海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
会議で誰も賛成してくれない意見を言う時、あるいは根拠が薄いのに直感を信じて提案する時。
「これ、かなり危ない橋を渡ってるな……」と冷や汗をかいた経験はありませんか?
今回は、FBI捜査官ブースが上司から受けた忠告の言葉から、孤立無援のリスクを背負う覚悟を表すイディオムをご紹介します。
実際にそのシーンを見てみよう!
ブースは「真犯人は別にいる」という自分の勘だけを頼りに、死刑執行の停止を求めます。
しかし、もし間違っていれば、FBIは「法の手続きを邪魔した」として世間の非難を浴びることになります。
上司のカレン副長官は、組織としての後ろ盾がない状態で暴走するブースに釘を刺します。
Cullen: Way out on a limb here, Booth.
(ブース、お前は今、かなり危ない橋を渡っているぞ(孤立無援だぞ)。)Brennan: He’s just trying to find the truth.
(彼はただ真実を見つけようとしているだけです。)Cullen: Let’s assume you’re right. Then what?
(君が正しいと仮定しよう。で、どうするんだ?)BONES Season1 Episode7 (A Man on Death Row)
シーン解説と心理考察
カレン副長官は、ブースの優秀さを認めているからこそ警告しています。
“Way out on a limb“(かなり枝の先にいるぞ)と言うことで、「お前を庇ってやれる限界を超えている」「もし落ちても、俺は助けられないぞ」と暗に伝えているのです。
組織人としての冷徹さと、上司としての心配が入り混じったセリフですね。
「out on a limb」の意味とニュアンス
go out on a limb / be out on a limb
意味:危ない橋を渡る、リスクを冒す、孤立無援の状態になる、あえて大胆な意見を言う
直訳すると「枝(Limb)の先っぽに出ている」。
安全で太い「幹(=組織や確実な証拠)」から離れ、いまにも折れそうな細い枝の先端まで身を乗り出しているイメージです。
【ここがポイント!】
単なる「危険(Dangerous)」とは違います。
「誰の助け(Support)も得られない場所へ、自ら進んで出て行く」というニュアンスが重要です。
ブースのように、保身を捨てて「俺一人でもやる」という覚悟を決めた時、人は “out on a limb” の状態になります。
実際に使ってみよう!
「確証はないけれど言わせてほしい」という時や、誰かを庇う時の前置きとして使えます。
I’m going to go out on a limb and predict that stocks will crash tomorrow.
(あえて大胆な予想をしますが(根拠は薄いですが)、明日株価は暴落するでしょう。)
解説:
外れたら笑い者になるリスクを承知で、自分の直感や意見を主張する時に使います。
She went out on a limb to vouch for him, even though he had a criminal record.
(彼には前科があったが、彼女は自分の立場を危険に晒してまで彼の身元保証人になった。)
解説:
周りが反対する中、一人だけ味方をする(孤立する)状況です。
Don’t put yourself out on a limb for a project that’s likely to fail.
(失敗しそうなプロジェクトのために、わざわざ危ない橋を渡る(リスクを背負い込む)ことはない。)
解説:
同僚が無茶をしそうな時に止めるフレーズです。
『BONES』流・覚え方のコツ
「幹から離れた猫」をイメージしてください。
猫が高い木の枝の先っぽまで登ってしまい、降りられなくなって震えている(あるいは獲物を狙ってギリギリまで身を乗り出している)。
その枝はミシミシと音を立てており、下には助けてくれるネットもありません。
その「心細さ」と「スリル」が、このイディオムの感覚です。
似た表現・関連表現
- stick one’s neck out
(首を突っ込む、リスクを冒す)
解説:「亀が甲羅から首を出す=切られる危険がある」というイメージ。他人のためにリスクを負う時によく使われます。 - take a risk
(リスクを取る)
解説:最も一般的で中立的な表現です。「枝の先」のような視覚的なイメージはありません。 - go out of one’s way
(わざわざ〜する、骨を折る)
解説:こちらはリスクというより「労力」をかけること。「わざわざ通常のルートを外れる」という点で似ています。
深掘り知識:「Take a risk」とは何が違う?
なぜカレン副長官は taking a risk と言わなかったのでしょうか?
実はこれには、「孤立無援である」というニュアンスが含まれています。
- Take a risk: 危険を冒すこと全般。仲間がいる場合もある。
- Out on a limb: 幹(組織や仲間)から離れて、たった一人で危険な場所にいる。
“Way out on a limb here” という言葉には、「ブース、お前を庇ってくれる奴は誰もいないぞ(落ちたら終わりだぞ)」という、上司としての厳しい警告が含まれているのです。
単なるリスク以上の「孤独な賭け」がここにあります。
まとめ|その枝は折れるか、実をつけるか
英語には “Why go out on a limb? Because that’s where the fruit is.”(なぜ危ない枝の先へ行くのか? だって、そこに果実が実っているからだ)という格言があります。
ビジネスでも人生でも、時には安全地帯(Comfort Zone)を抜け出して、折れそうな枝の先へ踏み出さなければならない瞬間があります。
もしあなたが “out on a limb” になったら、恐怖で足がすくむ前に、目の前の果実を掴み取りましょう!


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