海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
からかわれた時、ムキになって怒るのは少し損かもしれません。
今回は、相手の笑いをさらりと受け流しながら、皮肉たっぷりに切り返せるフレーズ「laugh it up」を、『BONES』シーズン8第17話のシーンから学んでいきましょう。
実際にそのシーンを見てみよう!
投資銀行家の世界を離れ、農場での生活を満喫しているチップ。
電話口の元同僚ダニーが、そんな彼のスローライフをからかって笑い出します。
チップの返しが、見事です。
Danny (over phone): (laughter over phone)
(電話越しの笑い声)Chip: Laugh it up, Danny. You laugh it up from your smog-filled city office.
(大いに笑えよ、ダニー。スモッグまみれの都会のオフィスからせいぜい笑ってろ。)Chip: I’m in God’s country, I’m doing God’s work. And he’s looking out for me.
(俺は神の国にいて、神の仕事をしてるんだ。神様は俺を見守ってくれてる。)Danny (over phone): I bet he is. Just visit, dude. That’s all I’m saying.
(きっとそうだろうな。遊びに来いよ、それだけだよ。)BONES Season8 Episode17(The Fact in the Fiction)
シーン解説と心理考察
農場での生活を心から誇りに思っているチップに対し、ダニーはそのスローライフをからかって笑います。
チップはムキになるでも落ち込むでもなく、「都会の汚れた空気の中でせいぜい笑っていればいい」と、自分の選んだ生き方への強い自信と軽い皮肉を込めて返しています。
“God’s country” は「神の国」を意味し、英語圏では自然豊かな農村や地方をこう呼ぶことがあります。チップが自分の暮らす場所に誇りを感じているのが言葉の端々からにじみ出ています。
「君が正しいかもしれないな、遊びに来いよ」というダニーの返しも、二人の間にある温かい友情を感じさせます。
「laugh it up」の意味とニュアンス
laugh it up
意味:大笑いする、今のうちに笑っておく、せいぜい笑うがいい
「laugh」は「笑う」ですが、そこに「up」がつくことで「徹底的に〜する」「限界まで〜する」という意味合いが加わります。
「drink up(飲み干す)」や「eat up(食べ尽くす)」と同じように、笑いを出し尽くすようなニュアンスになります。
単に「大笑いする」というポジティブな意味でも使われますが、ドラマや映画では相手にからかわれた時に「せいぜい今のうちに笑っておけよ(後で後悔するぞ)」という皮肉や強がりを込めて使われることが非常に多い表現です。
【ここがポイント!】
このフレーズのコアイメージは「限界まで笑いを発散させる勢い」です。
相手が自分をからかって笑っている状況で使われる場合、「it」はその「からかいの対象(=自分や自分の行動)」を漠然と指しています。
「私のことを存分に笑いのネタにしろよ」と突き放すようなニュアンスがあり、相手の嘲笑に対する見事なカウンターとして機能する、エッジの効いた表現です。
余裕のある大人の返し方として、ぜひ使いこなしたい一言です。
実際に使ってみよう!
Laugh it up now, but you’ll see I’m right eventually.
(今のうちにせいぜい笑っておけ、でも最後には私が正しいと分かるからな。)
自分の意見やアイデアを鼻で笑われた時に、自信を持って言い返す定番の形です。相手のからかいを正面から受け止めつつ、毅然とした態度を示せます。
Go ahead, laugh it up! I know my new haircut looks weird.
(どうぞ、大いに笑ってよ!自分の新しい髪型が変なのは分かってるからさ。)
友人同士の会話で、自分の失敗やカッコ悪いところを自虐的に笑い飛ばしてほしい時にも使えます。親しい間柄だからこそのユーモアです。
The kids were laughing it up in the living room while watching the comedy show.
(子供たちはリビングでコメディ番組を見ながら大笑いしていました。)
皮肉ではなく、純粋に「大いに笑って楽しんでいる」というポジティブな状況の描写にも使えます。楽しげな笑い声が部屋中に響き渡っている様子が伝わります。
『BONES』流・覚え方のコツ
チップが農場での生き方を笑われた時に “Laugh it up, Danny.” と言い返した場面を思い浮かべてください。
「都会のオフィスでせいぜい笑い続けろよ」と、上(up)に向かって笑いを吹き出させるイメージです。
誰かにからかわれた時、チップのように余裕を持って “Laugh it up.” とひと言返す自分をイメージすると、このフレーズがスッと記憶に定着します。
似た表現・関連表現
laugh out loud
(声に出して大笑いする)
SNSなどでよく使われる「LOL」の元になった表現です。「laugh it up」にあるような皮肉のニュアンスや「笑い尽くす」という勢いはなく、純粋な笑いの動作そのものを指します。
make fun of
(〜をからかう、〜を笑い者にする)
「laugh it up」は相手に「笑え」と促す表現ですが、こちらは誰かが誰かをからかう行為・行動そのものを直接的に表します。
have the last laugh
(最後に笑う、最終的な勝利を収める)
「今は笑われていても、最後には自分が勝つ」という状況を表します。”Laugh it up now.” とセットで使われることが多い、ストーリー性のある表現です。
深掘り知識:句動詞における「up」の働き
「laugh it up」にも使われている「up」は、単なる「上へ」という方向だけでなく、「完了」や「強調」を示す働きをします。
「clean(掃除する)」が「clean up」になると「すっかり綺麗にする」という意味になり、「use(使う)」が「use up」になると「使い果たす」になります。
今回の「laugh it up」も、「笑う」という動作を限界までやり切る、出し尽くすというニュアンスが「up」によって表現されています。
この「up=完全・終了」のコアイメージを持っておくと、初めて見る句動詞でも根底にあるニュアンスを推測する力が上がっていきます。
まとめ|ユーモアと皮肉のスパイスを効かせて
今回は、相手の笑いに対して皮肉を込めて返す時に使える「laugh it up」を解説しました。
からかわれた時に、ムキになって怒るのではなく、余裕を持ってこんなフレーズで切り返せたら、英語でのコミュニケーションがより洗練されたものになります。
「up=出し尽くす」というイメージと、チップのあの堂々とした切り返しを頭に入れておいてください。
日常の中でふとからかわれた瞬間に、このフレーズがきっと顔を出してきます。

