海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
確認を取る時間がなくて、自分の判断で先に動いてしまった。あとから相手に伝えるとき、言い訳にも報告にも聞こえない言い方を探して迷ったことはありませんか。謝るほどではないけれど、黙っているのも違う場面です。
そんなときに使える「take a liberty」を、『BONES』シーズン1第12話の後半、聞き込みを終えたブレナンがブースの指摘に応じるシーンから、一緒に見ていきましょう。
「take a liberty」の意味とニュアンス
take a liberty (with ~)
意味:断りなく自分の判断で行う、勝手に手を加える
許可を取らずに自由を行使することを表します。liberty は自由と訳されますが、freedom が生まれつき備わった自由を指すのに対して、こちらは制約のある場所で認められた範囲、という色を帯びた語です。その範囲から少しはみ出す動きが take a liberty になります。
評価は文脈で反転します。原作や定型を大胆に作り変えたという創作の場面では、腕前を認める言い方になります。一方で人の持ち物や親切に対して使えば、図々しさへの批判になります。どちらに転ぶかは、はみ出した先に迷惑があるかどうかで決まります。
実際によく現れるのは I took the liberty of ~ing の形です。丁寧な響きを持つ定型で、勝手ながら〜しておきました、という報告に使われます。
【ここがポイント!】
- 決められた枠から少しだけはみ出す、という動きが芯にある言い方
- 大胆な工夫にも図々しさにも転ぶ、評価が文脈で決まる表現
- I took the liberty of ~ing の形で覚えておくと、そのまま実務で使える一言
『BONES』S01E12のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
ボウリング場での聞き込みを終えた二人が、店を出ようとしています。別れぎわにブレナンが口にしたのは、See you in the funny pages(また新聞の漫画欄で)という決まり文句を、コミック本に置き換えた挨拶でした。相手は意味がわからず聞き返します。歩き出したところで、ブースがその言い間違いを正しに入ります。
Booth: It’s “See you in the funny pages.”
(正しくは See you in the funny pages だ)Brennan: Okay. I took a liberty. Her husband beats her.
(そうね。少し勝手にやらせてもらったの。あの人の夫は彼女を殴っているわ)Booth: Bones. All right. Talk about multiple hypotheses.
(ボーンズ。まったく、仮説の立てすぎだと言ってたのはどっちだ)Brennan: It’s a leap, yes, but it was bound to happen, me spending so much time with you. I mean that as a compliment.
(飛躍ね、たしかに。でもこうなるのは当然よ、あなたとこれだけ一緒にいるんだから。褒めているつもりだわ)BONES Season1 Episode12 (The Superhero in the Alley)
シーン解説と心理考察
ブレナンは間違えたと言いません。I took a liberty、つまり承知のうえで変えた、と返します。定型を知らなかったのではなく、この場では funny(愉快な)という語を使いたくなかった。そう告げているわけです。
理由が続けて置かれるところに、この人物の順序が表れています。夫が妻を殴っている。観察の結果を先に述べてから、言葉を選び直した根拠として差し出す。感情ではなく事実で説明する姿勢が一貫しています。
受けたブースの反応も見どころです。仮説を立てすぎるなと普段からたしなめているのは彼のほうですから、立場が入れ替わっています。それに対してブレナンが返した、あなたといる時間が長いからこうなった、という一言。批判として言われたことを、素直に相手の影響として受け取り直しています。褒めているつもりだと念押しするあたりに、二人の距離の縮まり方がにじむ場面です。
『BONES』流・覚え方のコツ
決まり文句が並んだ棚を思い浮かべてみます。どれも形が決まっていて、勝手に組み替えないのが約束です。そこへ手を伸ばして、一語だけ差し替える。棚の秩序からわずかにはみ出す、その一手が take a liberty です。
liberty という語の輪郭も、この動きに合っています。まったくの無制限ではなく、囲いのある中で認められた自由。だからこそ、はみ出したことに気づく人がいて、指摘が入る余地も残ります。
劇中のブレナンは、funny という一語を外して comic books に替えました。棚から離れた分は小さくても、そこには彼女なりの理由があった。差し替えた一語ぶんの動きとして覚えておくと、この表現の距離感がつかめます。
例文で覚える「take a liberty」
自分の判断で動いたことを伝える言い方です。3つの例文で幅を見ていきましょう。
I took the liberty of booking a table for seven, in case the meeting runs long.
(勝手ながら、7時で席を予約しておきました。会議が延びる場合に備えて)
段取りを先回りした場面です。in case を添えると、独断の理由まで一息で示せます。
The translator took some liberties with the original text.
(訳者は原文にかなり手を加えている)
翻訳や脚色を評する場面です。some を挟むと、程度を示しつつ断定を避けられます。
A: These files are already sorted by date.
B: I took a liberty. It seemed faster that way.
A: No complaints here.
(A:このファイル、もう日付順になってるね)
(B:勝手にやらせてもらった。そのほうが早そうだったから)
(A:文句はないよ)
同僚に事後報告する場面です。理由を一文添えるだけで、独断が提案に変わります。
あわせて覚えたい関連表現
take the initiative
(率先して動く、主導権を取る)
誰かが動く前に自分から始めることを指し、評価は一貫して前向きです。許可の有無を含む take a liberty とは、はみ出しているかどうかで区別できます。
overstep
(踏み越える、出過ぎたことをする)
境界線を越えてしまったという指摘に使われ、批判の色がはっきりしています。評価が反転しうる take a liberty に対して、こちらは行き過ぎだと決まっている言い方です。
presume to
(おこがましくも〜する)
身のほどを超えた行いだと、自分から下手に出る言い方です。take a liberty より改まっていて、書き言葉や格式のある場面に向いています。
Note|丁寧に聞こえる報告が、実は事後だという話
英語の実務で最もよく見かけるのが、I took the liberty of ~ing という形です。丁寧な響きがあり、失礼のない一文として重宝されています。ところがこの言い方には、少し変わった仕組みが隠れています。
比べてみると、はっきりします。Would you mind if I booked a table? なら、判断は相手に委ねられています。May I go ahead and book it? も同じで、答えを待つ姿勢です。ところが I took the liberty of booking a table は過去形です。予約はすでに済んでいて、相手に残されているのは、了承するか、取り消しを頼むかの二択になります。
つまりこの定型は、許可を求める文ではなく、許可なく動いたことの報告です。それでも角が立たないのは、liberty という語が、はみ出したという自覚を先に示しているからでしょう。勝手にやった、とだけ言えば独断ですが、自由を行使させてもらった、と言えば、境界の存在を認めたうえでの行動になります。
だから使いどころが決まってきます。相手の負担を減らす方向のこと、取り消しがきくこと、急ぐ理由があること。この三つが揃っていれば、丁寧な気配りとして受け取られます。逆に、取り返しのつかない決定にこの形を使うと、報告が事実上の通告になってしまいます。
丁寧さは、選択肢を残しているかどうかで決まります。
まとめ|枠から一歩だけ出るとき
take a liberty は、決められた範囲から自分の判断で少しはみ出すことを表す言い方です。工夫として褒められることも、図々しさとして咎められることもあり、評価は文脈が決めます。境界の存在を認めたうえで越える、という順序がこの語の芯にあります。
この表現を持っておくと、確認を取らずに動いたことを、謝罪でも言い訳でもなく伝えられるようになります。勝手ながら、と前置きしてから理由を添える。その形が英語にもある、と知っておくだけで報告が楽になります。相手に取り消しの余地を残しておけば、独断は気配りに変わります。
間違いではなく判断だった、と言い切る言い方でもある、そんな一言です。


コメント