海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
気が進まないけれど、どうせやらなきゃいけない。それなら、いっそさっさと終わらせてしまいたい——そんな気持ちになる場面が、日々のなかには時々あります。
そんなときにぴったりの「get something over with」を、『フレンズ』シーズン4第4話の後半、ジョーイが管理人のトリーガーに気の進まないダンスを教え始めるシーンから、一緒に見ていきましょう。
「get something over with」の意味とニュアンス
get something over with
意味:(嫌なこと・面倒なことを)さっさと片付ける/終わらせてしまう
「get something over with」は、気が進まないことや避けたいことを、先延ばしにせず一気に終わらせてしまう、という意味の口語表現です。ただ「終わらせる」だけでなく、「どうせやらなきゃいけないなら、早く済ませてしまいたい」という嫌々感・観念のトーンが必ず伴うのが特徴です。
文末の「with」までがワンセットで、これがあることで「完全に終わった状態にする」という含みが生まれます。歯医者、面接、気まずい会話など、「やりたくないけれど避けられないこと」を前にして、「もう済ませてしまおう」と言うときの定番の言い回しです。「get this over with」の形で使われることがとても多く、会話にそのまま登場します。
【ここがポイント!】
- 「get 〜 over with」の核は「気の重いことを一気に済ませてしまう」イメージ
- 「終わらせる」だけでなく、嫌々感・観念のトーンが必ず伴う表現
- 文末の「with」まで含めてワンセット、というのが押さえどころ
『フレンズ』S04E04のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
立ち退きを免れる条件として、ジョーイが管理人のトリーガーにダンスを教えることになります。男同士でダンスを踊ることに乗り気でないジョーイが、渋々練習を切り出すのがこの場面です。
Joey: Alright, I’m here. Let’s, uh… let’s get this over with.
(よし、来たぞ。じゃあ……さっさと済ませちまおう)Treeger: Okay, yeah, just follow my lead.
(ああ、じゃあ俺のリードに合わせてくれ)Joey: Whoa, whoa, don’t we need to do some kind of preparation first? Like get really drunk?
(おいおい、まず何か準備がいるんじゃないか?思いっきり酔っ払うとか)Friends Season4 Episode4(The One With the Ballroom Dancing)
シーン解説と心理考察
「Let’s get this over with」というひとことに、ジョーイの嫌々感がにじむ場面です。
男同士でダンスを踊るという状況に、まったく乗り気になれないジョーイ。「まず酔っ払う必要があるんじゃないか」という抵抗まで口にするあたりに、この練習をどれだけ気が重く感じているかが表れています。「get this over with」は、まさにその「どうせやるなら早く終わらせたい」という心境をそのまま映した表現です。
見逃せないのは、この渋々の入り方が、あとの展開の伏線になっている点です。このあとジョーイはダンスにすっかりハマってしまうため、この「さっさと済ませよう」という嫌々の第一声との落差が、コメディとして効いてきます。フレーズの持つ「気の重さ」が、そのまま笑いの仕込みになっていると言えます。
『フレンズ』流・覚え方のコツ
男とダンスを踊るのが気まずくて仕方ないジョーイが、顔をしかめて「さっさと済ませちまおう(let’s get this over with)」と切り出す場面を思い浮かべてみてください。
覚えるコツは、「over」と「with」を動きでイメージすることです。目の前にある面倒ごとというハードルを飛び越えて(over)、それを終わらせて(with)向こう側に着地する——そんな一連のジャンプを想像すると、「面倒を乗り越えて片付ける」という感覚がつかめます。嫌なことを一気に飛び越えるジョーイの渋い顔とセットにすれば、嫌々感まで含めて記憶に残ります。
例文で覚える「get something over with」
気の進まないことを早く片付けたい、という場面で活躍するフレーズです。嫌々感のニュアンスを意識しながら、3つの例文で見てみましょう。
Let’s just get this over with.
(もうさっさと済ませちゃおう)
気の進まない作業に、観念して取りかかる場面です。劇中のジョーイとまったく同じ、もっとも登場頻度の高い形です。
I want to get the interview over with as soon as possible.
(面接をできるだけ早く終わらせてしまいたい)
緊張する予定を、早く片付けてしまいたいという場面です。「get A over with」の形で、終わらせたい対象を具体的に示しています。
A: I really don’t want to go to the dentist.
B: I know, but let’s just get it over with.
(A:歯医者、ほんとに行きたくないな)
(B:分かるよ、でもさっさと済ませちゃおう)
気の重い予定に、二人で観念して臨む場面です。「but」で受けることで、「気は進まないけれど」という嫌々感がより際立ちます。
あわせて覚えたい関連表現
get it done
(終わらせる/やり遂げる)
「get it done」は中立的に「完了させる」という意味で、嫌々感は含みません。「get it over with」は「嫌なことを早く終わらせたい」という気の進まなさが必ず伴う点が、はっきりした違いです。
be done with something
(〜を終える/〜ときっぱり縁を切る)
「be done with」は「もう関わらない」という完了・決別を表します。これから一気に片付ける、というプロセスを指す「get 〜 over with」に対して、こちらは終わった状態や関係を断つことに重点があります。
get through something
(〜を乗り切る/やり過ごす)
「get through」は、つらいことを耐えて通り抜ける、という持続的なニュアンスです。一発で片付ける瞬間的なイメージの「get 〜 over with」とは、時間の感じ方が異なります。
Note|get it over with / get it done / get through の温度差
「終わらせる」を英語にしたいとき、選択肢はいくつもありますが、それぞれ運ぶ感情の温度が違います。劇中の「get this over with」を軸に、近い3つの表現を並べて整理してみましょう。
まず「get it over with」は、この中で唯一「嫌々感」が必ず伴う表現です。歯医者や面接のように、避けたいけれどやるしかないことを、観念して一気に片付けるときに使います。次に「get it done」は、感情の色がつかない中立的な表現。「とにかく完了させる」という実務的なトーンで、嫌々でも前向きでも使えます。そして「get through it」は、つらい状況を「耐えて通り抜ける」持続的なニュアンス。長い試練を乗り切る、というイメージが強くなります。つまり、嫌々感で選ぶなら get it over with、中立なら get it done、耐久戦なら get through、という住み分けができます。
劇中のジョーイが「get this over with」を選んだのは、まさに「気は進まないけれど、どうせやるなら早く終わらせたい」という心境そのものだったからだと読み取れます。表現の選択が、そのまま話し手の気持ちを語っているわけです。
同じ「終わらせる」でも、言葉を選ぶことで気分まで伝わるのが面白いところです。
まとめ|ジョーイの「さっさと済ませよう」から学ぶこと
「get something over with」は、気の進まないことを先延ばしにせず、一気に終わらせてしまう、という心境を表す口語です。
「終わらせる」だけの表現とは違い、「どうせやるなら早く」という嫌々感がセットになっているのが最大の特徴です。文末の「with」まで含めて、「get this over with」の形で覚えてしまえば、会話にそのまま乗せられます。
避けられない用事を前に、観念して取りかかるときの一言として、表現の引き出しに加えてみてください。渋々ダンスを始めたジョーイが、このあとすっかり夢中になっていく——その落差の入り口に置かれた、印象的な一言でした。


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