of it」は必ずしも直前の話題とつながっていなくてよいのに対し、こちらは話の流れを引き継ぐニュアンスが強い表現です。
on second thought
(考え直してみると、やっぱり)
一度決めた判断を覆すときの表現です。新たに思い当たる「come to think of it」とは違い、こちらは「やっぱりやめておく」のように結論の変更を示します。
Note|come to が生む「自然と〜に至る」の語感
「come to think of it」をよく見ると、文頭に「come to」が隠れています。この come to こそ、フレーズ全体のニュアンスを決める鍵になっています。
英語の come to には、「(意図せず)ある状態に至る」という用法があるとされています。come to know(知るに至る)、come to realize(気づくに至る)、come to believe(信じるようになる)などが同じ型で、いずれも努力や計画ではなく、経緯の中で自然とその状態へ到達したことを表します。go(行く)が自分から能動的に向かうイメージなのに対し、come(来る)は向こうからやって来る受け身のイメージを帯びる、という対比で捉えるとわかりやすくなります。「come to think of it」も、自分から考えに行ったのではなく、考えのほうが自然とやって来た──だからこそ「ふと思い当たる」の意味が生まれます。
この come to の感覚を押さえておくと、「come to think of it」が単なる決まり文句ではなく、語のつくりに裏打ちされた表現だと見えてきます。シェルドンがエイミーの一言で「思い当たって」しまったのも、まさにこの「向こうからやって来る気づき」でした。
語のつくりが、ニュアンスをそっと支えています。
まとめ|エイミーの皮肉から生まれた、ふとした気づき
「come to think of it」は、相手の一言や目の前の状況をきっかけに、考えてもいなかったことへ自然と思い当たる──そんな瞬間を切り取る表現です。
この一言を覚えておくと、会話の途中で思い出した話題を、唐突にならずやわらかく差し込めるようになります。「あ、そう言えば」と日本語で前置きするのと同じ感覚で、英語の会話にも自然な流れを作れます。
エイミーの皮肉さえも「ナイスな気づき」に変えてしまうシェルドンの場面とともに、表現の引き出しに加えてみてくださいね。


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