海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
誰かに何かをお願いしたいとき、いきなり本題に入るのは少し気が引けて、まず「ちょっとお願いがあるんだけど」と前置きしたくなること、ありますよね。
そんなときにぴったりの「ask a favor」を、『フレンズ』シーズン4第18話の冒頭、代理母として妊娠中のフィービーが、赤ちゃんの名付けについて友人に頼み事を切り出すシーンから、一緒に見ていきましょう。
「ask a favor」の意味とニュアンス
ask a favor
意味:頼み事をする、お願いをする
favor は「親切な行為・好意」を表す名詞です。誰かに favor(親切)をしてもらうよう求めるので、ask a favor で「お願いをする」「頼み事をする」という意味になります。
相手に少し手間をかけるお願いを切り出すときの定番表現で、”Can I ask you a favor?”(お願いしてもいい?)という形で会話の入り口によく使われます。favor の前に big / huge / small といった形容詞を添えると、お願いの大きさを示すこともできます。
頼む相手を示すときは ask someone a favor、または ask a favor of someone という語順になります。応じる側に立つ do someone a favor(人の頼みを聞いてあげる)と対にして覚えておくと、依頼のやりとり全体が見えてきます。
【ここがポイント!】
- favor は「好意・親切」、それを ask(求める)から「お願いする」になる表現
- “Can I ask you a favor?” は頼み事の合図になる一言
- big / huge をつけてお願いの重さを示せるのが便利なところ
『フレンズ』S04E18のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
代理母として三つ子を妊娠中のフィービーが、モニカの部屋にいるレイチェルのもとを訪ねてきます。世間話のあと、フィービーはあらたまった様子で「大きなお願いがある」と切り出します。何を頼まれるのかと身構える相手に、フィービーが本題を持ちかける場面です。
Phoebe: Actually, I came down to ask you a big favor.
(実はね、大きなお願いがあって来たの)Rachel: You want to keep more of your stuff in my uterus.
(私の子宮にもっと荷物を預けたいとか?)Phoebe: No, no, no.
(違う違う、そうじゃなくて)Friends Season4 Episode18(The One With Rachel’s New Dress)
シーン解説と心理考察
フィービーはこのあと、三つ子のうち一人の名付けを頼もうとしています。大切なお願いだからこそ、いきなり本題に入らず「big favor」と前置きして相手に心の準備をさせる流れが表れています。
対する相手は、フィービーの妊娠を代理出産として支えてきた関係もあり、少しおどけた返しで場をやわらげています。真剣なお願いと、それを軽やかに受け止めようとするやりとりの温度差が、この短い会話ににじむ場面です。
favor という一語が、これから始まる頼み事に対して「あなたに少し手間をかけるかもしれない」という含みを持たせています。頼む側の遠慮と期待が、ask a big favor という切り出し方に重なっています。
『フレンズ』流・覚え方のコツ
favor を「両手で差し出される親切の包み」だとイメージしてみましょう。その包みを相手に「受け取ってほしい」と差し出す(ask)のではなく、逆に「ください」と求めるのが ask a favor です。
フィービーが「big favor」と言いながら、大きな包みを抱えて部屋に入ってくる姿を思い浮かべると、favor の大きさがそのままお願いの重さに変わって見えてきます。頼み事の前に置く合図の言葉として、ask a favor をひとまとまりで口に馴染ませておくと、いざというとき自然に出てきます。
例文で覚える「ask a favor」
ask a favor は、頼み事を切り出す入り口としてさまざまな場面で活躍します。丁寧さの度合いを変えながら、三つの例文で使い方を見ていきましょう。
Can I ask you a favor? I need someone to water my plants while I’m away.
(お願いしてもいい? 留守のあいだ、植物に水をあげてくれる人が必要なの)
旅行前に隣人へ頼むような、ごく日常的な場面です。”Can I ask you a favor?” と最初に置くことで、相手に断る余地を残しながら本題に入れます。
May I ask a favor of you before the meeting starts?
(会議が始まる前に、一つお願いしてもよろしいでしょうか)
上司や取引先に丁寧に頼むフォーマルな場面です。ask a favor of you という語順と May I を使うと、ぐっと改まった印象になります。
A: I hate to ask you another favor, but could you cover my shift Saturday?
B: Say no more. I’ve got you.
(A:またお願いするのは心苦しいんだけど、土曜のシフト代わってもらえない?)
(B:言わなくていいよ、任せて)
職場で同僚に負担を頼む場面です。hate to ask を添えると「たびたび申し訳ない」という恐縮の気持ちが伝わります。
あわせて覚えたい関連表現
do someone a favor
(人の頼みを聞いてあげる、親切にする)
同じ favor を使いますが、こちらは応じる側の表現です。ask が頼む側、do が応じる側という反対の立場になり、二つで一組と考えると理解しやすくなります。
Would you mind ~ing?
(〜していただけますか)
favor という名詞を使わずに、丁寧に依頼する言い回しです。ask a favor が「お願いがある」と切り出すのに対し、こちらは具体的な依頼内容を直接やわらかく尋ねます。
help someone out
(人を手伝う、力を貸す)
favor よりもくだけた、手助けを求めるカジュアルな表現です。深刻さの薄い、ちょっとした助けを頼みたいときに ask a favor の代わりに使えます。
Note|ask a favor と do a favor、視点が反転する二つの言い方
ask a favor を覚えるとき、セットで押さえておきたいのが do a favor です。同じ favor という単語を使いながら、立っている場所がちょうど反対になります。
ask a favor は「頼む側」の言葉です。”Can I ask you a favor?” と言うとき、話し手はこれから相手に何かをしてもらおうとしています。一方、do someone a favor は「応じる側」の言葉です。”Could you do me a favor?” は「私に親切をしてくれませんか」と頼む形ですが、”I did her a favor.” になると「私が彼女に親切をした」と、今度は自分が与える側に回ります。同じ favor が、動詞が ask か do かによって、求める・与えるの向きを切り替えるわけです。さらに do me a favor は、命令文で使うと「頼むから(〜して)」という少しくだけたニュアンスにもなり、”Do me a favor and close the door.”(お願いだからドアを閉めて)のように日常でよく登場します。
フィービーの “ask you a big favor” は、まさに頼む側の一言でした。この場面を起点に、応じる側の do a favor まで一緒に覚えておくと、依頼のやりとりを両方向から捉えられるようになります。
求める言葉と、応える言葉。favor はその両方の橋渡しをしています。
まとめ|フィービーの「big favor」から広がる依頼の言葉
ask a favor は、頼み事を切り出すときの合図になる表現です。favor(親切)を求めるという成り立ちを押さえておけば、”Can I ask you a favor?” という一言が自然に口をついて出てきます。
この切り出し方を知っておくと、相手にいきなり要件をぶつけるのではなく、ワンクッション置いてお願いを伝えられます。応じる側の do a favor と合わせれば、依頼のやりとりを両方向から扱えるようになります。
フィービーの「big favor」のように、大切なお願いほど、まずこの一言から。日々の会話で頼み事をする場面を思い浮かべながら、表現の引き出しに加えてみてください。


コメント